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BWD:龍の移住相談なる会-4-
「日本に移住したい?」
「うん、だけど龍が住める住居は用意がないって言われて困ってたんだ」
蒼穹の真龍の言葉にたちまち考え込む駄探偵セージ。観光くらいならいくらでも案内できるが移住となると安易な所は指定できない。最低限、現住民との軋轢が生じない地域を紹介しなくては後々トラブルを招く。住居その物は後からこさえる事は可能だろう。
「うーん、そいつは即答出来ないぜ。でも依頼した奴もすぐには出ていけとは言ってなかったし、まずはここで相談って事で、どう?」
「こちらこそお願いしたいよ、ここに来るまで色々調べてはみたんだけどドラゴンの移住なんてあんまり情報がないみたいだし、あてがなくて」
「オーケイ、オーケイ、移住者を邪険にするなんざ探偵の名折れだって。旦那は穏便に話聞いてくれてるしちょっくら知恵を出して旦那に快適な移住先を提案しようじゃないの」
「ホントかい!?」
喜びに目を輝かせて鼻息吹かす龍に、ポーンとその鼻息で吹っ飛ばされるセージ。結構勢いよく吹き飛んだが、幸いにも風圧だけだったので空中で反転し競技場の壁に着地するとネコめいて回転しながら地面に着地した。
「ご、ごめんよぅ。つい興奮しちゃって」
「へーきへーき、どってことないって。まっ普通のヤツだったら死んでるかもだから人間と共存するなら気ぃつけた方がいいな!」
「自重するぅ」
ぺたんと地べたに密着するように伏せる真龍。如何にもネコめいているのでサイズに目をつぶれば振舞自体は可愛らしいといえるかもしれない。とにかく信頼は出来そうな相手であることを認識したカリューはセージだけに交渉を任せるのをやめ、自分も会話に参加することにした。
「改めて、自己紹介を。こっちの白いのはセージ。俺はカリュー。俺達は依頼を受けて貴殿にここを退去してもらいに来たのは、コイツが説明した通りだ」
「初めまして、カリュー。よろしくね」
「ああ、よろしくどうぞ、と。早速だが、移住にあたって優先したい事項などは?」
カリューは真龍の鼻先間近で相手と見つめあい、真摯にコミュニケーションを取ろうとする態度を見せた。
「人間と争いたくはないんだ。それが一番の希望だよ」
「フムン」
「平和に暮らしたくて日本に来たって事?」
「そう、そう」
であれば配慮すべき点は明確だ。既存の住民と軋轢が生じないようにすればいいとカリューとセージは同様に判断した。
「だがよー、旦那おっきいし強そうだから下手に移住すると現住民怖がらせるだけなんだよな」
「ですよねー、それはわかってるんだ。何か良い方法はないかな?」
「ある」
カリューの言に彼の目の前まで顔を寄せる真龍。圧が強い。
「貴殿と原住民が協力関係を構築できる地域に住めばいい。貴殿の存在が頼りになる所はあると考えられる」
「それだ、日本は過疎化が進んでるから僻地なら空いている土地には困らないし、旦那が提供できる能力で助かる地域ってのは少なくないんじゃね?」
「本当かい!?やるやる、ぼくで役に立てる事ならなんでもやる!」
勢い込んで身を起こすドラゴン、立ち上がるとその迫力がなおも増して周囲を圧迫する。流石に少々気圧される二人。
「じゃあ話は決まりだな」
「オッケーオッケー、それじゃ俺のツテからあたってみっかー」
「よろしくお願いいたします!」
律儀にオジギするドラゴン。つい勢い込んでしまったのか競技場のトラックヤードに強かに顎が撃ち込まれ蜘蛛の巣状にひび割れが走った。
「おう……」
「ご、ごめんなさい」
「いいっていいって、そんくらいなら都の奴らに任せとけば」
なだめるセージを横目に、力加減については入念に慣れてもらわないとだめだな……などと考えるカリューであった。
【BWD:龍の移住相談なる会-4-:終わり:5へ続く】
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