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マン・ハンティング・ウィズ・ポスト・アポカリプス 3
まさかの展開に額を抑えて苦い顔で思考する青年。確かに人材は貴重だ。このご時世どこの組織も人間を欲しがってる。だがこんな年端も行かない子供を連れていって何か役にたつだろうか?
「あのナ、俺は働いてる。わかるか?」
「お手伝いします!」
「あー……何が出来るんだよ」
「コーディングが出来ます!」
鬱陶しさがにじみ出る表情から青年はわずかに片眉を挙げた。コーディング、すなわちプログラミングが出来るのであれば少なくともさっきのばら肉となったモヒカン共よりはよほど役に立つ。できるのがたとえ初歩的なコードでも、0から仕込むよりかはよほど早い。しかもこの若さからなら今後いくらでも伸びしろはあるだろう。
「嬢ちゃん、名前は」
「コーデリア、です」
「よぅしわかった。俺の雇い主に掛け合ってやる。代わりに真面目に働けよ」
外骨格式パワードスーツを膝立ちにさせると青年は招き寄せた少女の手を取って自分の上に抱き上げる。パワードスーツのシートは単座式で、他に方法がない。
「あの、恥ずかしい、のですが」
「我慢しろ、それともあの血まみれのメカホースに乗るか?」
青年の言葉にブンブン首を振って拒み、うつむくコーデリアに彼は手元のUNIXを譲ってやった。後ろを振り向いて青年の目つきの悪い、クマの濃い目に視線を合わせる少女。
「帰るまでに覚えているコード書いてみろ。それで社長への交渉材料にしてやる」
「いじっていいんですか!?」
「いいぜ、ただし壊すなよ」
渡したUNIXはパワードスーツの操作系統とは独立している。コーデリアがたとえ雑なコードを組んだところで帰還には何の影響もないと青年は判断したのだ。
「ありがとうございます。あの、そういえばお名前を……」
「エンジ、鉄華エンジ」
めんどくさそうに自身の名前を伝えるとシートにもたれかかるエンジ。帰還までの時間を使うためのUNIXを譲ってしまって暇なのであった。頭の中でプログラムを構想する事は出来るが、実際に打つ時間はどうしてもかかる。ニューロン直結による思考入力デバイスなどという夢の産物は残念ながらまだ実現していない。
(コーデリアが使えるヤツなら後で手伝わせるか……)
エンジの口からあくびが出た。時刻は正午過ぎだが、早朝から出張っていたので睡眠不足からくる眠気がエンジの頭に忍び寄っていた。
(チッ……少し寝るか)
夢中になってタイピングしてるコーデリアのタイピング音を子守唄にエンジの意識はあっさりとまどろみの中に落ちていった。
【続く】
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