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マン・ハンティング・ウィズ・ポスト・アポカリプス 7
「まだ働くのかい?」
「バカいえ、仕事は済ませただろ」
「仕事ね……アレ、もっと穏便に済ませてほしかったんだけど」
「バーカ、アノすっとこどっこい共相手に話が穏便に済む訳があるかよ」
「はぁ……わかったよ。で、何するんだい?」
「タノシイタノシイ趣味のお時間さ」
コーデリアを案内するシラセと別れたエンジは上記のようなやり取りを思い返しながら再生された工場へと移動していた。
工場のゲートを抜けたエンジの足元にわちゃわちゃとひっくり返した調理器具のボウルに四本の脚をつけたような小型機械達が歩み寄ってきた。
「わーご主人だー」
「おかえりなさーい」
「ねーねーあのデッカイのいじっていい?いじっていい?」
「お前らの好きにさせるとジャンクになるから駄目だ。まずは構造解析。後ウチの外骨格式パワードスーツはデイリーメンテコースだ。余ったヤツラは俺の助手な」
『りょーかいしました!』
エンジの指示に従って機械達は散らばって自分達の仕事に移っていく。彼らはアシスタントマシーンであり、名称を「フチクモ」という。ホワイト・アーコロジーが現状シラセとエンジの二人体勢でもこのような大がかりな施設を維持できているのは彼らフチクモの優秀さによるところが大きい。もちろん、フチクモを作ったのも彼ら二人なのだが。
「ご主人ー今日は何するのー」
「前から構想していた緑化ドローンのハードウェア開発を進める、ぞ」
「ソフトウェアはいーんですー?」
「おう、見込のあるヤツが来たからな。まずはソイツの課題にする」
「りょーかいです!」
ぴっと敬礼のようなポーズを取ると工場の各種機器に向かって方々に散っていくフチクモ達。それらを見送りながら工場の一角に用意されたUNIXに向かってデスクへと座る。
「さーって、とにもかくにもまずはテストベットの制作だな」
エンジが如何に敏腕エンジニアとはいえ、頭の中にある物がそのまま実用に耐えうる物に仕上がる、とはいかない。試作機を制作し構想の方向性の確認、問題点の把握、改良内容の洗い出しなどやるべき事は多岐にわたる。
UNIXのキーボードをたたいて3D形成ソフトウェアを起動するとマウスを併用してまずは必要となる物理パーツ情報を作成、フチクモ達に送信して3Dプリンタや射出成型機をコントロールさせ物理実体の作成を行わせる。
いかにも当然、と言うようにエンジのワンマン・オペレーションが行われているがこれら半自立型アシスタントマシーンの活用技術はまだまだ発展途上であり、他の企業では人間をずらっと並べて力業で作業をすすめさせる非効率的悪行が横行している惨状であった。
「ま、非効率的事業マネジメントしている内はザコだからいーんだけど、な」
シニカルに笑いながら作業興奮で口の端吊り上げてタイピングに没頭する。エンジにとっては自分の能力をいかんなく発揮している開発の時間がもっとも楽しい一時なのであった。
【続く】
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