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スシローの寿司に生まれて初めて真剣に向き合った。
普段テレビは見ないのだが、たまたま目に入る時は別である。たとえば、銭湯とかで大型テレビが壁にかかっている時など。場所にもよるがサウナには結構な確率で有り(もっとも俺自身はサウナにはテレビはつけてほしくない派である)、スーパー銭湯とかだと露天風呂にもテレビが設置されているところがある。チャンネルは固定されているので、タイミングが悪いとまるで好みに沿わない作品が延々放映されていていささか興ざめになることもある。
話がそれた。率直に言うと、その日はスシローの特集が放映されていたわけだ。この年頃になって今更気づいたことの一つに、ふんわり受動喫煙した実態知識のないイメージはまるで全然合っていないってことである。なので、知らないことを多少なりとも知れる機会は真面目に聞いている。鵜呑みにはしないにせよ、聞かないことには始まらない。
漠然としたイメージだと、回転寿司の魚介類は工業オートメーションが進んでいるのかとかいう想像をしていたが、実際のところは大部分が人力と機械のコンビネーションによって効率化を図っているようだ。カツオの一本釣りが返しのない針によって釣り上げると同時にスっぽ抜けて船内への加工機に放り込まれていく様は機械以上に効率のいい達人の業前なのが印象的である。
で、俺はちょろいのでスシローの寿司を食べに行くんですな。翌日。
今までだってスシローに食べに行ったことはあるものの、一つひとつのネタに尋常ならざる創意工夫が凝らされている知識を得てから、一個一個じっくり吟味して味わうと……味は同じでも体験としての解像度が、違う。
それまで漠然と感じていた味覚が脂肪分の甘みと食感によるものだったり、鮮度を維持しつつ適切なタイミングで寿司加工されたマグロの旨味とか、そういうのを感じ取るのがちょっとだけ詳細になり、今まで同じモノを同じ様に食べていたのに体験としては大きく異なる内容になった、と思う。
何も知らずに食べて美味い!っていうのもいいし、しかして周辺知識を得て食卓に上ってくるまでの多くの手間暇を思うといっそう味わいが増す、ってのもあると思う。
つまり、教養はなくても生きられるが、あると人生を味わい豊かにするって話で、テレビで聞きかじったちょっとした知識でもあるとないとだと、あったほうが次の体験に教養ボーナスがかかり楽しいのだ。ゲームみたいに言うでない。
戦場へ
さて、今日得た教訓を整理すると、なにがどうなって美味いのかざっと解説が入っている寿司はより一層うまく、CORONAが一息ついたらちょっと遠出してマンゴー寿司とか食べに行きたいものである。
今回はここまで、またな。
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