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多層化された文意、文脈
文章に限らず、表現は見る者の所持知識、立場、体調などによって実際に生じる認識が変わってくる。論文とかはそのへんを踏まえて誤読が発生しない様に書かれるそうだが、おれは浅学の徒なのでその辺りの文法はさほど詳しくない。たぶん必要に迫られないと学ぶこともないだろう。ダメな大人なので見習ってはいけない。
まず、前提として伝えたい内容、第一文意とでもいう内容が伝達しないのは基本的に良くない。娯楽としての表現物であれば、多様な受け取り方があってもいいが、第一文意が伝わっていない場合はそもそも伝達性に多大な問題があるので、意図した効果が生じないことに繋がる。率直に言うと、概ねつまらない。
世の中の面白いの大部分は、わかるとわからないの成分の絶妙なミクスチュア、混合物で出来ていると捉えており、わかることだけで作っても刺激が物足りずイマイチになりがちだし、わからないことだけで作っても異星人とのコミュニケーションになってしまって何がどう面白いのかわからない。大部分の人がわからない面白さをわかる理解力と解像度を持っていることは大事だが、そのことを根拠に伝達性を犠牲にすると面白くても伝わらないみたいな事態が発生してしまう。
困ったことに、ハイコンテクスト・多層化された文脈を読み解く能力は汎用的な、普及化した能力ではなく非常に希少な能力のようで、ふんわりとした所感では大体二層文脈だけでも読みとける人は1%未満ではないかと思う。書いてあることを書いてあるとおりに読み取るだけでも、おそらくは思っている以上に少ないのではないだろうか。一方で行間にも書いていないことを読み取ってなんか言うこまった人は後をたたない。こまったこまった。
では、シングルコンテクストなら無条件で良いかというとそういうわけでもない。誤読が生じない精密な表現とはしばしば退屈で読み続けるのがしんどく、興味が引かれない内容のときは眠くなる経験を持ったことがある人も結構いるんじゃないだろうか。
そう、単独文意の文章はどうにも刺激が足らず、読んでいて眠くてつまらなくなりがちだ。例えばお役所文章などは基本シングルコンテクストの産物なので、面白さとは無縁の存在だ。というか面白くしてしまうとおこられが生じるので間違って通常はデュアルコンテクストにはしない。
戦場へ
主要文意を明瞭にしつつ、複層的に文脈を保持させる。このことを考えているが実践するのはまだまだ遠そうである。
今回はここまで、またな。
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