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私の#WalkAwayストーリー
今回のアメリカ大統領選にはこれまで以上に大きな関心を持っているので、自分なりにネットでいろいろ調べた。そこで知ったのが#WalkAwayキャンペーン。このキャンペーンは、民主党員だった男性が民主党の政策に疑問を持ち、自分でリサーチした末に民主党からWalk Away、つまり立ち去ったことで6年前に始まった。#WalkAwayで検索すると、多くの元民主党支持者たちのWalk Awayストーリーを視聴することができる。ちなみに共和党からWalk Awayした人もいるだろうと思って探してみたが、見つからなかった。
Walk Awayストーリーを20人分ほど視聴して感じたのは、年齢、性別、人種、LGBTQなど、さまざまな、しかし比較的若い人が多いような印象を受けた。黒人、少数民族、LGBTQはこれまで民主党支持層の中心だった人たち。ずっとマイノリティーの側についていると思われていた民主党が、もはやマイノリティーから支持されなくなっているのだ。Walk Awayストーリーを視聴していると、一人ひとりに固有のWalk Awayの理由があったが、俯瞰してみると、民主党の変節とアメリカの地殻変動が起きているのが見えてくるようだった。
私自身のWalk Awayストーリーと語ってみたいと思う。私がWalk Awayした理由はふたつある。
🔳 ひとつ目の理由
前回の大統領選があった2020年当時、私はニューヨークに住んでいた。アメリカ市民ではないので選挙権はないが、それなりに関心を持って大統領選を見守っていた。
2020年の夏頃、大衆紙ニューヨークポストがジョー・バイデンの息子、ハンター・バイデンの記事を掲載した。ハンターが壊れたパソコンを地元の小さなパソコン修理屋に持ち込んだが、修理が終わってしばらくしても引き取りに来ないので、店主がそのパソコンを警察に持ち込んだところ、パソコンからとんでもないデータがごっそり出てきた。ところが、主流メディアはこれを全く報じず、完全に無視し続けた。
この件について、2022年3月28日のワシントンポストジャパンは次のように報じている。
「19年にデラウェア州のコンピューター修理店でハンター氏が放棄したノートパソコンには、ウクライナと中国における同氏のビジネス関係の詳細が書かれた電子メールやその他のファイルが大量にあり、取引の一部で父親(ジョー・バイデン)が関与していることを示す情報だった。トランプ大統領の弁護士だったルドルフ・ジュリアーニ元ニューヨーク市長は、このハードドライブを入手し、ニューヨーク・ポスト紙に引き渡した。
当時、この記事を掲載したのは事実上、同紙だけだった。民主党や他のメディアから非難の嵐が吹き荒れ、フェイスブックなどの大手ハイテク企業のプラットフォームではこの報道がブラックアウトになった。」
ウクライナと中国に関するビジネス取引にバイデンが関与していたとなれば国家反逆罪くらいの大罪になると思うが、バイデンは起訴されることもなく、一方のトランプは証拠もない女性に対する暴行などの”罪”で起訴されたり提訴されたりしている。
私はこの時、ニューヨークタイムズをはじめとするMSM(main streem media / 主流メディア)に大きな不信感を持った。時は大統領選の真っ只中。MSMがこのニュースを流さないのは、これを報じればMSMが支持する民主党候補者ジョー・バイデンにとって不利になり、共和党候補者のドナルド・トランプに有利になるからだというのは明らかだった。
この時からメディアの情報を注意深く観察するようになった。そして、次第に多くの人(特にニューヨーカー)が信じているニューヨークタイムズもCNNもバイデンには有利、トランプにとっては不利な情報を流し続けていると感じるようになった。トランプは一挙手一投足に文句をつけられた。アメリカでも日本でも。
トランプは最近、アメリカで最も人気のあるポッドキャストの司会者、ジョー・ローガンとの3時間以上の長いインタビューの中で、「かつてはセレブリティの友達がたくさんいたが、共和党から大統領に立候補した途端、全ての友達が手のひらを返すように私から去って行った」と語っている。これは、前回投稿した#WalkAwayした人たちのストーリーの中にもしばしば出てくる。共和党支持に変えたら友達が去っていった、家族とうまくいかなくなったなど。
ニューヨークに住む私の周りは知る限り、みんな民主党支持だった。「トランプなんか!」と吐き捨てるように言う人や、トランプのTwitterのアカウントが閉鎖されると、「よかった」と言う人もいた。私は、リベラルで民主主義や言論の自由を大切にしているはずの民主党支持のニューヨーカーが、トランプのアカウントが閉鎖されたことを喜ぶのが信じられなかった。民主党員は民主主義を大切にしているんじゃなくて、自分達と同じ意見を持つ人の言論の自由を尊重しているだけではないか。意見の合わない人の言い分を封じたいのではないか?
ニューヨーカーで民主党支持者は、高学歴でいい仕事に就き、頭がいい人が多い。だからか、地方に住み、農業に従事し、キリスト教を信じて、家族を大切にして慎ましく生きている共和党支持者を、田舎者と見下しているところがある。高学歴なのであからさまに差別に当たるような自分が不利になるような言動はしない。でも、かつてヒラリーが共和党支持者を「(教養がなくて世の中のことがわからない)困った人たち」と言ったように、どこか民主党を支持する自分達は偉いと思っているのを私はなんとなく感じていた。でも、そういうことをあえて言うのも喧嘩を売るようで憚られるので言わなかった。
私の周りの民主党支持者は相変わらず、MSMの言うことを鵜呑みにして、「トランプはレイシストだ」、「彼が政権を取ったら独裁政権になる」、「彼は障害者を侮辱した」などと言いたて、書き立てていた。それまでの4年間のトランプ政権は独裁政権にはならなかったし、経済も良かったし、新たな戦争が起きなかったにも関わらず。MSMはトランプ叩きはするが、彼の功績は無視した。
2020年の大統領選の投票日。私は用があって近所の電気店に行った。そこは南アジア系の人たちが経営している店で、私は「投票に行った?」と聞いてみた。すると、そこの店主は「投票したよ。でも、僕は”あっち”には投票しなかった。私たちのコミュニティの人たちは誰も”あっち”には投票しないよ」と、こっそり打ち明けるように言った。つまり、彼らのコミュニティ(南アジア系の移民コミュニティ)は民主党を支持していない、ということだ。私が民主党員ではないアジア人(私は選挙権は持っていないと言った)なので気を許したのかもしれない。
民主党は自分達をマイノリティーの側に立つマイノリティーに優しい政党だと吹聴しているが、マイノリティーの側は必ずしもそうは思っていないようだなと、改めてそのとき思った。
🔳 ふたつ目の理由
私の周囲の限られた人たちの意見を聞いていても偏ると思ったので、大統領選に関して議論しているSNSをのぞいてみた。そして、あるコミュニティで民主党支持者たちがケンケンガクガク議論していたのでそのやりとりを見てギョッとした。
20人くらいの民主党支持者(おそらく大半は若者)が一人の女性を吊し上げている。その女性は民主党に疑問を抱き始めたようだった。そして「私の祖母は共和党を支持している」と投稿した途端、ものすごい口汚い言葉が彼女に投げつけられた。ひとりに対して数十人が「老人だからって言い訳にはならない。お前の祖母はとんでもないやつだ」のような、いやもっと酷い誹謗中傷非難が。それはもうSNS上の集団リンチだった。私がこの女性だったら、トラウマになっただろう。それほど恐ろしかった。
私はニューヨークはリベラルなところだと思っていた。自分の意見とは違う意見を持った人の意見も尊重されるところだと信じていた。自分の意見を安心して言えるところ、それがニューヨークだと思っていた。でも、このSNSコミュニティでは自分達と異なる意見を持つことは許されないらしい。
そして、最近、#WalkAwayキャンペーンのさまざまな人たちの経験を聞いて、私があの時感じたことは間違いではなかったと知った。多くの人たちが、「民主党を離れたら友達から絶縁された」と証言している。もちろん、一般の民主党支持者はそんなに過激ではない。だが、一部の民主党支持者には共和党支持者に対してむき出しの敵意を見せる人たちも少なからずいるのだ。
🔳 だから#WalkAway、さようなら民主党、さようなMSM
アメリカの民主党はRFKジュニアが言うように、かつての民主党ではない。これまで民主党政権が何をしてきたか、これから何をやろうとしているのかをよく見ないで、MSMの言うことを信じて民主党を支持するのはとても危険だと私は思っている。「MSMが何を言ったかよりも、何を言わなかったか、それはなぜか、の方が重要だ」とある政治学者が言っていた。
ニューヨークタイムズはハンターのパソコン疑惑を報じなかった。MSMの「トランプはレイシストだ」、「彼は独裁者になる」という根拠のない主張より、NYTがハンターのパソコン疑惑を2020年時点で報じなかったことの方が遥かに重要だ。ハンター・バイデンのスキャンダルにジョー・バイデンも関わっていたということをNYTが報じていたら、バイデンは大統領になれただろうか。
ジョー・ローガンのポッドキャストでトランプをインタビューした回は視聴回数が、なんと4500万回を超えている。これはどのMSMも太刀打ちできない数字だ。MSMの嘘に気がついてうんざりしている人が増えている。おそらく若者中心に。いいことだと思う。ギリギリで間に合った。
らうす・こんぶ/仕事は日本語を教えたり、日本語で書いたりすること。21年間のニューヨーク生活に終止符を打ち、東京在住。やっぱり日本語で話したり、書いたり、読んだり、考えたりするのがいちばん気持ちいいので、これからはもっと日本語と深く関わっていきたい。
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