米大統領選を見る上でのキーワード5 Fact Check
アメリカ大統領選のキャンペーンではしばしば「ファクトチェック」という言葉が出てくる。私は以下の理由で、大統領選挙戦におけるファクトチェックにはあまり意味がないと思っている。
1)メディアはトランプの言舌に対しては事細かくファクトチェックを行うが、ハリスに対してはほとんど行わない。大統領候補者討論会、副大統領候補者討論会でのファクトチェックのやり方を見れば明らかだ。不公平なファクトチェックで印象操作を行っているという見方も可能だ。
2)ハリスはファクトチェック以前に、そもそも具体的なことをほとんど何も語らないのでファクトチェックをしようがない。
3)中立とは言えないことが周知の事実となったメディアのファクトチェックの信ぴょう性ををどうやって担保するのだろうか。私は、メディアのファクトチェックに対してカウンターファクトチェックを提案したい。そうでなければ、特に今のような大統領選のときなどはファクトチェックをした者勝ちになってしまう。影響力の大きいメディアのファクトチェックは武器にもなりうる。
以下はファクトチェックについてWikipediaからの抜粋。
「マサチューセッツ大学ローウェル校(英語版)およびカリフォルニア州立大学サクラメント校(英語版)の政治学者による2015年の分析では、ファクトチェック機関によってファクトチェックの対象が異なり、その真偽判定の結果についても相当の差異が認められると結論付けている。その結果、「相反する情報が錯綜する中、一般市民がどの情報を信じるべきかを判断するにあたり、ファクトチェック機関がもたらす効用には限界がある」としている[4]。
2017年5月に発表されたスタンフォード大学博士課程の論文では、ファクトチェック機関によって取り上げる検証対象が異なる点が指摘された。ポリティファクトが実施した1065本の真偽判定と、Fact Checkerが実施した240本を照合した結果、2サイトが共に真偽判定したのは70本であった。またこの重複70本のうち、真偽判定の結果も一致したのは56本 (80%) であった。すなわち2サイトが同一の対象を真偽判定すると、5回に1回の確率で判定結果が異なることを意味する[5]。」
※ 原文では太字の部分はなく、私が太字にしました。
4)大統領選の投票がすでに始まっている現時点では、ディベートの視聴者やラリーの参加者はファクトチェックなどほとんど重要視していないと思う。彼らが知りたいと思っているのは大統領および副大統領候補者の信念、本気度、熱意がどれほどあるかだ。口ではなんとでも言える。重要なのは、その言葉を信念を持って言っているかどうか。信念がない人の言葉は薄っぺらい。ディベートの視聴者やラリーの参加者は、彼らの言葉がどれだけファクトに沿っているかよりも、信念と熱意がどれだけあるか、本気でその政策をやろうとしているかどうか、そこを見ているのだ。言葉はいくらでも飾れるが、信念がなければ人を惹きつけられない。
🔳
大統領選に関する多くの動画を見て、私が気づいたファクトがある。トランプのラリーには何万人も集まっているが、ハリスのラリーには人が少ない。なぜわかるかというと、トランプのラリーの様子は引でも撮影されていて、それを見ると確かに数万人いそうだ。だが、ハリスのラリーや集会ではハリスが大きく映っていて、彼女の前と後ろにいる聴衆は数十人、せいぜい数百人。引きで撮影できるほど人が集まっていないということだ。これはバイデンのときもそうだった。
らうす・こんぶ/仕事は日本語を教えたり、日本語で書いたりすること。21年間のニューヨーク生活に終止符を打ち、東京在住。やっぱり日本語で話したり、書いたり、読んだり、考えたりするのがいちばん気持ちいいので、これからはもっと日本語と深く関わっていきたい。
らうす・こんぶのnote:
昼間でも聴ける深夜放送"KombuRadio"
「ことば」、「農業」、「これからの生き方」をテーマとしたカジュアルに考えを交換し合うためのプラットフォームです。