タダほど高いものはない
一見昨日と同じような今日を生きているように見えるけれど、少し前までと比べて変化のスピードがどんどん加速しているように感じる。川面はゆったり流れているのに、川底では石ころも押し流してしまうほどのパワーで水が流れている。そんな時代に生きているという感覚がある。
川面だけを見て昨日と同じ流れだと思っていると、あるとき、川底の土砂と一緒に海に押し流されていたことに気づく、のではないか。川面のスピードではなく、川底のスピードに気づいてそれに追いついていかなければ、という気持ちと、そういうのはもういい、流れに任せようか、という気持ちと。
ちょっと話は飛ぶけれど、食べられればなんでもいいわけではなく、食事の質を考えなければ、数年後にその結果が現れる。体にいいものを食べ続ければ健康を維持できるが、そうでなければ不健康になり、生活習慣病になる可能性も高まる。
それと同じで、情報も質の良い情報を選ぶことがとても重要だと思う。新聞には購読料が発生するがテレビのニュースはタダだ。そしてテレビのニュースはそれほど出鱈目なことは言わないと思われていた。でも、そうじゃなかった。タダなら、もしくは安くてそこそこおいしくてお腹いっぱいになるならいいと、ファーストフードばかり利用していては健康が損なわれるのと同じように、タダで手に入る情報を浴び続けていたら、私たちは間違った方向に流されてしまっていた。
主流メディアでは、コロナワクチンに関しては接種しないという選択肢はあり得ず、接種一択しかないかのように報道していた。先日の米大統領戦では最後の最後までハリス優勢を伝えていた。SNS上では全く違う情報が溢れていたのに。また、米政府機関のホームページには
「当時500.comとして知られていたBIT Miningの最高幹部は、日本に大規模リゾートをオープンする入札に勝つためにコンサルタントに日本政府関係者への賄賂の支払いを指示した。この違法な計画はトップから始まり、同社のCEOは不正な支払いの指示とその後の隠蔽工作に全面的に関与していたとされている。」
という記載があり、岩谷外務大臣の実名が出てきているが、それはSNS上
だけで、日本の主流メディアは緘口令が敷かれてでもいるかのようにこの件には全く触れない。トランプが次期大統領に選出されて、アメリカでは早速情報開示が始まっているのに、日本の主流メディアはいつまでしらを切り通すつもりだろう。
テレビのニュースはタダだし、ネットには玉石混交ながらも無料で手に入る情報が溢れている。だから、私たちは情報はタダで手に入るという状況に慣らされていた。だが、視聴者や購読者が多い主流メディアほど信頼できるどころか、プロパガンダに利用されやすいということがよくわかった。
体に良い食事にはそれなりのコストがかかるように、いい情報を入手するにもそれなりの対価を払わなければならない。この数年間視聴してきて、コロナの件でも米大統領戦についてでも、信頼に足る良質な情報を提供してくれていたのは、真実を伝えたいという使命感に溢れた小規模のニュースメディアや市民ジャーナリストだった。
一見穏やかな川面のような主流メディアの”報道”を鵜呑みにしていると、川底の急な流れ(世界の流れ)に気づかず、あっという間にどこかに流されてしまいそうだ。そうならないために私は情報に対価を払うことにした。半分は情報そのものの価値に対して、半分は良質な情報を提供してくれるメディアや個人をサポートするために。
らうす・こんぶ/仕事は日本語を教えたり、日本語で書いたりすること。21年間のニューヨーク生活に終止符を打ち、東京在住。やっぱり日本語で話したり、書いたり、読んだり、考えたりするのがいちばん気持ちいいので、これからはもっと日本語と深く関わっていきたい。
らうす・こんぶのnote:
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