Claude 3.7 Sonnetとは?

最先端の対話AIとして注目される「Claude 3.7 Sonnet」
Anthropic社が開発する大規模言語モデルのClaudeシリーズは、GPT-4の競合として進化を続けています。なかでもClaude 3.7 Sonnetは、長文処理能力・柔軟な推論・コーディング支援など多彩な強化を施した最新モデルとして大きな話題を呼んでいます。

本記事では、Claude 3.7 Sonnetの主な特徴や使用感、実際の活用事例(個人レベルでの利用を中心に)をご紹介します。


1. Claudeシリーズの背景

AnthropicはOpenAIの元研究者らが立ち上げたAI企業で、「安全性と透明性にこだわった大規模言語モデル」を開発してきました。Claudeシリーズは、ChatGPTやBing Chatなどに対抗する形で2022年頃からβ版が公開され、学術・ビジネス・開発など幅広い用途で活用が進んでいます。

そのなかでClaude 3.7 Sonnetは、以下の点で特に注目されています。

  1. 長文コンテキスト処理が最大20万トークンに対応。

  2. コーディング支援能力の向上:生成コードの構造や品質が高い。

  3. 推論モード(Extended Thinking)を搭載し、複雑な推論が可能。

  4. 過度なコンテンツ制限を抑えつつ、安全性を確保。


2. Claude 3.7 Sonnetの主な特徴

(1) 強化された長文処理

かつては1万~10万トークンほどだったコンテキスト対応が、最新版では最大20万トークンにまで拡張。膨大な量のテキストデータを一度に読ませることで、レポートや論文、書籍レベルの文章要約にも対応しやすくなっています。

例えば、複数のPDFファイルを一つにまとめて要約したり、長い議事録を一瞬で要約したりといった使い方に有効です。

(2) コーディング支援と「Claude Code」

Claude 3.7 Sonnetではコード生成・編集能力が大幅にアップデートされ、「Claude Code」と呼ばれるコマンドラインツールも試験的に公開されました。

  • 複数のファイルを横断してコーディングの整合性を確認

  • 新規機能のアイデアに沿ったサンプルコードの自動生成

  • 自動テストやGitコマンド連携で効率的にバージョン管理

こうした作業を、AIがエージェント的に行えるようになりつつあります。ChatGPT Plusなどと比較しても、より長いコードを扱え、コード全体の一貫性を高めやすい点が評価されています。

(3) 推論モードの搭載

従来の高速な対話モードに加え、Extended Thinkingモードと呼ばれる深い推論を行うオプションが導入されました。

  • 難易度の高い数学や物理演算、論理パズルなどに活用可能

  • 会話中の命題や証明をチェーン・オブ・ソート(Chain-of-Thought)で考慮

  • より正確な回答が得られるが、回答までに多少時間がかかる

開発者向けAPIでは内部推論のトークン数上限を指定でき、速度と精度をバランスよく調整できるのも特徴です。

(4) 安全性と柔軟性

Anthropicは「Constitutional AI」という安全性向上の仕組みをモデルに組み込んでおり、危険性の高いコンテンツ(違法行為やヘイトスピーチなど)には適切に対応しつつ過度な拒否応答を減らす調整が行われています。GPT-4と比較しても、ユーザーが望む範囲での回答をより柔軟に得られるとの声があります。


3. 実際に使ってみた感想

✅ 長文を渡しても安定して回答

10万字規模の小説を要約してみたところ、冒頭から結末までを俯瞰する見事なあらすじを提示してくれました。同じような要約タスクをGPT-3.5やBing Chatに試した時よりも一貫性が高く、出力内容にブレが少なかった印象です。

✅ コード生成が思いのほかスムーズ

Webアプリのフロントエンドとバックエンドを連携する仕組みをまとめて書いてもらうと、フォルダ構成やReact/Node.jsのサンプルコードを一度に提示してくれました。とくに注目は、「中途半端な雛形」だけでなく実行可能に近い形でまとめられていた点。これはChatGPTも得意とはいえ、Claude 3.7 Sonnetはさらに完成度が高く感じました。

❌ 無料プランだと制限あり

無料版のWebチャット(claude.ai)を使った際は、1日あたり100メッセージ前後の制限があり、集中的に使うと制限にすぐ当たる点がネックに感じられました。深い推論モードは無料アカウントでは利用できないため、本領発揮させるにはProプランやAPI接続が必須です。


4. 料金プランやAPIの概要

  • 無料プラン(claude.ai)

    • 通常モードのみ使用可能

    • 1日あたりのメッセージ数に上限あり(100前後)

    • 長文モードやExtended Thinkingの利用は制限

  • Claude Pro(月額 20ドル程度)

    • 1日のメッセージ上限大幅増

    • Extended Thinkingモードも利用可

    • 先行ベータ機能にアクセス可能

  • APIの従量課金制

    • 入力:100万トークンあたり3ドル

    • 出力:100万トークンあたり15ドル

    • Extended Thinkingや内部思考のトークンも同じレート

ChatGPT PlusやGPT-4 APIに比べると、コーディングや長文タスクに対しては割安といわれています。OpenAIやGoogleのBard/Geminiとも比較しながら検討すると良いでしょう。


5. Claude 3.7 Sonnetを使うメリット

  1. 長文や複雑な内容でも一貫した回答

    • 大量のPDF・文書を一度に要約可能

    • 長期的な会話での文脈も記憶しやすい

  2. コード生成の質が高い

    • 高水準なプログラムを提案

    • 大規模システムの骨格づくりに役立つ

  3. 柔軟性と安全性のバランス

    • 必要な回答を得やすい

    • 過度なブロックが少ない割に、リスクの高い要求はしっかり制限

  4. 新機能のテストや先進的研究に適した環境

    • Extended Thinkingモードでチェーン・オブ・ソートを可視化

    • デバッグやモデル評価の材料としても有用


6. まとめと今後の展望

Claude 3.7 Sonnetは、現行の大規模言語モデルのなかでもとくに「長文対応」や「推論能力の高さ」に強みがあります。開発者やリサーチャーが複雑なコード生成や学術的なテキスト解析を行ううえで、貴重な選択肢となるでしょう。一方で、無料版では利用制限があるなど気軽に試しづらい部分がある点には注意が必要です。

ただし、今後さらなるアップデートでより長大なコンテキストウィンドウ(100万トークン超)やマルチモーダル対応の充実化が進むという予測もあります。Google、OpenAI、xAIなどライバル企業との競争が激化する中、Claudeシリーズがどのように進化していくかは、AI業界の注目トピックの一つです。


この記事は筆者の体験・調査をもとに執筆したものであり、実際の機能・性能は今後のアップデートにより変更される可能性があります。最新情報やプラン等は公式サイトやリリースノートをご確認ください。

いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集