7849 スターツ出版(東証スタンダード)
※ 普段は紙のノートにメモをしており、これは2024.5.16時点のメモの転記
◆指標
株価:3400円
時価総額:130億
ROE: 21.2、ROA:16.7、営業利益率:28.2 ⇒ 収益性
営業利益:8.15億 → 15.9億 → 22.7億 → 24億(予) ⇒ 成長性
自己資本比率:78.8、現金:50億、有利子負債:ゼロ ⇒ 安全性
PER:7.1、PBR:1.52、配当利回り:1.76 ⇒ 割安性
⇒ 余談だが、この会社は【自己資本比率+ROE = 100】という私が勝手に考えた、グッピーズの法則を満たす。ご興味ある方はこちらの記事を参照
◆ねらい
この会社に興味を持ったのは会計上の観点である。
配当金(現在は60円)を5倍の300円にできると思っている。理由を下記に述べる
<BS上の観点>
・現金50億円、無借金である
<PL上の観点>
・当期純利益は11.67億 → 17.77億 → 18.2億(予)
・営業CFは、12.45億 → 16.98億
<配当性向の観点>
・60円配当だと配当性向は、12.7%。無借金企業としては少なすぎる
・5倍の300円配当の場合、配当性向は63.3%。
株主還元として一定年数は配当性向100%という会社も珍しくない昨今である。例えば、ヨータイ(5357)が今後3年間、配当性向60%の開示をしたばかりである。他社の事例から見て、配当性向60%に無理があるとは思えない。
発行株式数が 384万株で60円配当であれば総額 2.3億円である。
これは、上記のBS、PLの観点からしてもあまりにも安い。もっと増配すべき。
◆費用について
小説投稿サイトやオズモール予約などは、設備投資に大きな金額は必要とせず、社内で培ったチームワーク(文化を理解した同士での交流を重視するため)それを乱すことになる懸念があり、M&Aもやらないとの事なので、今後大きな出費はない・・ハズである
◆万が一のリスクに備え現金ほ多量に保有する必要性
・コロナショック時は、オズモール(予約)がメイン事業であり、2020年度には営業利益が1.69億に大きく落ち込むも、なんとか黒字を確保した。
また、2008年(リーマンショックや震災なども含む)以降の16年間で営業利益が赤字になったことは1度もない
・2022年以降は、(以降述べる)出版のセグメントが急成長し稼ぎ頭になった。これらは、コロナの影響は受けず(寧ろ巣ごもりはプラス)今後再び、2020年度のような営業利益の落ち込みがあるとは考えにくい
よって、会社側の言うコロナ時には多量の現金があったので助かったので・・の弁は、現在の状況には当てはまらないと思う
◆結論
よって私は、配当金(60円)は今の5倍(300円)にできると考える。5倍はちょっと・・妄想すぎではという感じもあるが、じゃあ、2倍、3倍、4倍ならどうよ・・ということでシミュレーションしてみた。
要は、配当は今後、今の数倍に増額可能である・・ということである。
いきなり5倍で、配当総額11.5億。まあ、3倍とか4倍でも6.9億とか9.2億である。これぐらいの支払いは十分できるハズであり。今後の業績に大きな変調がなければ、大きな増配がされることを期待したい。
※株価については、メモした時(5/16の3400円)で計算している
◆親子上場について
当社は、親会社(スターツ)が70.5%を保有する。親子上場の是非も問われ、親会社がTOBする可能性は考慮しておきたい。
もしその場合、上述のとおり大きな配当利回りが期待できた事を考慮し、現在の2倍程度の株価でTOBされることを期待したい。
(感覚的には、私が今年当てたグッピーズやペイロールなどTOBの相場は、現在価格の30%~80%乗せぐらいで決まってる印象だが、当社はめちゃくちゃ安いので・・せめて2倍は欲しい)
◆四季報プロ500(2024.3月号)
四季報プロ500の巻末に全上場企業の理論価格(東洋経済社が独自に計算した)が載っている。それによると、スターツ出版の理論価格は、10565円であり、これは現在株価 3400円の3.14倍である。
長期保有で株価3倍まで期待でき、TOBならこれらも考慮して株価2倍以上で買収されることを期待したい。(どちらのシナリオでも大勝利のハズ)
なお、スターツ出版は流通株式比率がスタンダード上場基準に未達であり、親会社に放出をお願いしている。開示によると、親会社は意向に応じ、市場で若干の売却を行っている模様である。
(ということから、少なくとも現時点では、親会社のTOBのシナリオは低い・・株価が低空飛行を続ければ、今後、考えは変わるかもだが)
個人的な考えでいうと、アクティビスト的にはTOBだろうが・・当社には親子上場のまま、市場に残って貰いたい。
と言うのも、社長が説明会で話しているとおり、読者(若い子たち)にとって、スターツといえば出版なのだ。ピタッとハウスなんて知らない。せっかく、スターツの書店でのブランディングが出来あがり、株主優待も始まり、将来の株主にもなってくれるかも知れない若いファン層を・・上場廃止で手放してしまうのはあまりにも惜しい。
また、同様の上場してる出版社は、超大手のKADOKAWAは別格として、あとはアルファポリスしかおらず実は少ない。上場してる出版社としてのBtoCの訴求力を最大限に生かすほうが、長期的にみたらTOBで2倍程度で手放すより、とても大きな株価に成長できると思う。
~ 以降はおまけ ~
今回の狙いは大幅増配の期待なので、会計上の数字しか見てないのであるが・・・一応ビジネスモデルとして、私が知っている範囲でメモしておく。
◆事業
【書籍コンテンツ】
・小説投稿サイトより投稿された作品を出版社が選別し、書籍化する
【メディアソリューション】
・オズモール(予約サイト)により、ホテル、美容、レストランへ集客された場合に手数料を徴収
◆特徴
投稿は誰でもでき、投稿小説で投稿されたものを選別し、書籍化する。書籍がヒットすれば、アニメ・映画などにメディア展開をする。
アニメ化、映画化すれば書店でフェアをやったり本に帯がついたり目立つように平積みされるので、本が更に売れる。
(広告宣伝するのではなく、アニメ化、映画化してしまう事が本を売る最大の宣伝になる)
投稿サイト ⇒ 人気なら(小説化) ⇒ 売れたら(漫画化)⇒ 売れたら(アニメ化・映画化)
サイト上での人気実績を見定めながら、上記のプロセスをとるため、いきなりアニメ・映画を作るより当たり外れのリスクが少ない。
同様のビジネスモデルとしてアルファポリス(9467)がある。売上、利益、時価総額も似ていることから、ここに私自身がアニメオタクであることを生かし、私見を交えた比較をしてみた
◆競合について(買い手側)
現在は棲み分けがされており、競合を気にする状況にない。また、本は単価も安いため、アルファポリス社とスターツ社および角川など他社もまとめて購入することもよくあるので、特に気にする状況にない。
◆競合について(作者側)
競合があるとしたら、作家のほうかと思う。
作家は、スターツ出版の投稿小説サイトだけでなく、アルファポリスやカクヨム、小説家になろう(最大手)など重複投稿が許されている模様
但し、本の出版が決まると他社のサイトからは(サイトの規約上)投稿した小説が全て削除される模様である。
※ スターツ出版の看板タイトルである『鬼の花嫁』は、スターツ出版の投稿小説以外にも『小説家になろう』サイトにも投稿されてたようであり、こちらはスターツ社で出版が決まった際、今までの投稿小説は削除しましたので今後は本を買い求めください・・旨の挨拶が書かれていた。
これは、アルファポリス社でも同様である。検索すると、アルファポリスとスターツ、スターツと小説家になろう、カクヨムを同時投稿してる作家さんは沢山でてくる。(今後、良い作家さんの囲い込みをいかにやるかが肝か)
◆他のサイト
レッドオーシャンであり、グーグルで検索すると、投稿小説サイトが20個ぐらい出てくる。ただし、いちアニメファンとしてよく聞く大手サイトは寡占化されつつあり、現在は下記であろうと思う。
① 小説家になろう(ヒナプロジェクト)
月間20億PVを誇る圧倒的最大手。薬屋のひとりごと、無職転生、このすば、リゼロ、転生したらスライムだった件、ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか、魔法科高校の劣等生など・・アニメ化実績多数。
※アニメに全く興味ない人でも、これら作品がツイッターで話題になってるのを見たことがあるのではないか・・というレベル。
但し、運営のヒナプロジェクトは独立系の中小企業で、今後あっさり順位が覆る可能性は多いにある。
② カクヨム(KADOKAWA)
ライトノベル分野で圧倒的な角川。後発ながら資本力もあり、凄い勢いで追い上げて2番手に。アニメ化代表作は、佐々木とピーちゃん、神は遊戯に飢えている、髭を剃るそして女子高校生を拾うなど・・1番手の小説家になろう作品からは、人気度・知名度でやや劣る。
(小説家になろうアニメの視聴はアニメファンの間では必須だが、カクヨム作品は暇があったら見てもいいかな・・程度の人気に落ち着く。但し、今後は大ヒットが出て猛追する可能性は十分あり)
以下、3番手グループと思われる。
③アルファポリス
・男性向け、異世界ファンタジーに強い。アニメ化に力を入れていて、今期~来年に向けてアニメ化が次々に決まっている。
(アニメ化が決定すると株探でNEWSに乗るので分かる)
④エブリスタ
・恋愛系に強いらしい。メディアドゥ(電子書籍取り次ぎで大手御三家の一角)の傘下の子会社。メディアドゥは電子書籍の取り次ぎ大手なので気になる。
(ちなみにスターツの電子書籍の販売先・取り次ぎもメディアドゥである)
スターツ出版としては以下の⑤⑥である。シェアは不明であるが、投稿サイトの集客度としては、アルファポリスと同程度(3番手集団の一角)ではないかと思われる。
⑤ノベマ(スターツ出版)
成人向け(青春物、ファンタジーなど)
⑥野いちご(ジュニア向け)、ベリーズカフェ(大人向け)
ティーンズラブ、異世界恋愛など。代表作は鬼の花嫁。
◆あの花
これも当社の代表作、本を買って読んでみたので感想などを・・
あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。(一作目)
・映画化され、観客動員300万人、興行収入40億円の大ヒット
あの星が降る丘で、君とまた出会いたい。(二作目)
・こちらは後日談である。
泣ける恋愛物の話である。タイムスリップした中学生が特攻隊の青年と出会い恋に落ちるという話であるが、結末は想像のとおりで、特攻隊であり運命は変えられず悲運を遂げるというものである。
戦争の悲惨さ無情さ理不尽さを風化させたくない・・という作者の思いが詰まっており、只泣けるだけでなく、様々な事を考えさせられる作品。
作者としては、救いのない話で終わりたくなかったとあり、後日談を2巻目として出版され、こちらは綺麗なハッピーエンドになっている。
作者は仕事を持っており、小説を趣味で投稿したというアマチュアの方である。本業は高校の先生で、当作品は仕事の傍ら、土日などを使ってコツコツを書きためたものを投稿したそうである。
そのように、(別な仕事をしている)アマチュアながら実力ある作家さんの候補は多数いると思われ、そのような方々を随時、発掘できるのが当事業の特徴と言えよう。
(株クラとしては、この看板作品がシリーズ化され、どれほど収益に貢献するのか興味もあり、この続編も読んでみたのだが・・その点においては残念ながら綺麗に完結したので・・今後は当作家の別作品に期待したい)
以上
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