児島のデニム工場から縫製業の未来を考える。
皆さん、こんにちは!
アパレルOEMの会社で生産管理をしている佐藤です。
昨年の12/10に「ジーンズの聖地」児島の縫製工場に行って来ました!
布帛工場出身、カットソーOEM経由の私ですが、巻き縫いのミシンを間近でじっくり見させてもらったのは初めてでした。
ラッパ(ミシンの手前に設置してあるラッパ型のアタッチメント)に2枚の生地を送る手つきが、カットソーのフラットシーマに似ているなぁと。
このミシンをスイスイ扱うには熟練された技術が必要だと思いました。
そして、中間アイロンを極力使わずに縫い上げるスタンスは、カットソーの縫製にとても似ていると感じました。
どちらも生産性を追求した縫製であるとういう点で。
ジーンズの縫製に使う巻縫いのミシンは環縫いミシンと言って、裏側がチェーン状になるのが特徴です。
このミシンは本縫いミシン(直前縫いミシン)と違って下糸をボビンに巻く必要がありません。
カットソーに使うロックミシン同様、太いコーン巻きのミシン糸から針板の下のルーパーに糸が供給されます。
おかげで下糸をボビンに巻く作業や、ボビンを交換する作業が不要になり、太巻きのコーンがなくなるまで、ぶっ続けで縫うことができるというわけです。
他にもシャツやGジャン前立てをアイロンなしで一発で縫えてしまう、12本針2重環縫いミシンという生産性の塊のようなミシンもありました。
こちらはあらゆる前立てのステッチ巾に対応できるよう、ミシンの針棒に針を差し込む箇所が12ヶ所もあり、その中から仕様によって使う針を選んでステッチできるという優れものです。
ラッパにも種類があり、前見頃と前立てがひと続きの生地で作られるZ型と、独立した前立てを見頃と縫い合わせる上乗せ型があり、それぞれに幅のバリエーションがあるそうです。
縫製工場の見学の後に二次加工の工場にも連れていってもらい、シェービング、ブラスト、クラッシュダメージ、ピン打ち、レーザー照射、ストーンウォッシュ、バイオウォッシュ、ブリーチなど、様々な加工の現場を見せてもらいました。
生地、縫製、加工。
ジーンズ生産の全ての工程を児島という土地で完結できることが、児島が「ジーンズの聖地」たる由縁なのだと実際に目で見て実感しました。
街には「糸」と書かれた看板のお店もあり、ビンテージを再現したミシン糸をオリジナルで作っているお店とのことでした。
今まで、デニムの生産には苦手意識がありましたが、強力な生産背景と繋がることができたので、これを機にさらに勉強して自分の強みに変えていこうと思います。
今回の出張に協力してくださった皆さん本当にありがとうございました!
ここからは今回の児島出張を通して私が感じたことを、主観・偏見たっぷり述べていこうと思います。
同じ布帛の縫製工場出身の私ですが、全く毛色の違う工場風景にカルチャーショックを受けました。
私は百貨店に並ぶような婦人服をメインに縫製する工場にいたのですが、デニム工場とは設備も工場内の雰囲気も全く異なっていました。
私が見学させてもらった工場さんが特にそうだったのかもしれませんが、皆さんのびのびと作業している印象でした。
私が在籍していた東北の縫製工場は、ミシンの脇にカウンターを置いていました。
1枚パーツを縫うごとに枚数をカウントし、とにかく速く縫うことを追及していて、現場にはいつもピリピリした空気が流れていました。
働く方の年齢は高く、50代〜60代の女性がメインの職場でした。
それに比べ、見学させてもらった児島の工場は若いオペレーターさんが多く(20代〜40代の方がメイン)、イヤホンで音楽を聴いている方もいれば、時折り笑い声が聞こえるような温和な雰囲気。
この違いはなんなのか?
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