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OBSのノイズ抑制で声が消える人へ ~RNNoise撲滅委員会~
ノイズキャンセルプラグイン関係の記事をいままでいくつか書いてきましが、結局、言いたいことは「OBS内蔵ノイズ抑制のRNNoise(高品質、CPU使用率高め)を配信で使わないで」なので、あらためてそれだけを題材に記事を書きます。
概要
2020年9月のOBS 26.0アップデートで、OBSのノイズ抑制にRNNoiseが追加されデフォルトのノイズ抑制に設定されました。
このRNNoiseが曲者で高い声や叫び声を消してしまったり、声に水中で喋っているような違和感を加えてしまったりします。
高品質と低品質の罠
OBSのノイズ抑制にはRNNoiseとSpeexの2つの方式があり、RNNoiseには高品質、Speexは低品質と注釈がついています。2つのうち話し声を消してしまうのはRNNoiseのみですが、デフォルトの方式でしかも、それに高品質と書いてあったら低品質を選ぶ人はまずいないですよね。
このデフォルト設定かつ高品質という注釈が、声が消える配信がこんなにも多くなった最大の原因だと思います。
RNNoiseを特に使わないで欲しい人
女性で、特に声が高くて抑揚のある喋り方をする方は絶対に使わないでほしいです。間違いなく声が消えます。
RNNoiseも必ずしもすべてのケースで悪く作用するわけではなく、男性の低い声に対しては有効に作用します。私が知る範囲では男性の声を消したり、悪い作用をしているケースはなかったです(サンプル数はそこまで多くないので、男性でも使わないにこしたことはないと思います)
ノイズキャンセルの限界
ノイズキャンセルを家族の話し声などを消すために使おうとする人がよくいます。ですが、ノイズになる声とそうでない声を区別することは原理的に困難です(AIがめちゃめちゃ発達して、誰の話し声かを区別して処理するようになれば可能かもしれませんが、現状はそうではありません)
配信においてノイズキャンセルはエアコンの音や、マイクが持つ固有のノイズなどを小さくするための補助的な機能として使うほうが現実的です。
代案
ノイズ抑制をオフにする
一番シンプルな方法です。ノイズがなければノイズ抑制を使う必要はありません。
音質面でもノイズ抑制は対症療法で、音質が向上しているわけではないので、直接にノイズ源をなくしたり、ノイズに対しての声(これをSN比といいます)を大きくするなどした方が音声のクオリティは向上します。
自分の配信に本当にノイズキャンセルは必要なのか見極めてから、ノイズキャンセルを使用するようにしましょう。
Speexを使う
高品質と低品質の罠の項目でも書きましたが、SpeexはRNNoiseがOBSに搭載されるまでデフォルトとして設定されてたノイズ抑制です。
この2つは品質の高低というよりは、方式の違いという側面が大きいです。Speexには声質が若干変わること以外にデメリットがほぼないですが、タイピング音のような単発の音はほぼ消えません。エアコンやPCファンの音を消す目的なら十分使えます。
なお、Speexを使用する場合はデフォルトの-30dbだと強すぎて声質への悪影響が大きいあので-10db程度での使用を推奨しています。
外部プラグインを使う
前記2つの方法で不十分な場合は、有料の外部のプラグインを使うことになります。無料のノイズキャンセルプラグインもありますが、個人的な調査では無料のもので十分にノイズを消しつつ、声に問題が発生しないものは見当たりませんでした。
下記に3つおすすめのノイズキャンセルプラグインを紹介しておきます。なお、サウンド系のプラグインはセールで価格が大幅に下がることがあるので、それを加味して購入することをおすすめします。
まずはiZotope RX11です。直接、OBSに追加することは出来ず、3つ目に紹介しているStudioRackなどを経由する必要があります。いくつかグレードがありますが、配信用だったらElementsで問題ありません。特徴としてノイズを消す能力は低めですが、変な悪さをしないことがメリットです。他に付属するDe-clickというプラグインがリップノイズ(唇から出るピチャピチャとしたノイズ)を消してくれて優秀です。
次はWaves AudioのCharity Vx。こちらはノイズを消す力がとても強いプラグインです。かけすぎると声を消すこともあるのですが、強さが調整できるのでRNNoiseのようなひどいことにはなりにくいです。StudioRackとメーカーが同じなので、アカウントをむやみに増やさなくて済むのもメリットです。
StudioRackプラグインの紹介です。これはノイズキャンセルプラグインではなく、VST3という標準的なプラグイン形式をOBSで使えるようにするプラグインです。上記2つのプラグインを使う場合は、これを経由する必要があります。なお、このプラグインは無料です。
最後はBrusfriです。今回、紹介する3つのノイズキャンセルプラグインの中では中間的な効きで、私も普段配信ではこちらを使用しています。このプラグインのメリットはOBSで扱えるVST2形式に対応していることで、このプラグイン単体でOBSで使用することが出来ます。
まとめ
私も配信をするので、配信に生活音などのノイズを乗せたくない気持ちはわかりますが、ノイズキャンセルには限界があることを理解して用法用量を守って使用しましょう。
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