RASTERを辞めようと思った日。

「何億回目のゲームオーバー?」

クソカスザコナメクジメンタルのRASTERはこの日849652437回目のゲームオーバーを迎えていた。

2024年の年明けからショッキングな出来事が続き、個人としては急性胃腸炎で正月をお粥と豆腐と素麺で過ごす。白い暴動。俺の胃がTHE CLASHした。

ジョーストラマーと同じ誕生日だってのに、同じ8月21日生まれを名乗るなってぐらい自己肯定感は過去最悪。そのタイミングで父ケンジも体調を崩す。

命に係わるわけではないのだが、手術と長めのリハビリが必要で私生活の6割ぐらいをサポートしなければならない。シャワーとトイレは自力で行けるのは幸いか。

ただほとんど付きっきりでいなければならないので、現在近々で決まってたライブもほとんどキャンセル。貴重でクソ楽しそうな機会を貰ってたのに泣く泣くごめんなさいの電話。その瞬間に849652438回目のゲームオーバーのSEが脳内で鳴り響く。

9月ぐらいから続く左肘の痛みも一向に治まらず、たまらず室蘭の整形外科に駆け込むも簡単な診断と「薬と湿布出しとくからね~まあ効かないと思うけど」の言葉。往復160km、初診まで3時間半待ったけどこれかぁ。きっと二度と行かないかな。その瞬間また脳内ゲームオーバー。

全く踏ん張りの効かないクソカスザコナメクジメンタルが転がり落ちるように闇の中へ。随分と大げさに書いちゃったけど気付けば30年ぐらいこの言うこと聞かない己のメンドクサイの壁にぶつかっては蹴り落とされてたね。

追い越され続けるのが分かる最近の若いアーティストの勢いにビビり、まだどこにそんなバイタリティが残ってるん?と思わざるを得ない先輩たちの活動を見てその背中の遠さを嫌というほど感じる。近くで一緒に集まってあーだこーだ言いあえるメンバーがいる環境を羨む気持ちはギターを初めて買った瞬間からちっとも変わってない。

勉強も練習も習い事もマーーージで全然続かない凡人以下の人間なので、とっくにライブへのモチベーションは死に絶えて40代独身男性がのめり込む典型的な趣味に没頭しててもおかしくないのに、なんでまだ俺はギター持ってステージに立っているんだろう。
一生懸命画像とか用意してバカみたいに多い荷物を2階からヒイヒイ言いながら車に運ぶのだろう。平均2時間以上、今時期はクソ吹雪を超えてライブハウスという場所に行くのだろう。

楽しいとしんどいの天秤はいつも絶妙なバランスを取りながら俺を振り回す。RASTERというフォーマットを思いついてから何回も何回も辞めようと思った。

なんとなく、走馬灯じゃないけどPCの前でそんな瞬間を思い出してみた。

RASTERを辞めようと思った日。

前やってたバンドが爆散して、これからどうしようって時。
バンドとバンドの間に一人でちょっとやってる変なおじさん。それでも良いからステージに立つ側にしがみつきたいなぁ。
ぐらいに思ってたこのやり方が初めてのライブでこれまでのバンド人生の中で一番評判が良かった瞬間。

RASTERを辞めようと思った日。

30歳半ばでもうこれ以上仲良くなれる友達なんで出来ないだろうなぁと思いながらライブハウスに通ってたら、アッサリ今までの倍以上友達ができた時。

RASTERを辞めようと思った日。

クスクス笑いぐらい起これば良いかなと思って用意した画像をMC中に出したら会場揺れるぐらいの人生で一番爆笑が起こった時。

RASTERを辞めようと思った日。

函館で有名なギタリストと初対バンして、ビール持ちながら腕組みして観てたそいつが一曲目終了と同時にステージバンバン叩きながら
「最高だ!!マジで最高だ!あっひゃっひゃっひゃ!!」
って爆笑してくれた時。

RASTERを辞めようと思った日。

MCがウケてるからみんな観てくれてるんだろうなと思ってたら
「まずRASTERは曲が良いからみんな観るんだよ!」
って言ってもらった時。

RASTERを辞めようと思った日。

色んな偶然が重なりまくってまさかのフェスの大トリになって震えながらステージに立ったら思ってた500倍お客さんが盛り上がってくれた瞬間。

RASTERを辞めようと思った日。

ステージから俺が見ている景色を父けんじに見せれた時。

RASTERを辞めようと思った日。

作詞作曲レコーディングミックスアートワーク全て自力でやった1st demoが形になった瞬間。あっちこっちに500円と引き換えに旅立っていく音源を見送る時。

RASTERを辞めようと思った日。

いつもふざけた会話しかしない友達が「今日は真剣に話したい」
と言いながら音源の感想を丁寧に伝えてくれた時。

RASTERを辞めようと思った日。

父をギタリストとして持つ小学生の男の子が、それまで楽器に興味を示さなかったのに、RASTERのライブを観終わったら
「ぼくもギターやってみたい」
と父に向って言った時。

RASTERを辞めようと思った日。

世界一憧れてるギターボーカルにバッタリ再会して
「赤塚!ライブの動画観たわ!何あれ!フィ~リン♪フィ~リン♪ってマジ憎たらしい!」
って歌いながら言われた瞬間。

RASTERを辞めようと思った日。

インディーズというシーンを初めて知ったきっかけになったアーティストが函館まで来てくれて俺と一緒に対バンしてくれた時。

RASTERを辞めようと思った日。

今まで出会った様々なきっかけが一つになったイベントの前夜。

そうやってあと200年ぐらいRASTERを辞めようと思うきっかけを探し続けるんだと思う。

849652439回目のゲームオーバー。
そして849652439回目のコンティニュー。

残機数はまだ898623736575789204305568976機残ってる。

2024年1月27日。苫小牧ELLCUBEでお待ちしております。

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