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「水府の三門」シリーズ

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江戸からはるばる雨宮いばらは、常陸の国に赴任した雨宮又右衛門に会うために、女の身で一人旅立った 又右衛門が亡くなる年に書き上げられた 『美ち艸』は、実はその頃にはもう書き始まって…
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#みち艸

「水府の三門」◆道しるべ◆⑧

「水府の三門」◆道しるべ◆⑧

『遊女真那雪』

なぜ、いつまでも少女の頃のまま
あどけなく
ほがらかに
野にたわむれて
歌うようにふたり
手をつないで
夕空を
藁の山でたわむれ
流れる雲を
いつまでも見ていたかったのに
なぜ
雁など来ぬ寒地に
荊には花など咲きはしない
この里の空にはトンビがピュイーと鳴いた
二羽のトンビは自由に見えた
トンビが鷹を産むことはない
真の荊と言うなら
それは柚子だと笑った
稚く細い新芽でさえ鋭い

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