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一皮剥けた瞬間
一皮剥けた瞬間ってありますか?覚えてますか?
自分にとってのそれは何回かあって。その中でも特に最近ごっついのがあったからここに残しておこうと思う。
ドイツにて、
子供18名+大人3名+自分
の団体のスケジュール管理、通訳等の仕事があった。
主に現地でサポートしてくれるドイツ人のJonah(ヨナ)とコミュニケーションをとりながら遠征を進めていた。
なんやかんやで最終日前日。
無事試合を終えて夕方にホテルに着き、マイクロバスの運転手のおっちゃんとバイバイした。その人はあんまり英語は喋れなかったけど、子供たちの言うArigato! がドイツ語ではAlligator(わに)と似た発音なんだよーって話で朝会った時から帰る時まで盛り上がってヘラヘラしてた仲。そんな話どうでもええわって聞こえる気もするけど、まあまあ聞いててや。
選手とコーチたちにとっては明日の朝帰るだけやけど、自分はまた別の案件でオランダへ向かわねばならんかった。洗濯しときたいなぁと思い、大雨の中小走りで10分くらいのところにあるコインランドリーへ向かおう、とすると電話が鳴る。
「すみません、バスの中でリュックの中身ひっくり返しちゃったときにパスポートを落としたかもしれないので確認してほしいです」
一人の選手からだった。
「わかった、至急Jonahとバス会社に確認するからちょっと待っててほしい。一応もうちょい探してみて、もし見つかったらまた連絡して」
Jonahに電話してバス会社に確認してもらって、小走りでランドリーへ。着いたものの、それまでは団体で預けたら洗濯してくれることになっていたけど今回は個人なので、初ドイツのコインランドリー。仕組みがわからん。ドイツ語でしか説明が書いておらず、どうしたものかと。
来る人来る人に英語話せるか聞いて、おばちゃんに教えてもらえた。やっと洗濯をまわす。45分。いったん帰るか微妙やなぁと思ってたらJonahから着信が。見つけたらしいから運転手の人が40分くらいでホテルまで持ってきてくれるみたいやで、と。40分かぁ、いったん帰ったらランドリーが置きっぱになっちゃうなぁ、盗まれたらたまらんなぁ。などと思いながらも小走りでホテルへ向かう。
ホテルに着くとパスポートを忘れた彼がいた。
「まだ時間あるから部屋で明日の準備とかゆっくりしていいで」
「いえ、待っときます」
偉いなぁ。
「ちなみにコーチたちは知ってるん?」
「まだ言っていないです」
「ばれないように何とかするから安心してくれ」
なんて言いながら待っていると、あの運転手の人が現れた。
"Heyyy my friend!! So here is the passport"
"Thank you, we really appreciate it"
"No problem! Hope I'll see you again"
"Me too for sure, Arigato!"
”HAHAHA Alligator!”
なんて言いながら握手してハグして今度こそバイバイした。Arigatoって言ってくれたのかAlligatorだったのかは、もし次会えたら聞こうと思う。
仕事終わりのプライベートの時間を削ってきてくれた。マジでありがたい。こういう好意に触れると、お世話になる人とはちゃんとコミュニケーションをとらなあかんなと思わされる。もし次の日の何時以降に取りに来てくれとか言われてたらその子だけ飛行機の時間ずれたりしかねなかった。仲良く雑談しといてほんまによかった。
そんなこんなでまた小走りでランドリーに戻って乾燥かけてまたまた小走りでホテルに戻って、そんな帰り道で買って帰って飲んだビールが今までで一番おいしかった。
飲みながら、英語で雨の中忘れ物助けながら知らん言語の洗濯機回したのを振り返って、俺これできるなら今後何でもできそうやわ、としみじみ感じましたとさ。