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この支配からの卒業
その日は突然にやってきた。
まころ(息子・2歳11ヶ月)が唐突に
「Aくんはトーマスのパンツはいとるの」
と言い出したのだ。
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息子は今【くまちゃんパンツ】と家族が呼ぶ、白ブリーフを履いている。
私がこれまで布オムツや布ナプキン関係を使ってみて、全信頼をおくネットショップで購入したものだ。
別に白ブリーフにこだわりがあったわけではない。
ただ肌触りのよい綿が使われているであろうこと、そして自分のものと認識しやすく前後ろがわかりやすいようくまちゃんマークがプリントされている、という触れ込みに魅了されたこと。
ただそれだけだ。
それをオムツが外れる随分前から期待を込めて、セールのときにまとめ買いしていた。
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はっきり言って、おしゃれな代物ではない。
なんなら『ちょっとダサかった…?』と購入した私ですら、実物を手にしてから思った。
だが本人はパンツデビューの嬉しさも相まって「くまちゃんパンツはくの!」とニコニコ。
で、実際に履かせてみると昭和感がなんともたまらず、おかあちゃんの萌え心をくすぐりまくる。
2歳児の白ブリーフ姿、堪らない…!!
そして『こりゃ、最高の買い物したな!』という満足感にいつの間にか浸っていた。
そんな訳でこの夏にパンツデビューして以降、来る日も来る日も彼は【くまちゃんパンツ】で過ごしていたのだ。
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それが冒頭の一言。
よくよく聞いてみると、どうやら保育所で同じクラスのAくんやMくんがトーマスのパンツを履いている様で、それが羨ましいということらしかった。
そして「トーマスのパンツ欲しいん?」と尋ねると、最高の笑顔で「うん!」という答えが返ってきた。
私は愕然とした。
『くまちゃんパンツ、くまちゃんパンツと気に入っとったはずやのに…!』と。
それは息子からの初めての、母のセンスに対するアンチテーゼだった。
いや、わかる、わかるよ。
トーマスのパンツの方がカラフルやし、好きなキャラクターがついとるのはテンションあがるよな、と。
でも、でも、、でも、、、
母好みのものを素直に気に入り、嬉しそうに身に着けてくれていた息子が、遠くに行ってしまう気がした。
これはもう、一抹どころの寂しさではなかった。
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おかあちゃんのセンスからの卒業。
こうして息子はあっという間に、尾崎豊みたいになっていくんやろうか。
まだまだ可愛い今の時期を、もっとしっかり噛み締めよう…!
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