『日本の鳥の巣図鑑 全259』レビュー
『日本の鳥の巣図鑑 全259』
鈴木まもる(著・絵)
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図鑑と書かれていますがまるで絵本のような。いやでもこの物量はやっぱり図鑑というのが正しそう。鳥の図鑑、それも、日本に巣をはる鳥たちの【巣】の図鑑です。
なんでもそうですが、モノゴトが好きで好きでたまらない人が作ったモノや書かれた本って、見ているこちらにもその愛が伝わってくるので、とても嬉しいのです。
この本を書かれた鈴木まもるさんは、家の周りで偶然古くなった鳥の巣を見つけ、その造形の不思議、美しさに魅かれ、様々な鳥たちの巣を観察(したり入手したり)するため、日本のあちこちに行くようになったそうです。
そして、渡り鳥の存在から興味は世界の鳥の巣へとひろがり、とうとう鳥の巣を求めて地球の裏側南アフリカまで行くようにもなったのだとか。
世界に鳥は約9000種。日本では約500種ほどが生息しているとのこと。その中で、この本では日本で巣を作る鳥たち259種(!)の【鳥の巣】を、素敵な絵柄で、緻密に解説してくれています。
巣だけでなく、その巣を作っている鳥たちの生態についても丁寧なイラストで描いてくれています。これが見ていて嬉しいんですよねー☆
鳥たちの生活のしかたや、生息域によって、ほんとうに様々な【巣】があるんだなあと感心させられます。
それぞれ、知恵と本能を駆使して、いかに外敵に見つかりにくく、安心できる巣を作るかを工夫しているんですよね。それこそが鳥の行動や生活基盤そのものだったり。そして、そんな巣を見ることで、その鳥たちのエサ、巣の材料、外敵、人間との関係、環境とのつながりが知れるのだそうです。(考えてみればあたりまえなんですが)
そうして、著者の鈴木まもるさんの視野はとても広がったのだそう。
巣の構造を造形的に見ることで工芸や美術、建築など、モノを作る世界との根源的な共通性をみたり、生命を育てるという点から子育てや教育、社会のつながりを知ったりなどなど。
すべてが【鳥の巣】から広がる世界。そういう感覚というか拡張されていく視野の根本となる鍵が、鈴木さんにとって【鳥の巣】だったのですね。
そりゃあ愛がこもるわけです。
実際、見ていてほんとに感心します。
この物量のすごさ!
もちろん鳥さんたちの生態や巣作りについてもすごいなあと感心しますが、この鈴木さんの愛のすごさにも感心&おどろきです。
※ただ、残念ながら最近は開発によって、この本に載っている鳥たちの中にも、もう絶滅してみることができなくなってしまったものもいるようです。
炭鉱のカナリヤ(ガスに敏感なので人より先に死んじゃうので、昔は探知機代わりにされていたそう><)じゃないですが、小鳥たちがすこしでも長く子育てできる環境が残ってくれるといいですね><
さてさて、鳥に興味のある人もない人も、(ない人はこの本で興味もてるはず!w)、鳥の巣について調べたい時はもちろん、興味本位でぱらぱらとめくるだけでもとっても充実した時間が得られますよー。おすすめの絵本のような図鑑なのでした!
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