【SFは絵だねぇ】『デューン 砂の惑星』の巻
もうじき新作の映画が公開されるという『デューン 砂の惑星』。
ご存じフランク・ハーバートの名作です。私も過去何度かレビューしてきましたが、今回取り上げるのはこちらっ!
昭和47年12月31日発行(って大晦日だ!)の旧ハヤカワ文庫版。の、表紙&挿絵についてです。
ご覧の通り、表紙の絵が石ノ森章太郎さん(当時は「ノ」が入っていない石森章太郎)です。もちろん挿絵も石ノ森先生画です。これが素晴らしいんですよー☆
このころのSF小説本って、こんな風に表紙に漫画家さんを起用していることが多いんですよね。
今の本ではあんまり見かけない、表紙をめくるとカラーページが入っていて、読書前にイメージを掻き立ててくれる口絵!
『デューン 砂の惑星①』の場合は↑こんなかんじ。
表紙もそうですが、普通の漫画の描き方ではない、主線をあえて描かないでペン画による細かい点の点描と、筆(か綿棒?)による太目の点描(っていうんでしょうか)を多重に使って奥行を与えています。
おそらく、『砂の惑星』であることから砂漠の砂のイメージでこういう描き方をされたのだとおもいます。
本文中の白黒の挿絵は、最初のうちは
このように主線と輪郭線をはっきり書きこんだものなのですが
(それにしても黒ベタを大胆につかった印象的な構図です! お話知っているかたは何のシーンだかわかりますね?w)
しだいに背景に点描を多用するようになってきます。(この段階ではまだ点描とは言えないですが、手前の宮殿内の影と、シルエットのかけ網、そして遠景の明るさ表現の対比が見事です!><)
そしてとうとう、
主線の一切ない、点描だけで陰影を描くようになってきます。このシーンなんて思わずうなりました。(そして、これ以降うなりっぱなしw)
当時はマンガを書くのにもトーンなんてつかわれていなくて、点描はてんてんてんてん……と人力で描くしかありません。もちろんパソコンなんてないのでブラシツールで一気に、なんてこともできなかったでしょう。
とてつもない時間と労力をかけて一枚の絵が描かれているわけです。
それが、この『デューン 砂の惑星①』には、表紙とカラー口絵ふくめて17点のアートが含まれています。(白黒挿絵だけで15点)
これが定価360円で買えたというのだから
お得といわざるを得ませんw (今じゃ無理ですねw)
閑話休題。お話を読み進めてみると、ストーリーの進みにあわせて点描率がどんどんあがりますw
これは、あのシーン(わかる?w)
これはあのシーン!(わかりますね?w)
そして、とうとう、砂とは関係ない(?)
霧にけぶる温室も点描で描かれますw (この絵もうなりましたわー)
そういえば、フランク・バーバートは『砂』を描くことで『水』を描いたと言ってる人もいたなあ。なんて思いだしました。
そしてそして!
これ!
会議している男たちが点描、さらに、テーブルに輪郭が無い!!
んもう、ほんと、挿絵って立派なアートですよねえ。
そして見開き。
シルエット黒ベタによる近景の人影と、奥の(これまた完全点描な)砂漠の人。
とても印象的です。
こういう記憶にのこるシーンは美しいアートと共にあるのだなあ。なんて、タイトルにも書きました『SFは絵だねぇ』ってやっぱり思っちゃうのですね。
※「SFはやっぱり絵だねぇ」とは、ワタクシが勝手に師と仰いでおります野田大元帥のお言葉なのです。
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オマケ
②巻以降も点描アートのオンパレードでお得感いっぱいの『デューン 砂の惑星』アートですが、③巻では、あえて点描ではない、水に溶かした絵の具(かな?)をつかった背景シルエットの超印象的なシーンがあります。
これですねー。
これまたすごく印象的な、あのシーンです。ネタバレになるので本来は見開きなんですが片側ページだけの紹介。
そして、④巻までいくと、みんな大好き(わたしだけ?)あの娘がでてきます。
わたしだけかとおもったら、同好の士の方がツイートされていたので、そのまま紹介w
そう、エイリアちゃん☆ 私的にSF界最強の「妹」だと思ってます。この目つき、いいですよねえw
というわけで、エイリアちゃんに会いたかったらぜひぜひ、旧版のハヤカワSF文庫を古本屋さんでさがしてみましょう~。
映画の予習にもぜひw
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