『フーリエの冒険』レビュー
『フーリエの冒険』
トランスナショナルカレッジオブレックス(編)
ヒッポファミリークラブ発行
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便利さで言ったら『虚数の情緒』や『オイラーの贈物』といった大著に匹敵しちゃうと個人的には思っている、実用的な数学の学習本がこちらです。
タイトルに冒険とありますけれど、フーリエさんってキャラが冒険するファンタジー作品ではありません(残念!)w
最初に書いたとおり、これは数学の本なのです。
初版は1988年発行というからかなり古い本です。それでもいまだに売られ続けている息の長~い本。実際、有名なテック企業のエンジニアさんも「この本でフーリエを完全に理解した!」とおっしゃっていました。「大学じゃ理解してなかったのかい!」と思わず突っ込みましたけれど、まあそれだけ実用的ってことですね(笑)
それでもって中身がとっても家庭的。
手書きのグラフや、古いワープロの文字をきりばりしていたりと手作り感満載です。今の感覚ではちょっと読みにくいかもしれませんけれど、なんだか頭のよいお友達のよく整理されたノートをみせてもらっているようで親しみがわきます。
ちなみに、この本を編纂したヒッポファミリークラブというのは多国語をちゃんぽんに使ってマルチリンガルな教育をしようっていう団体だそうです。
多国語環境で、言葉の表現のし方を考えた時、言葉ってまずは「音」だよね。音は音波、空気の「波」ですね。じゃあ、その「波はどうやって正確に表したらいいの?」っていうソボクな疑問から、この本の編纂にいたる冒険がはじまったそうです。
フーリエ級数展開から微分積分、複素数、FFTまで。理工系の高校や大学生なみの数学を、小学生の算数レベルから丁寧にわかりやすく、そして楽しく、フーリエという未知の国を冒険するように書いてあります。
最初のエンジニアさんの言葉じゃないですが、ワタシはこの本でFFT(高速フーリエ変換)を理解しましたw
たぶん、理解した、と思います(あんまり自信が無いw)
今読み返すとマーカーで線引いてあったりして、昔は勉強家だったなあ。なんて遠い目をしちゃったり。まあ、ちゃんと読めばとってもためになるはずですw
ずばり現在フーリエ解析に手こずっている理系学生さんや、フーリエってなにそれおいしいの? っていう文系さんにも、そして、昔やったけどよく覚えていなくて改めてちゃんと理解したいって方々にちょーおすすめの実用的学習書になっています。最近新装版も出て読みやすくなっていますので、ぜひお手にとってみて、一緒に冒険してみましょー☆
※この文ははるか昔にG+あたりで紹介したレビューを大幅にリライトしたものです。原文はこのあたりに残っている模様デス(はずかしい(〃ノωノ))
オマケ追記
新装版と旧版の比較をしてみました。
古い方には私の直筆マーカー付き!(昔の落書きもあったり><)
よーく見ると古い版はフォントがギザギザしている昔のワープロ文字なんですよね。でも新装版は最近の綺麗なTureTypeなフォントのようです。絵も大きくなっていてちゃんと読みやすくなっています。すばらしー☆