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『文体の舵をとれ』レビュー

表紙アップ。オビにもいいこと書かれているので大型画像で。

『文体の舵をとれ』
ル=グウィンの小説教室

アーシュラ・K・ル=グウィン(著) / 大久保ゆう(翻訳)

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技巧クラフト芸術アートを可能にする。

『ゲド戦記』や『闇の左手』、『所有せざる人々』に『風の十二方位』などなど、イマジネーションあふれる世界を描く、自然で大胆で、それでいて繊細な、命が宿るような語り。まるで魔法のような文体から〈西のき魔女〉とも呼ばれるアーシュラ・K・ル=グウィンの小説技法の解説書であり、ワークブックです。

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いや、これ、本当は紹介したくない(またかw)な本なのです。
これ読んで実践したら、確実に小説書くの上手くなります。
ただし、対象は初心者以上。小説を書いてはいるけれど、もっとうまくなるにはどうしたら? と悩んでいるぐらいの段階の「自作の執筆に励んでいる人たち」に向けた小説の海の航海術教室なのです。

ル=グウィンは小説の執筆を、海を渡る船の航海術になぞらえて解説しています。(アースシーの物語など、彼女の書くファンタジーでも多く現れるモチーフですね)

物語の結末という目的地へ向けて、どのように舵をとったらよいのか。小説という芸術アートを作り上げていく技巧クラフトについて、音、リズム、文法、構文、視点など、ライティングの基本的なトピックごとにわかりやすく解説し、そのトピックにあった参考文献(実例)を示してくれます。

各章には、ジェイン・オースティンやヴァージニア・ウルフ、マーク・トウェイン、チャールズ・ディケンズなど偉大な作家が生み出した名文が〈実例〉として収録。

解説より

その上で、さあ、解説もした、例もだした。では、実践してみましょう。と、「お題」が出されるのです><

かなりキツイお題が多いのですが、これを真面目にこなしていったらあら不思議、きっとあなたの小説はめちゃくちゃレベルアップしていることでしょう。(あー、教えるんじゃなかったw)

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個人的には「視点(POVPoint Of View)」の解説がとてもありがたく、参考になりました。一人称や三人称といったことぐらいは普通の小説ハウツー本にもよく出てきますが、「語り」という視点からの分解で、「信頼できる語り手」・「信頼できない語り手」「一人称」「三人称限定視点」「全知の作者」「傍観型視点」などなど、こまかな視点と語りの差を、実際に同じお話で視点を変えた様々なバージョン例をしめしてくれます。
このあたり、意識していない(できていない)プロ作品もあったりするので、(私を含めて)耳の痛い人はおおいんじゃないかと><
逆に言えば、ここを意識するとこれまたレベルアップできるはずです。(あー、おしえたくないわーw)

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ところで、文体へのこだわりと語りナラティヴの見事さは世界最高峰のル=グウィンさまなのですけれど、この「文体」なんていう同言語話者にしかわかりにくいものを見事に翻訳してくれた訳者の大久保ゆうさんもめちゃくちゃスゴイです。
英語でしか通じない部分は若干ありましたが、それについては詳しく説明が別途してあり、その他はほとんど英語と日本語の差を意識せずに読むことができました。これって、めちゃくちゃスゴイことだとおもいます。そのご苦労のおかげで、良い勉強ができています。ほんと、ありがとうございます。

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余談:

本書とは関係ないですけど、以前紹介した

この本との親和性がすごいのです。
特に小説の執筆に関して、この二冊で勉強すると相乗効果がめっちゃ高い……(ような気がします)

※学習効果には個人差がありますw

最近の勉強本。この二冊。いつもカバンにいれてるので透明カバーつけてます。

あくまで、気がするだけですけどねw

あ、もちろん、これもナイショ、ですよw
とくに小説書く人には秘密です。秘密だってば!!

#アーシュラ・K・ルグウィン #大久保ゆう #小説技法 #執筆術 #らせんの本棚

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