『TRPGプレイヤーが異世界で最強ビルドを目指す』レビュー
『TRPGプレイヤーが異世界で最強ビルドを目指す ~ヘンダーソン氏の福音を~』
著/Schuld イラスト/ランサネ
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最近いろいろと異世界物を物色しているワタクシです。
だんだんと普通のテンプレ小説では飽き足らなくなり、つぎつぎと異色作をつまみ食いしていたりするのですが、その中でもけっこう気に入った変わり種作品がこちら。
いちおうは異世界転生もの、若年性の癌で早世した主人公が、異世界の5歳の少年の意識に前世の記憶として知覚されたところから物語は始まります。
冒頭からいきなり自分が正気か否かを悩み始め、生前親しんだTRPGシステムの世界に転生したと自己認識してアイデンティティの確立にいたるまで一切セリフのない内省的モノローグ。
転生する際のいわゆる神サマが弥勒菩薩だったりするところもなかなかですw
で、その後もひたすらクドイ文章がつづきます。まるで明治の文豪ですかいなというぐらい硬質の、普通のラノベではありえない微に入り細を穿つ重箱の隅を楊枝でほじくるようなクドクド文体が怒涛の如く押し寄せるのです。(注:褒めてますw)
これはほんと読み手を選ぶ本ですねー。ライトなノベルを期待していると結構つらいかも?
さらに、メインヒロインが蜘蛛人というのもかなり異色。蜘蛛の上に人間の胴体が乗っかってる異形キャラがヒロインなのです。こういうの受け付けない人はやっぱりきついかも? (めっちゃ可愛いんですけどねw)
そして、お話自体にもTRPGの要素が強く反映されていて、賽子を降る、とか、2D6だとか用語がバシバシでてくるだけでなく、展開もTRPGを意識してそれ風になっています。
中でも激しいのは、タイトル副題にも出てくる「ヘンダーソンスケール」というもの。
これは、GMの意図したシナリオからどのくらいかけ離れるかという指標らしく、作中シナリオが一章分終わると、どこからともなくあらわれて、全然違う未来の姿が描かれます。
いわゆるアナザーストーリーですね。マルチエンディングのゲームやTRPGを理解しているとわかりやすいのですが、そうでない読者にはびっくり仰天しちゃうかも? そのぐらい唐突ですw
そんなこんなで普通のラノベとはかなり一線を画す作品、読み手も選ぶとおもいますが、このクドクド文章も慣れればけっこう読めちゃうので、頑張って一巻読み終えたら、続きを(蜘蛛人ちゃんとのその後を)読みたくなっちゃうますので、なんとか読み進めてみることをお勧めします。
でも! その後! メインヒロインぜんぜん出てこないんですけどねっ!! 焦らしプレイですかっ!(他の人外&異形キャラとはイチャイチャしまくるくせに! むきー!,,Ծ‸Ծ,, !)
※ようやく最新6巻で再登場しましたw
そんなところも普通じゃなくて読者を選ぶ本ですが、そこらへんを乗り越えることができたら新たな境地に至れそうな本ですw 変な物好きの人におすすめですw
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今のところ、6巻まで(4巻は上下巻)でています。
ここまで長大な分量で、ようやく主人公は15歳。メインヒロインにも再開できて、これからの冒険(とクドイ文章w)が楽しみです。
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