『アートで魅せる数学の世界』レビュー
『アートで魅せる数学の世界』
岡本 健太郎 (著)
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数学×アート!
数学というやつはどうしても数式が最初にでてきて(それはそれで美しい世界なんですが)なにかと難しいイメージがまとわりついてきちゃいます。
でも、その数式であらわされた幾何学的な模様はとても美しくて見入ってしまいます。タイトルどおり「魅せ」られてしまうんですねー。
この本は、アートと数学の交差点。
数学の美しさをグラフィカルなアートで分かりやすく示してくれます。
フルカラーで紹介されている数学なアートたちはとってもきれいでぱらぱらとめくるだけでもやっぱり見入っちゃいますよー☆
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まずみんな大好き黄金比の説明から始まって、
フィボナッチ数や五芒星と絡めて理論を図で説明してくれます。しかも、これらの図を描くときにエクセルのグラフ機能を上手いことつかって表現しているので、実際に手元のエクセルで理論を検証しながら自分で描くことができるわけです。エクセル開いてポチポチとやりながら読み進めるとめっちゃたのしいです。
さらに、折り紙やタイル・パターンといった幾何学模様を解説したうえで、ストリング・アートという「アート」を紹介、
これを、実際にエクセルで描いてみせてしまうのです。
めっちゃきれい!
これ、自分で作れるんですよー。
プログラム作成をしたことのない人でも簡単にできるように、VBAとかのプログラム言語は使わず、エクセルのセルに数式をつっこんで、あとは連続コピーすればできるように工夫されています。
綺麗な図になるよう、いろいろな小技も紹介されていてうれしいかぎり。(エクセルの勝手な親切機能の自動補正でアスペクト比が狂っちゃうやつの修正の仕方ってワタシも知りませんでしたわ。これはべんり! パワポで利用する時のワザまで書かれているので、ビジネス系のプレゼンシート書く人にも超参考になるとおもいます!)
そしてそして、これまたみんな大好きフラクタル!
さらに、カオスや力学系まで話はすすみ、いろいろな写像アトラクタまで描画してみせます。
などなど、こんなものまでエクセルで! それもこのくらいの単純な数式でできちゃうなんて!(すんごく繰り返すんですけどねw まあそれもコピー一発なので楽ちんです)
面白いのは、これらはみなエクセルで描画しているので、図のパラメータや式を自由に変えられることです。すぐに発散したり収束しちゃうと分布図としては面白みに欠けたりしますけれど、へんてこな図が出来上がると興味深くて面白いんですよねーw
ただ、どうしてこういう図になるのかはやっぱり私の頭ではよくわからなかったりするので、もっと勉強しなくちゃ。ってなるんですけれども。
ともあれ、そんなところから何か新しい理論の扉が開いちゃうかもしれないですから、それはそれで面白いなーなんて思いながらちょこちょこいじって遊んでいます。
数学の描画をするとなると、つい Mathematica などの高度なソフトが必要な気がしちゃったりします。でも、エクセルでここまでできるならわざわざ高いソフト用意しなくてもいけますね、これはw
と、いうわけで、数学とアートに興味があって、実際に自分でも描いてみたい方(まあエクセルは必要なんですけど)にはとってもおすすめの本なのでした。
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【余談:ついでに別の本も紹介】
こういう、エクセル(のグラフ機能)を使った数学の本に、
こんなのがあります。
これはカオス理論の哲学的・工学的側面を、両陣営のえらい人同士の対話で書かれたなかなかおもしろい本なのです。
この中でもカオスの写像をエクセルのグラフ機能で描いています。(20年以上前にもそういう機能つかえたのねーってのもすごいですね)
さらに余談
このカオス本の編集者である(数学はまったく素人の)増田尚美さんが、エクセルでいろんなデータをいじっているうちに、新しいカオスのトランジェント(アトラクタに至るまでの過渡的現象)パラメータを発見してしまって、彼女の名前を取ってナオミ・トランジェントと呼ばれるようになったのだとか。
すごいですねw
素人でもそんな形で数学に貢献できちゃうw
ワタクシもなにかあたらしいパラメータを発見して「らせんアトラクタ」とか命名しちゃおうかなとか夢見てしまったりw
けっこう高度なことまで、実は工夫次第でエクセルでできちゃうのですね
ぇ。みなさんも数学史に名前を残したければ、レッツエクセルですよ!w
素人ゆえに玄人じゃ思いつかない事もできちゃうかも、ですw
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もいちど本のリンクはっておきます。
↑カオス本は古本屋さんのほうがいいかも? です。
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