見出し画像

『服飾師ルチアはあきらめない』レビュー

1巻表紙

『服飾師ルチアはあきらめない』
~今日から始める幸服計画~

甘岸久弥(著)雨壱絵穹(イラスト) / キャラクター原案:景

📚

手袋や靴下、小物編み物などを一家で作るファーノ工房の娘、ルチア・ファーノには夢がある。
それは、
「自分の店と服飾工房を持ち、自分がデザインしたかわいい服で王都をうめつくすこと!」

チビで地味な見た目を男の子からからかわれ、派手な服なんてどうせ似合わないと泣いていた幼女時代、裏路地で出会った「夕焼けのお兄ちゃん」から『本当に好きなら着てしまえ、君はレースもリボンも、きっと似合う』と保証されて、彼女は、大好きなかわいい服を着ることをもう諦めない。と心に決めるのでした。
さらに、幼馴染の親友、ダリヤがまっすぐに魔導具師への道を進んでいる姿勢から、ルチアも服飾師への道を目指すことに。大好きなかわいい服を、自分でデザインし、作る工房を立てたいと夢に道筋をたてます。

工房の娘とはいっても庶民ですから、新たに自分の工房を作るなんてことは普通ならば夢のまた夢、貴族に嫁入りしてパトロンにでもなってもらわなければ簡単にはできません。
けれど、そういう自由のない工房では意味がないと、彼女は自分でコツコツとお金を貯め、服飾師からワザを学び、少しづつでも夢に向かい励んでいました。

そんなとき、以前ダリヤから依頼されて作った靴下が突然で空前の大ヒット。あれよあれよと言う間に服飾ギルドに新設された『服飾魔導工房』の工房長に抜擢されてしまいます。

身分的にも実績的にも大役に足りていない庶民の娘のルチアなのですが、足りない分は情熱でカバー! と、持ち前の明るさと天性のデザイン力、そしてあきらめの悪さ(笑)で難題をクリヤ。
当初彼女の能力を疑問視していた同僚たちもつぎつぎと彼女の軍門(?)にくだり、服飾師ルチアの大活躍が始まるのです。

📚

と、ちょっと長めに粗筋書いちゃいましたけど、ここまではみなさんご存じ(?)『魔導具師ダリヤはうつむかない』の前半にかぶる、別視点でのお話になっています。
これが、単に別の主人公からみた同じストーリーということはなく、うまいことところどころで『ダリヤ』側とお話が交差する、トピックになる出来事が共有された、同じ世界で同じ時間だけれど別の場所の別のストーリーになっています。

もちろん『ダリヤ』はよく登場します。そしてご飯おいしそうw

なので、もう知っているキャラや知っているセリフが出てくると嬉しくなってきます。あのキャラの過去や背景がこうだったの? あ、こいつここでこんな重要な役回りやってる!! なんておもわずニヤリとしちゃう。
もちろん『ダリヤ』を読んでいなくても十分たのしめますが、あちらも読んでいると二倍たのしめる、巧妙な作りになっているのですね。

そしてそして! ルチアの活躍で、彼女と同様着たい服を着れずに、やりたいことができずにあきらめていた老若男女が夢をかなえていくエピソードが良いのですよー。
ベタというなかれ。こういうの好きなんです><

なんせ『服飾魔導工房』の給料がいいもんだからw 彼女自身、自分の夢をかなえつつ、周りの人々を幸せにしていくのです。よいわー☆

異世界物だけれども転生由来のチートがいっさい無いのもいいですね。(ルチアは転生したわけじゃないですから)まあちょっぴり『ダリヤ』由来の幸運はおすそわけしてもらったにせよ、彼女自身の魅力と実力で、服飾という美と職人の世界でお仕事をしていく姿がすなおに格好よい。

これはもう読む人みんなに夢と希望を与えてくれる、いい感じに女子の夢がキラキラとたっぷりつまった。素敵な異世界美装小説なのではないかと。

服飾関係だけでなく働く女子、特にイケメンの顔を見る前に服装をチェックしちゃう系の女子に超おすすめですw

いまのところ2巻まででてます。
『ダリヤ』のほうで全開になっているモノづくり要素が服飾のほうにシフトして、イケメン要素がかっこかわいい服になって(笑)ご飯やお菓子がおいしそうな、そんな幸せなお話です。こちらもよいですよー☆



こちらがスピンオフ(嘘)
『魔導具師ダリヤはうつむかない』です。もちろんこっちもおすすめ!


#甘岸久弥 #雨壱絵穹 #景 #らせんの本棚 #ものづくり #ファンタジー #異世界物

よろしければサポートお願いします!いただいたサポートはクリエイターとしての活動費にさせていただきます!感謝!,,Ծ‸Ծ,,