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『ボイジャーの海王星トラベルガイド』つまみ読み(宇宙機姿勢制御編)
以前ちら紹介した、1989年にNASA(JPL)が公開した冊子(と言っても291ページもある立派な本!)
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The Voyager Neptune travel guide
↑を、DeepL翻訳さんのパワーで翻訳しながらみりみり読んでるんですけど、
DeepL翻訳のアプリ、めちゃ便利ですやん><
— 神楽坂らせん@『ちょっと上まで…』10話公開!,,Ծ‸Ծ,,☆ (@auxps) October 30, 2020
英文のPDFからコピペしてそのまま翻訳して、さらに上書きできちゃう。(それはAcrobatの機能だけど)
いままでの苦労ががががっ!><https://t.co/deTkwLrvkp pic.twitter.com/f4U9KIJNh4
この本、ほんっと良いですよ。めちゃくちゃ面白い。そして、ここまで公開しちゃっていいの? ほんとに? 誰か真似したらボイジャー作れちゃうよ?? (無理だけどw) っていうぐらい真っ正直に当時の宇宙機に詰め込まれたテクノロジーの数々が書かれています。すごいですw
もう、この目次みるだけでワクワクしちゃうのですw
ボイジャーの超テクノロジー目次(の一部)
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驚異のポイントはいくつもあるんですが、まず面白かった小ネタをひとつw (ほかにもたっくさんあります!)
バス?
まず32ページめ。Bus? ぶす? 違う、バスですw
ボイジャーのアンテナや原子力電池や各種センサーをつないでいる胴体部分は「バス」と呼ぶのだそう。バスと言えばもちろん乗り合い自動車のことですが、コンピュータの世界ではデータ等の信号をやり取りする線の束のことをバスと言ってますね。語源は知らないけれど、ボイジャーのいろんな機器をつないで束にしているところなので、これも「バス」と呼ぶみたいです。
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↑この胴体の10角形がバスと言うそう。子供から「バスの絵描いて」って言われたらこれ描きましょう(ダメ
それと、このボイジャーさんは、進行方向(地球と反対方向)をZ軸にして、このバスを中心に3軸のロール(回転)をヒトラジン(猛毒)スラスタで回転できるようになっています。ただ、カメラの向きは(ほぼ)固定なので、例えば土星の衛星とかを撮影しようと思ってそちらにカメラを向けたら、また、地球方向にアンテナの向きを戻さないと通信ができません。(パラボラアンテナもバスに固定されているので)
ただ漠然と宇宙を突き進みながら、適当にカメラでとらえたデータを地球に送っているってだけではないのですね。いちいち見たい方向を見て、写真撮って、データを送るためにまた地球の方向を「正確」に向いて、データを送信しているわけです。
少々余談
流し撮り
余談ですが、この写真撮影、太陽からの光が比較的強かった火星とかまでならまだよかったけれど、土星以遠になるともう光量が少なすぎて綺麗な写真が撮れなくなってしまったそうで、じゃあどうしようとNASAのエンジニアさんが頭をひねり、「シャッターを開けたまま、ボイジャーの移動に合わせて、狙った天体の方を向き続ける」という、「流し撮り」をするようにプログラムを書き換えたそうです。あのボイジャーが送ってきた土星やら海王星の写真、シャッタースピードはどれくらいだったのか、興味ありますねーw
宇宙(そら)飛ぶテープデバイス
もひとつ余談、撮影した写真データは、当然コンピュータで処理されるわけですが、ハードディスクなんて積んでるわけないし、メモリもたかがしれてます。(総メモリ数は8192ワード! 8Kですよ!!)しっかり遮蔽してあるとはいえ、コンピュータのメモリは宇宙線にさらされると良く壊れてしまいます(実際、土星付近で8192ワード中256ワードが壊れてしまって読み書きできなくなったそうです。ここからの復旧もドラマなんだけれどもそれは長くなるのでまた今度w)撮影した写真やなにやらのデータってどうやって保存しているのかしらんって思ったら、DSS(データ・ストレージ・サブシステム)の中に「Magnetic tape」 なる記述が!! なんと、磁気テープで保存しているそう。(8トラックで1トラックに800x800x8ビット画像(640KB)を12枚保存できる。それが8トラックなので、全体で96枚の(当時としては)高解像データが保存できるというわけ)宇宙の彼方で磁気テープがぐるぐる回ってデータを貯めて、それをゆっくり地球へ向けて送信していたというわけですねー。
で、で、ここでさらに驚きというかすっごいのが、テープデバイスってことは、モーターが回ってテープが動くわけですよ。当たり前ですが。
で、宇宙空間でそれをやると、ちょっとだけれど慣性が働いてボイジャー本体というか全体の向きが変わってしまうのだそうです。
なので、テープドライブを動作させる瞬間にちょぉっとだけ姿勢制御用のヒトラジンロケットを噴射してモーメントを打ち消しているんですって!
そんな微妙な制御を計算してボイジャーに送ってやらせているって凄すぎません!? もちろんそこまでしないと地球↓にアンテナを向けられないんだそうですが、なんというか凄すぎ!
で、どうやって地球にアンテナ向けているの?
もちろんジャイロを搭載しているから。なんですが、何の目印もなく漆黒の宇宙で向いている方向がわかんなくなっちゃったらどうしましょう?
三次元空間で一定方向に姿勢を保つには、動かない目標が最低2つ必要です。
一つは我らが太陽で良いでしょう、では、もうひとつは?
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答えは、カノープス。
カノープスは、全天でシリウスに次いで2番目に(太陽をのぞけば)明るい星です。シリウスはボイジャーから見えない位置に来てしまうのでカウント外。
ボイジャーは、星空をスキャンして、太陽以外で一番明るい星を見つけ出し、その方向に姿勢を合わせ、そして、太陽のほうへアンテナを正確に向けることで、常に自分の姿勢を正確にわりだしているわけです。
道は星に聞け。なんて古いナビのCMにありましたが、はるか宇宙の彼方でも同じことをボイジャーさんはやっているわけですねー☆
なお、↑はボイジャー2号の場合です。ボイジャー1号はコースが違うので、カノープスの変わりにケンタウルス座α星を目印にしているそうです。
◇
なんて感じでボイジャーの秘密ががっつり書いてあるこの本、サイコーに面白いです。今書いていたようのは一部のなかのごく一部。
↑もっかいはっとくます。
これからも解読をすすめながら(ってほぼDeepLさん頼りなんですがw)ネタ見つけたら書いていきますねー。
ボイジャーさん、もうじき電池が切れてしまうそうだけれど、それまでに読み切れるかなー?><
で、最近も
ボイジャーさん、相変わらず頑張ってくれています。
先日、こんなニュースが入ってきましたねー。さすがですねー!
もちろん、そうした観測データは、以前紹介した
のパラボラアンテナ超技術を使って、X-Bandではるか140億マイルの旅をしてくるわけです。なんともドキドキです。
やっぱりパラボラは人類の英知なのですネ☆
追記!!
冒頭でみりみり訳していると書いたやつ、とうとう訳し終えました!!
↑こちらで日本語版公開しております!
あらためて読み直してもスゴイ内容です。ぜひ日本語で読んで見て下さい!
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