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切るべきか切らざるべきか

浸潤がなく転移もない前立腺癌の標準治療は

①ホルモン療法
 ・毎日の服薬と毎月の注射

②根治的全摘徐術
 ・ダヴィンチによるロボット手術

③放射線治療
 ・外照射(IMRT)+内照射(小線源)
 ・外照射 重粒子 or  陽子線
 ・外照射 サイバーナイフ

が示されました。

①のホルモン療法はかなり有効な治療法ではあるのですが、根治出来るわけでもなく、いずれ耐性が出来て効かなくなるので、年齢的には選択肢外。

残りの②③はどれを選んでも根治率、再発率に差はないとのこと。

②の手術による治療は根治的な治療なので比較的若い患者は多く選択されているようです。

ただ、前立腺と一緒に精嚢も取りますのでその後は射精が出来なくなります。また前立腺の両側にある勃起神経も切除されれば勃起も不能となります。
最近はダヴィンチを使って勃起神経温存術もやるようですが、確実ではないようです。
また、前立腺は尿道の周りにある臓器なので摘出時にはその部分の尿道も切除され、術後は尿漏れなどの症状が出るようです。個人差があり、早く元に戻る方もいらっしゃれば重篤でオムツなどが必要になる人もいるようで、QOLの低下が気になります。
再発についても切って無くなってしまえば再発が無いと思っていましたが、癌細胞が手術の際に一つでもこぼれ落ちていればそこから再発する場合もあるなど、細胞レベルでの残存から再発、転移の可能性が0ではないと言うことも初めて知りました。

全摘の1番のメリットは実際の癌を摘出後に調べて、画像からだけではわからなかった実情を診る事ができる事。さらに関連するリンパ節も一緒に調べる事で転移の有無、可能性もある程度わかる事です。

③の放射線治療は②と違って臓器を温存するのでQOLの低下は緩やかです。

デメリットとしては患部以外の箇所への影響。どうしても身体の中にある患部だけに照射するのは不可能で皮膚や周りに影響を与えてしまいます。
また、切除して直接幹部を見るわけでは無いので、あくまで画像診断などから得られる情報から状況を仮定しての治療となる事です。
そのためほとんどの場合①のホルモン療法と併せて治療することになるようです。

外照射の重粒子線と陽子線では重粒子線の方が強力で、デメリットはあまり変わらないと判断したのでこの時点で陽子線は脱落。

サイバーナイフは放射線ですが、今回初めて存在を知り治療医に話を聴きに行きました。ダヴィンチのようにコンピュータで制御されたロボットアームの先から正確に照射すると言うものだそうです。
とは言えすぐ後ろに直腸があるため直腸へのダメージを防ぐために前立腺と直腸の間にハイドロスペーサーゲルと言うものを入れる手術が必要だと言う事でした。
またおそらく同時にやると思うんですが、患部をキチッと狙い撃てるように金のマーカーを患部に留置する事も必要だそうです。
重粒子線や陽子線の治療は1回の施術は短時間ながら、数十回の施術が必要で、地理的な制約を受けやすいことが難点ですが、サイバーナイフはわずか5回(1日おき)の施術で済むため地理的、期間的制約が抑えられます。
私の訪問した病院では治療前半年はホルモン療法を行い患部を叩いたあとに治療を開始するとのことでした。

最後にIMRT+小線源ですが、悩んだ結果私はこの方法を選ぶことにしました。

小線源と言うのはシャープペンの芯を4.5mmくらいに折った様な形のシードと呼ばれる放射線を徐放する金属を生検の時の様に針で前立腺内に50〜100個留置し、内側から放射線を照射する方法で、放射線が出なくなる1年間の間絶え間なく患部を攻撃し続けます。
放射線治療で1番難しいのは患部以外へのダメージをいかに防ぐかですが、患部のみを直接叩ける小線源は非常に理にかなっていると感じました。
またシードからの放射線は数ミリ先までしか届かないため、周りに影響を与える可能性は非常に低いのですが、私が治療を受ける病院ではサイバーナイフ同様にハイドロスペーサーゲルを入れるので、直腸への影響も防げます。
また小線源だけだと問題になるのが②の手術と違いリンパ節などへの転移が確認できない部分をどう補うかと言うことになります。
それに関して行われるのがIMRTによる放射線による外照射です。
転移や浸潤の可能性が疑われる部分などのケアのために外側からも放射線を照射して万全を期すと言うことです。
私が治療をお願いする病院では、施術待ちが多くて8月の受診の時点で来年5月だと言われました。

そのためそれまではホルモン療法で癌を叩きつつ施術に備えることになります。

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