スニーカーについて思うこと
という、タイトルで釣るような真似をして恐縮だが、別にスニーカーに関する知識が豊富なわけでもなければコレクターでもない。
人並み程度の知識しかなく、NIKEのショップに行けば未だにAIR MAX狩りを想起するような古いタイプの人間だ。
たびたび綴ってはいるが、僕の職種は営業。
基本的にスーツ着用だ。
このご時世になる前は仕事上の飲み会の頻度も高く、仕事終わりに飲み屋街をウロウロすることも頻繁だった。
そして勤務時間外とはいえ、上から下まで所謂会社員スタイルでいることが常であった。
同じような格好をする方は多かれ少なかれ思い当たるだろうが、革靴というものは中々に足が疲れる。
靴自体や中敷、靴紐、手頃なものから高めのものまで色々と試してはみたが、マシなものはあれど根本的な疲労が解消されることはない。
一日中キッチリした形の靴を履き、それが1週間の5/7を占めるのだから無理もないだろう。
そんな疲労との付き合いが十数年を超えた2020年、例の感染症が猛威を奮い、飲み会という飲み会が無くなった。
もともと一人飲みも好きではあったが、その機会すらもめっきりと減る。
繁華街に立ち寄ることも激減し、家と会社の移動途中に歩き回ることもなくなってしまった。
知り合いと会うことも少なくなった。
ここでふと思う。
どうせ誰かと会うこともないのだから、通勤の時くらい革靴を辞めてみようか。
スーツは革靴ありき。
ビジネススタイルのスーツにスニーカーなど、当然のことながらコーディネートとしてはNGだ。
それは重々承知の上でだが、一度試してみたくなった。
「スーツ スニーカー」で検索してみると、これはこれで多少の市民権は得ている様子。
検索語句の候補に、
「スーツ スニーカー ダサい」
「スーツ スニーカー おじさん」
なども出ては来るが、これらの候補は見ないフリをして…
「スーツ スニーカー オシャレ」
を選択する。
それなりに“アリ”なようだ(と、無理やり思い込む)。
ある日の会社帰り、ABCマートに立ち寄る。
あらゆるメーカーの靴を試し履きし、中でも相性の良さそうなPUMAのウォーキングシューズを購入。
出来るだけ悪目立ちしないよう、アウトソールに至るまでベルトと同色のものを選んだ。
また、営業先をスニーカーで訪ねる程の勇気は無いので、会社のデスク下には革靴を置き、外回りの時だけそれを履く生活を続けた。
この作戦により得られたものは、あまりにも大きかった。
さすがウォーキングシューズ、歩くことに特化している。
通勤中の朝夜合計約2時間をスニーカーに変えただけで、体、特に足の疲労感は激減した。
作戦初日の夜には効果を実感できるレベル。
そして履く時間が減った革靴は、(当然と言えば当然だが)かかとの減りも緩和され、アッパー等の劣化も緩やかになった。
僕の持っている革靴はスニーカーよりも高価なので、これは嬉しい副次効果。
おかげで牛丼に半熟卵を付けても余裕な経済力が生まれた。
いずれは差額貯金で御殿が建ち、スポーツカーを複数台所有することになると踏んでいる。
気を付けながらとはいえ、寄り道をする機会も徐々に増え始めた。
そんな日は「人と会う」という目的がある以上革靴のまま退勤し目的地へと向かうが、何もない日はスニーカーで帰路につく。
「オシャレは足元から」「誰も見ていないからといって気を抜くな」「コーディネートを舐めるな」等の賛否両論(“否”しか思い浮かばないが)はあるだろうが、何事も体が資本。
連日飲み歩く日が来ない限りは、このスタイルを貫こうと思っている。
困りごとの解決方法は存外、足元に転がっているようだ。