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尊敬する仕事観

もう10年以上も前になると思うが
新聞社のweb記事に山下達郎さんの仕事観に迫るインタビューがあった
今、探してみたところ記事は既に落とされたようで読むことはできないが

とにかく凄まじい内容だった
その後の僕の人生にも大きな影響を与えてくれた

きっと、その記事を読んで僕と同じことを思った人が大勢いたのだろう
断片だが記事の切り抜きが落ちている
前後の文脈が抜け落ちているので、ちゃんと伝わるかいささか不安であるが少し引用していきたい

何のために音楽をやるのか、表現者としてどんな音楽活動をしていくのか。僕はそうした自分に対する問いかけを常にしてきました。功名のためとか、金もうけの手段として音楽を選んだわけではないがゆえに、自分の表現の必然性を自分なりに考えて生きてきたのです。

僕は「夢はかなわない確率のほうがずっと高い」と思う人間です。ですから、懸命に努力し、その結果夢がかなわなかった時にはどうするのか、それをも想定して仕事をするべきではないか。

新人バンドなどがよく説得される言葉が「今だけ、ちょっと妥協しろよ」「売れたら好きなことができるから」。でもそれはうそです。自分の信じることを貫いてブレークスルーしなかったら、そこから先も絶対にやりたいことはできない。

夫婦でCMに出ないかと誘われたことがあります。2日間の拘束で相当なギャラでした。でもそんなことをしたら、自分の曲が書けなくなります。曲を書くのは大げさに言えば命を削る作業なので、できなくて苦しんでる時に頭に浮かぶでしょう、またCMに出ようかなって(笑)。曲を書く以外に生きる道はないところに、いつも自身を追い込んでいなければと思うのです。

僕はアーティストという言葉が好きではありません。知識人とか文化人といった、上から目線の「私は君たちとは違う」と言わんばかりの呼称も全く受け入れられない。名が知られていることに何の意味があるのでしょうか。市井の黙々と真面目に働いている人間が一番偉い。それが僕の信念です。

昔からハワイやアジアなどの海外公演の誘いがたくさんありましたが、全く興味がありません。そんな時間があったら、日本のどこかで真面目に働いているファンのために演奏し、歌いたい。それが僕に課せられた責務だと思っています。

指物師が尺も何も使わずに目分量で切って、ビシッと寸分違わず枠をはめるとか、グラインダーの研磨の火花でアンチモンが何%入っているか分かるとか、本物の職人技を見ると心底感動します。きっとそういう職人たちは有名になることにはこだわりがないでしょう。人の役に立つ技術を自分の能力の限り追い求めているだけ。それが仕事をする人間の本来の姿だと思います。

僕も姿勢は職人です。作った曲が誰かに喜んでもらえればそれでいい。この社会は職種に関わらず、懸命な仕事人の働きによって回っていると思います。

もはや自分のための備忘録となってしまって申し訳ないが
この言葉の断片からでも、山下達郎さんの仕事観を窺い知ることができるだろう
時折思い出して自分の仕事観を見つめ直すことがある
本当に素晴らしい内容だったために、全文が落ちてしまっているのが悔やまれる


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