才能とエキスパート
今、あなたがなにかを始めたとしよう。
練習をする。
上手くなりたくて、たくさん練習する。
そのときにきっと頭をよぎるのが、「この練習をしたらうまくなるのか?」っていうことなんじゃないでしょうかね。うまくなりたいから練習する。でもうまくなっているのかがわからない。
僕がピアノを始めてから9ヶ月、ずっとこのもやもやが頭の片隅に、サイズの合わない靴を履いたときの小指のマメみたいに存在し続けていた。
今僕がやっていることって、うまくなることに近づいていないんじゃないのか?いま楽譜通りに弾けていないのって、才能がないからなんじゃないのか?元から上手い人、才能のある人だったら、そもそもこんなところでつまずかないんじゃないのか?
「今起こっている上手く弾けていないっていう現象が、ほんとうに起こるべくして起きていることなのか?それだったら受け入れていくらでも練習するんだけど、それともまるで検討はずれなことをしているのか。まるで翼がないのに飛ぼうとしているようなものなんじゃないのか?」ということなんだろうな。
ふわっと浮かんでいた考えは、次第に具体的になっていく。あのトッププロも、同じ道を通ったのだろうか?僕が3歳から始めていたとしても、こんなふうに弾けなくて、同じ指使いに苦しんだのだろうか?あの人も左手の和音を、同時に均等に鳴らせなくて、僕と同じように自分の小指の弱さを嘆いたんだろうか?
僕は今それに苦しんでいて、でもそれを解決して上達するために工夫をして練習してる。でもその作業って、僕ができないタイプの(才能がない)人間だから発生していることで、もしかしたらとんでもない遠回りなんじゃないか?とか、何度も何度も繰り返して覚えようとすることって、僕だからこんなに回数かかってるけど、生まれつき才能のある人はこんなにやらなくてもできてしまうんじゃない?とか。
「俺は大丈夫なのか?」っていう漠然とした不安と常にたたかっている感じ。
自分は弾けるようになる、っていう気持ちは微塵も揺らいでなんかいない。根本は弾けるようになりたい、っていうのも変わらない。
ただ言うなら、上手くなること、音楽的に深めていくことに集中できていない。つまり気が散っている状態なんだ。
こんな気持ちを要約したのが、冒頭の「今の練習してて俺うまくなるの?」っていう不安。
そしてここまで書いておいてなんだけど、それがあっけなく解決した、という話。
納得した内容がこれ。
「生まれつきの才能でそれができるかどうか決まるのではなく、生まれてから何に着目してなにに意識を向けて何を繰り返して時間を過ごしてきたかでそれは決まる」ということ。
「エキスパート・天才・才能っていったいなんなのか?」っていう研究に対する一つの回答として提言されていて、これはまさに僕が身をもって証明しようとしていることをそのまま背中押ししてくれる内容だ。
そして同時に考えたのは、僕は「何をできるようにならないといけないのか」をはっきりさせて、「それをクリアするための正しい練習計画が必要」だなっていうこと。それがないから冒頭の不安になる。
よかったのは、「今の僕のつまずきとそれについての改善のための努力と時間は、間違いなくトッププロに近づいている」って妙に腑に落ちて、納得したことなんだよね。僕は今、細かいことにこだわるべきなんだってこと。
それはやらなくていいことだとか、才能があるとかないとかそういうわかりやすい指標で片付けるべきではない問題で、間違いなく今やるべきことで、"どんな人でも必ず通ってきた道"なんだっていうことがわかって…
すごくすっきりした。
興味がある人は、これを読んでみてください
とにかくホッとした。
ホッとしたから今日も練習しよう。
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