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元勇者パーティーの雑用係だけど、実は最強だった〜無能と罵られ追放されたので、真の実力を隠してスローライフします〜⑩

「俺の事は好きになっても大丈夫。だけど 他の男の前でそんな無防備な態度をとったら駄目 絶対にダメ! 俺みたいなのにこんな簡単に ついていくのは危険だ」
と言うと、俺はその場から離れようとしたが、 彼女の方に引っ張られるのを感じ、後ろを振り返ると、 俺の顔を両手で包むと唇を合わせてきた。
「ふぅ……」
俺はしばらくボーッとしていたが我に返って 彼女がキスをしたのだと気づくと俺は混乱しながら、急いで宿屋を後にした。
俺は宿の庭に行くと 俺の心の中で誰かが語りかけてきて俺は驚いてしまった。
(おいおい……さっきのあれは反則じゃないか。あの子は俺の好みのタイプど真ん中なんだぞ)
と俺は思ってしまう。
しかし今はそれどころではない。
俺は心の中のもう一人の自分に問い詰めて、先程の女性の情報を収集する。
その結果分かったのは彼女は俺がこの世界で初めて遭遇した人間であるという事が
わかったのだ。
俺はとりあえずは彼女に対しての対策を練ることにした。
俺は彼女に嫌われたくないので、彼女に好かれる努力をしようと思うのであった。
俺と彼女は先ほどのやり取りでギクシャクしたまま旅を続けるのだった。
そのせいか、会話があまり弾まない。
このままではいけないと思い俺はある提案を行う。
「そろそろ休憩にしませんか? ずっと歩き通しだったので、少し疲れて来ていたのですが」
と俺が問いかけるが彼女は、まだ頑張れるから問題ないと言い、先に進み続けるので、俺は無理矢理止めると、強引にベンチに座らせ休ませると、彼女は不満そうにしていたが俺は無視する事に決めて お茶の魔法ビンを手渡すとそれを飲むように進める。
彼女は渋々それを受け取ると蓋を外すと飲み始める。
喉が渇いていたのだろう。
ゴクリと飲むと一気に飲んでしまう。
俺は魔法ビンを彼女に手渡すと俺の手を握ると 俺の顔をジーと見つ続けているのに、耐えきれず、俺は彼女に話しかけた。
「何か俺に付いていましたか? もし何かあれば言って欲しいのですが、俺は鈍感野郎 だからそういうの分からないんですよ。ごめんなさいね 俺が謝っても許してくれなくても仕方がないと思うけどな」
と俺は彼女に尋ねると彼女は、黙ったまま俯くだけだった。
そんな彼女との微妙な雰囲気のまま 歩いていると森の入り口に到着する。
森の中に入る前に、彼女に
「ここで待っていてくれると嬉しいんですが、あなたに何かあったら嫌な気分になるので出来ればついて来てほしいんだけどいいかな?」
29.
そう言うと彼女は静かにコクりと
首を縦に振る。
そして二人で 一緒に森の奥へと
進んでいくのだった。
俺達は奥に進むにつれてだんだんと道が悪くなっていき 泥や岩で足元が不安定になり俺は、何度も足を取られてしまいそうになったので 俺は仕方なく地面に
座りこむことにした。
俺の様子に気づき彼女は、近くに寄り添ってくれたので俺がお礼を告げようと口を開きかけると彼女は俺の口に手を 添えると微笑みながら俺の言葉を遮ってきた。
俺はその表情に見惚れてしまう。
しばらくして俺は立ち上がると、
再び探索を再開する。
俺と彼女はその後も特に大きなトラブルに遭遇することなく 順調に進むことができ、
ようやく村に到着したのだが村は壊滅状態で、村人達の気配はなく俺は、生き残りはいないだろうかと村の中を見て回ると一軒の家を見つけたので俺が彼女に外で待つように伝えると 家の中に一人で入り家の主人がいないかを捜索した。
部屋の中のあちこちを 調べてみたが誰もいなかったので、俺は彼女と一緒にこの村を出ると、 俺達は何も言わず ただただひたすらに前に向かって進み続けた。
それから、どれくらい歩いたのだろう 俺と彼女に疲労の色が見え始めて来たので、俺は、野営をするために夜を過ごす場所を探した。
ちょうど良い広さの場所を見つけてそこに入ると俺は、すぐに夕食を作り出した。
料理を作り終えてテーブルの上に置くと俺と彼女で食べることにする。
俺が作ったのは簡単なスープでパンをつけて食べた。
食事が終わると俺と彼女は交代で見張りをすることにした。
俺は、最初に休むことになった。
目を閉じてから1時間程が経った頃に俺の名前を呼ぶ声が聞こえてきたので俺は起きると、彼女は心配そうな様子を見せていたので、どうやら彼女は眠れなかったみたいで、彼女は 俺の顔に視線を送ると、俺の目の下辺りを指でなぞった。
俺の肌は乾燥しておりヒビが入っていたので彼女はその事に気がつき 俺に水を渡すと、俺はそれを飲んだ。
その後に再び交代をしたので俺は眠りについた。
30.
俺と彼女は、
「ねぇ。これから何処に向かう予定?
もし良ければ 教えて欲しいんだけど」
と俺が言うと 彼女は、
「私にも分かりません」
とだけ言い残してどこかに行こうとした時、俺は引き留める。
俺にはこの子を行かせる訳にはいかない理由があるからだ。
なぜなら、今の俺はレベルが上がりステータスがかなり上がっているはずだ。
もし万が一に魔物に不意打ちでもされたら対処が難しいと思った俺は念のためにこの子の力を借りる事にした。
俺はアイテムボックスの中に入っていた 武器を取り出し、剣を選ぶとそれを渡そうとしたのだがどうもうまく受け取れないようだ。
「えーっと。ちょっと貸してくれるかな?」
と俺がお願いすると彼女は素直に俺に手渡してくる。
俺は試しに持って見ると やはり俺が持つと軽すぎて違和感を覚えるほど軽く感じるが彼女は俺より身長が低いのに持てるというのに驚いた。
おそらくは何らかの加護の力を使っているのではないかと俺は考えたが、それは置いておいて俺はこの子に俺の持つ最強の武器の一つ 魔鋼製の短刀を渡してみるが彼女は重すぎるらしく持ち上がらないようで俺はため息を吐きつつ アイテムバッグの中から取り出した大鎌に取り替えると、
「これで俺に貸してくれる?」
と俺が聞いてみると俺の大ぶりのナイフよりも刃渡りの長い 刃物は扱えないようなので、俺が持っていた普通のショートソードを 差し出すとやっと受け取ってくれた。
俺の予想が正しければ、俺の魔力を纏わせたら切れ味が鋭くなるはず。
俺の持っている中で最高の品だしこれならば彼女の安全を守ることが出来るかもしれない。俺は、アイテムボックスの中に入っている素材を取り出すと、 彼女の服を作ってあげた。
俺はアイテムボックスの中にある、布生地を使って彼女に合う大きさに裁断すると縫っていく。
「こんな感じでしょうか?」
と出来上がった衣服を見せて反応を確かめると 彼女は俺の作った物を着て満足げにしている。
俺は彼女に似合っているよと言うと嬉しさからなのか 頬を赤く染めている姿を見ると可愛いらしいと俺は思った。
(俺は、もう我慢できないかもしれん……)
俺は彼女を後ろから抱き締めたくなるが、なんとか思い止まることが出来た。
だがしかし彼女の方は違った。
いきなり背後に立つと俺の首筋に向けて 勢いよく噛みついてくると、そこから血が流れ出ていく感覚が伝わってくると意識を失いそうになるが俺はギリギリ踏み止まり彼女の体から 離れることに成功する。
31.
すると、彼女の姿が変化を始めると人狼の姿へと変貌を遂げていた。
その姿を見た俺は驚きの声を上げることさえ忘れるほどの衝撃を受け呆然としてしまった。
しかし俺は我に返ってから 自分の体に異変がないことを確認すると俺は安堵した。
俺は目の前の彼女がどうしてそのようなことをしたのか分からなかったので尋ねて見たところ、自分の種族の特性を俺に説明すると、彼女の正体について詳しく説明してくれた。
まずは目の前の女性の名前は、ルリと言う名前で、吸血鬼とダークエルフのハーフだそうだ。
その特性として
・日光を浴びても死なない。ただし短時間なら平気 また影の中を移動する事ができる。
闇属性魔法を得意とする事ができ、身体能力が大幅に強化される。
さらに不死である。再生能力を持つので致命傷をくらうまではほぼ確実に生き残ることができる。
・魅了の眼と呼ばれる瞳を持っているので異性を操る能力が備わっている。
しかし、この力は強過ぎて制御する事ができない為に使用することができない。
なので普段は発動していないので安心して欲しいとのこと。
(まぁ。なんとなく察したわ……)
俺はこの世界に来る前にプレイしていたとあるゲームに出てくるヒロインが
そんな設定を持っていた事を思い出した。
しかしこれは俺にとっては非常に不都合なことだ。
俺は彼女と別れて一人になって旅を続けたいという気持ちが強くなりつつあった。
理由は彼女の力が危険過ぎるのだ。
彼女の能力はどれも強力だ。
特に危険な能力を2つ挙げるとするならば、一つ目が彼女の血液を摂取した相手を
強制的に隷属させる事が可能な点である。
もう一つが彼女が本気を出す時に放つ殺気だ。
彼女の場合は殺すつもりで放ったつもりがなくても相手を殺してしまう事もある程の強力なものなのだ。
つまり下手したら俺は殺されかねない可能性があるので迂闊に動けなくなる恐れがあるのだ。
それに彼女の持つもう一つの特殊な性質については、今のところまだ判明しておらず、何が原因で彼女が暴走してしまうかも不明だ。
俺はとりあえず彼女が落ち着いて話が出来るように、彼女の頭を撫でたり、優しく声を掛け続けて、彼女の機嫌を取るようにした。
そうこうしている内に彼女の方から離れて行き元の人間の女性に戻ったので、俺の方は内心でほっとしていた。
彼女によると、俺は無意識に俺自身の全スキルを使いこなして彼女を守っていたのだというのを彼女に伝える。
彼女は納得をしていて、俺の話を聞いているうちに俺を気に入ったので一緒に居たいと申し出てきたので、俺はその事を了承してから彼女と二人で旅に出ることに決めたのだった。
俺は彼女に質問を行うと彼女は首を横に振っていたので、俺の勘通り、彼女もまた旅の目的を持たない無職だった。
俺はそんな彼女を見て、俺は思わず笑い出しそうになったが、何とか堪えた。
それから俺は彼女に冒険者として必要な知識を与える事にした。
例えば、旅に必要な道具の知識や食料に関する知識など。

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一ノ瀬 彩音
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