元勇者パーティーの雑用係だけど、実は最強だった〜無能と罵られ追放されたので、真の実力を隠してスローライフします〜⑭
俺に話しかけられてようやく彼女は落ち着いたようで、話を聞くと、
「私は貴方の為だけに生きてきたのに貴方は私以外の女ばかりに構っていて私の事など二の次でしょ?
それにね。私の心はこんなにも苦しんでいるのに貴方は平然と私以外に微笑んで見せているのよ?
それがどんなことなのか分かっているの?
私にとってはとても残酷なことだとは思わない? だから貴方を殺して私のものにしようとしたの。
でも貴方を殺すことが出来なかったからこうして私の手で直接始末することにしたの。分かるかしら?」
と言って来ていたが俺からすれば到底理解できる話ではないので説得しようと思ったのだが
無駄に終わり彼女の攻撃を止めることが出来ずに遂にはその意識を失わせることに
成功したので彼女の身柄を確保した上で拘束してから治療を施すことにした。
「あぁぁあぁあああああ!」
と絶叫を上げ始めたが 何とか俺の治療によって事なきを得ることが出来た。
それから彼女は俺を殺そうとして襲ってきた理由を説明してくれたのだが、
その理由を聞いて俺は唖然となった。
俺はただ皆の為にと思って行動しているだけなのだが、
彼女はそう思ってはいないようなので俺は誤解を解くために説明を試みたが、
彼女は俺の話を信じてくれずにそのまま俺に暴行を加えた。
俺は何度もやめるように懇願したが聞き入れてもらえなかった上に俺の命が奪われそうになったが、
その時だった。
彼女は苦しみ出してしまい、
「い、嫌だ! 助けて。苦しい。嫌だよぉ。
嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌。嫌だ! 死にたくない。
助けて助けて助けて助けて。誰か助けてよ! お願いだから、 助けてくださいよぉおおお」
「おい。落ち着け。しっかりしろ! 大丈夫だからな。落ち着いて深呼吸をするといい。
ゆっくりとで良いから少しずつ気持ちを整えるんだ。
大丈夫。大丈夫だからな?」
俺が懸命に呼び掛けると彼女は徐々に落ち着きを取り戻していくと
やがて彼女は自分の体を抱くようにして震えていたので
再び俺は安心させるために彼女を抱き寄せようとするが彼女には拒絶されてしまう。
だが、俺が彼女の傍から離れることはなかったので俺はただ黙々と彼女の背中を
さすっていたのだが、ようやく彼女がまともに会話できるまでに回復すると彼女はとんでもない発言をしてくれた。
なんでも彼女は前々からある病気に掛かってしまい、その症状を抑える為には大量の薬が必要だったがしかし、
「最近体調が悪くて全然上手く力が入らないから困っちゃってて
そのせいで村の人たちから変な疑いをかけられて私達追い出されちゃったんだけど、
それであなたに助けてもらったら良いんじゃないかって言われたからあなたの元に
身を寄せて一緒に暮らしていたわけなんだけど、まさか、私の秘密に気付いちゃうなんて予想外でした」
とのことだ。
彼女の言葉の意味を理解することが出来ていない俺は、俺のことを好きだと言い、
俺に抱かれようとしていたことに対する彼女の発言の意図を理解しかねていたのだ。
そのため俺は彼女の口から語られる衝撃的な内容を聞かされて俺は頭を抱える他無かった。
42.
つまり彼女の言う通り俺と一緒に暮らす前の村人達から変な噂話をされていたらしいが、
「まあそれは置いといて 実は今日はどうしても伝えたいことがあるのでわざわざお伺いして参りました。
なのですが ごめんなさい。急用が出来てしまったものですからこれにて失礼させていただきます。それでは!」
と言うなりどこかに消えて行ってしまったので俺は呆気に取られて固まってしまっていた。
「えぇ…………なんだそりゃ」
俺は今度こそ、何とも言えない脱力感に襲われた。
そんな俺はそのままそこから出るとまた畑仕事に精を出しているのだった。
「はぁー」
と溜息を吐くと俺はそのまま鍬を振り下ろす。
すると俺の目の前に突然何かが降って来て俺の目の前に落下してきたので俺は慌てて避けたが、
俺が避けたことで地面に大きな穴が開いてしまい、俺が驚きの声を上げると目の前に突如として何者かが出現した。
俺は慌てて距離を取ると俺の前に立っている存在に目を向ける。
するとそこには見たこともないような巨大なドラゴンが姿を現していて俺は腰が抜けそうになる。
それから俺は必死に思考を巡らせる。
この世界には様々な魔物が存在するが目の前にいる生物は明らかに格が違う。
少なくともこの世界の何処を探してもこんな化け物が存在しているはずがない。
「どうやらお前は、俺に食べられたいらしい」
と、突然声が聞こえてくると俺は思わず身構えてしまう。
それからしばらくすると俺の体はいつの間にか動けなくなっていた。
一体何故だと考えていると俺の体が勝手に動き出す。
すると、俺はいつの間にか手にしていた剣を手に取るとそのまま、その怪物に切りかかって行く。
だが、そんな攻撃が通用するはずもなくあっさりと弾かれてしまって俺は吹き飛ばされる。
そして、地面に倒れ込むとそのまま意識を失ってしまった。
目を覚ましてから俺は、先程の出来事を思い出してから急いでその場から逃げ出そうとした。
するとどうしたことか、俺の足が動かない。
「どうなってんだよ。どうして動かねぇんだ」
それから俺はどうにか立ち上がろうとするが一向に立ち上がることが出来ない。
それからしばらくして俺の体の感覚が無くなっていくことに気づくと
慌てて手足を動かそうとするが全く反応しない。
そして俺の視界が真っ暗になり何も見えなくなると俺の耳元で囁きかけてきたのだ。
「やっと捕まえた。これでずっと一緒だね?」
と。
俺の全身に鳥肌が立つと俺は恐怖のあまり悲鳴を上げようとしたが何故か口が動いてくれない。
「ん? あれ? おかしいぞ? どうしてだ?」
と俺は戸惑っていると俺の体に何か柔らかいものが触れて来る。
すると俺の体に激痛が走り俺はその場でのたうち回る。
すると俺の耳に彼女の笑い声が聞こえて来た。
俺は恐ろしく感じながらも俺は彼女に問いかけようとしたのだが、
やはり俺の口からは声を出すことが出来ず、俺の身体はどんどん腐り始めていき、
そして、俺の意識はそこで途切れてしまうのだった。
俺が目を覚ますとそこはいつもの見慣れた天井が見える。
俺はどうやらベッドの上に寝転がっていたようで起き上がると辺りを見渡してみる。
43.
それから部屋の中に変化がないかを探ろうとしたのだが特に変わったところは
ないようだ。
すると突然部屋の扉が開かれると
「もうそっちに行っている時間だと思うんですけども準備の方は済んでいるのかしら」
と言ってきて俺は咄嵯に振り向いたのだったが俺が返事をする前に、扉が閉まりかけたので俺は慌てて止めに入るが扉の向こう側に見えるはずの彼女の姿はなく俺は首を傾げた。
それからすぐに扉を開いてみると、俺の前から突然姿を消した彼女はそこにはおらず 代わりに一枚の手紙が置かれているだけだった為それを拾い上げて確認をするとこう書かれていた 。
〈今日の夜10時に一人で例の丘に来て欲しい〉という文面だったので恐らく
間違いない。
彼女の指示通りにする事にしてこの日は就寝することにした。
翌日の朝の8時になると彼女からの起床を促す声で起こされた俺は彼女に連れられるまま朝食を共にすることになったのだがそこで彼女に告白されてしまったのだ。
俺は動揺を隠すことに全神経を使いながら 何とか平静を保ったままに食事を続けることに全力で挑んだのだがついに限界を迎えてしまいその場に崩れ落ちると彼女の顔を見ることすら出来ずに俯いていること
しか出来ない。
そんな状態の俺を見て彼女が俺を心配した
様子で顔を覗き込もうとしてくるが 今の俺は彼女にどんな表情を見せているだろうか。
きっと情けないくらいに頬を引き攣らせていることだろう 。
そして遂に彼女にまで心配されて
話しかけられてきたのである。
「どうしたの?」
俺の脳内は最早パニックに陥っていた 、最早正常ではない状態で俺は何を言えば良いかわからず 完全にフリーズしていた。
すると彼女がもう一度声を掛けてきた。
俺はそれに返すことができず 更に挙動不審になってしまうと彼女が俺の顔の前に
移動してきた。
俺はそれでも彼女の方を向けなかった。
すると今度は、俺の腕を掴むと無理やりこちらに引き寄せようとし始めるので、
俺はそれにされるがままになってしまった。
俺が完全に彼女の虜になっていると 俺と彼女は唇を重ね合わせると俺は完全に堕ちていくのを感じていった。
44.
「愛していますわよ貴方様。これから毎日たっぷりと可愛がって差し上げましょう? だから私を愛してくださいましね?
約束ですわよ?
私以外の女のところに絶対に近寄らないでくださいよ?分かりました?
もしも他の女と少しでも関わったらその時は……ふっ」
彼女は意味深なことを俺に告げると妖艶に
微笑み、再び俺にキスをしてこようとする。
その行為を受け入れる為に俺は瞳を閉じるのだが中々して来てくれなくて俺が不思議に思い 再び薄らと瞼を開けると、彼女は悪戯っぽく笑っていた。
それに俺は頬が熱くなり、
つい視線を落としてしまった。
俺のその様子を彼女は
見逃さなかったらしく
「あらあら~♪私の色仕掛けでそのように恥ずかしそうにしている貴方様には 罰が必要でしょうから私と楽しい事しましょ?」
と俺の体をまさぐり始めて来ようとするがここで何とか彼女を制止することに成功した。
だが、俺はその後彼女と
朝を迎えたのだった…… 。
俺は今、非常に機嫌が悪い。
それはそうだ。
なんせ、俺がこの世界で暮らしていくために必要な物を 買い出しに行くことに
なったからだ。
本来ならば俺は彼女の護衛をしなければいけなくなったのにも関わらず、 彼女が俺と一緒に街に行きたいとか言って来た為に俺はその要望に応えるべくこうして二人で出かけることになった。
俺が買い物に出掛けてすぐのことだ。
俺は俺が所持するスキルの一つを
発動させた。
これは所謂 《追跡魔法》というもので、
「指定した対象」
を対象に設定することによって その存在の位置を把握することが出来る。
ただ、 一度使うごとに 一回だけ 消費しなければならないという条件がある上に、
一日で使える回数が限られているために俺は出来るだけ使いたくは無かったのだが
仕方が無い。
(そもそも何故俺はこんなものを扱えるようになってるんだろう?)
と思いつつも俺は早速行動に
移ることにした。
俺はこの
「魔力探知」
によって彼女の位置を探ることに成功したのだが、 その結果、俺はある事実を知ることとなった。
俺は思わず 額に手を当てて天を仰ぐ羽目になった。
そう、まさか俺達の目的地が彼女の家からそこまで離れてはいない所だったのだ。
それなら最初から誘ってくれれば良かったものの、 まあ良い、取り敢えず今は、一刻も早く彼女を見つけ出して保護してやることの方が優先事項だな……。
それから少し経って俺達二人が合流を果たしていた頃だ。
既に俺達が街の門に差し掛かっている頃に 俺は偶然、とある女性と出会う。
すると相手の女性はその容姿に
見覚えがあった。