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どんな分け方がいいですか? 努力に応じて?実績に応じて?それとも…【先生、どうか皆の前でほめないで下さい】

こんにちは、らるです。

先日に引き続き、こちらの本から
話をしていきます。

今日は学生たちが
どんな分け方を「公正な分配」と感じているか
です。


あなたはどうでしょう?

まず、こちらの4択を
考えてみてください。

次の4つの選択肢のうち、あなたはどれが最も公正な分配だと思いますか?
①平等分配
②必要性分配
③実績に応じた分配
④努力に応じた分配

金間大介.先生、どうか皆の前でほめないで下さい―いい子症候群の若者たち(p.43).東洋経済新報社.Kindle版.

3、実績に応じた、と、
4、努力に応じた、は
分かりやすいと思いますが
前の2つがちょっと分かりにくいかも
しれないので、補足をしておきます。

・平等分配=個人差を全て無視、一律に分配

・必要性分配=ニーズが高い人により多く分配
(子供が居る人には多めに手当てを
 …のような考え方)

さて、いかがでしょうか。

私自身としては

③の実績に応じた分配、が
公正だろう…という意見ですが

日本人なら
④の努力に応じた分配、が好きそうだなぁ…

なんて思っていました。


さて、まずは、日本人全体としての
データです。

①平等分配:男性5・2%、女性7・5%
②必要性分配:男性9・8%、女性9・1%
③実績に応じた分配:男性30・4%、女性16・6%
④努力に応じた分配:男性51・2%、女性62・2%

(現代日本の社会階層に関する全国調査研究:SSM調査研究会編『1995年SSM調査シリーズ』(1998)、および佐藤俊樹『不平等社会日本──さよなら総中流』〈中公新書〉(2000)より)

私が思っていた通り
④努力に応じた分配、を公正と考える人が
多かった
ということですね。

男性の③実績に応じた分配 の割合が
30%と比較的高
い所を見ても
私自身の感覚は、日本の中ではそれほど
ズレてはいない…ということだったのでしょう。


では、今の大学生はどうか…

実は筆者も大学生を対象としてデータを取ってきた。データは2018年12月から2020年11月までの間で複数回にわたり収集した(対象者:複数の大学における2~4年生および大学院1年生:211名)。
その結果はこうだ。

①平等分配:男性49・0%、女性53・2%
②必要性分配:男性5・9%、女性5・5%
③実績に応じた分配:男性19・6%、女性16・5%
④努力に応じた分配:男性25・5%、女性24・8%

金間 大介. 先生、どうか皆の前でほめないで下さい―いい子症候群の若者たち (p.46). 東洋経済新報社. Kindle 版.

なんと…というか
この本の主旨からすれば
予想通りというか

①平等分配 が半数を占めました。

日本人全体だと
1ケタ%だったので
いかに、今の学生の感覚が
日本人全体とズレているかが
よくわかるデータ
になっています。


必要かどうかも
実績を挙げたかどうかも
努力をしたかどうかも

いずれも関係なく
ただ、皆同じように分配するのがいい

それが大学生の大部分を占める感覚なんです


これも、前回も紹介した
学生のこの性質を考えれば
納得がいきます。

いい子症候群の若者たちは、とにかく差がつく状況が苦手であり、特に過敏に反応するのが「自分だけが何らかの利益を得る」状態だ。

金間 大介. 先生、どうか皆の前でほめないで下さい―いい子症候群の若者たち (p.52). 東洋経済新報社. Kindle 版.

改めて、私自身と
今の20代の大部分との感覚が
ズレている…ということを肝に銘じました。

この「差が付かないことを好む」性質に
寄り添いながらも、その子たち一人一人の
個性も引き出せる関わり方が
できたらなあ…と、ひとりの人事担当としては
思っているところです。

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