世界から見れば「謎」の「日本教」【儀式論 第10章 日本と儀式】
この10章は『日本と儀式』
というタイトルがついていますが
実体としては「宗教」…
それも「日本教」についての
話になっています。
日本はなんとなく仏教の国…と
私は思っていましたが
実は、大分オリジナリティの高い
「日本教」の国だと
著者はいうわけです。
今回の記事では
2つのポイントを話していきます。
・そもそも宗教とは何か?
・日本教とは?
…
そもそも宗教とは何か?
日本の儒教研究の第一人者
加地伸行によると
必要な人に現れるものが宗教…
こういう風に言われると
他人の信仰にとやかく言うのは
よろしくないな…というのが
わかりますね。
そして、本書ではこの後
「では、人はいつ宗教を求めるか?」
という問いを考えていきます。
それがどんなときか…というと
自分もしくは親しい人の「死」を感じたとき
だというんです。
死の前には「老い」や「病気」もありますが
いずれにせよ、死が宗教を意識させる
ということなんですね。
ここから、先ほど紹介した
儒教研究者の加地さんは
とも言っているそうです。
…
日本教とは?
宗教が死の説明者だ…という話が
わかったところで、
日本の宗教、日本教について
話をしていきます。
宗教や信仰においては
何らかの対象に祈りをささげるわけです。
ですが、日本人が拝む対象は
非常に幅広いんです。
八百万の神…なんて言葉にも
現れる通り、日本人は
森羅万象に潜む神
浄土にいる仏
先祖
君主
天皇…
本当にいろいろな対象に
忠誠、礼節を示してきました。
これは一神教の国とは
大きく異なっている点です。
日本には
「神様、仏様、○○様」と
生きている人間に対して敬意を
しめす言い回しがありますが
これは神、仏と普通の人間を
同じ高さに並べている…ということで
一神教の国では絶対にありえない
言い回しです。
なぜ、こういうことになるか…というと
日本人は、神道、仏教、キリスト教、儒教…
さまざま宗教を取り入れて
元は違っていたものを一つにして
信仰している状態になっているからです。
この日本独特の宗教観は
世界から見れば「謎」だったのだと
著者は言います。
そしてなぜ、このような独特な
宗教観が日本に生まれたのか…というと
そこには日本列島の自然環境がある
と言います。
四季があり、春には桜
冬には雪、梅雨には大雨
台風もくるし
地震もおこる…
日本人の祖先たちは
こうしたバラエティ豊かな
自然現象を個性豊かなそれぞれの神が
もたらしたんだと信じていた…
ということです。
だから、様々なものを信仰する…
ということを自然に
してしまえるわけですね。
宗教哲学者のエリアーデは
と、日本教のあり方を
きれいに表現しています。
まとめ
・そもそも宗教とは何か?
宗教とは、必要な人に現れるもの
宗教は、死を説明する者
・日本教とは?
自然物、仏、神、先祖、君主、天皇…
さまざまなものを崇めるのが
日本教の特徴である
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