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「幸水」は、埼玉のおかげで広まった
りんごよりナシが好きです。
らるです。
今日は、ナシの話です。
今、日本で最も栽培されているのは
『幸水』という品種です。
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ですが実は、この幸水
はじめは「ほぼ見捨てられた存在」でした。
それを救ったのは「埼玉県」の方々でした。
幸水の才能を開花させたのは埼玉県
黒斑病抵抗性品種であるうえに、「長十郎」、「二十世紀」よりも早生で甘く食感も優れていたにもかかわらず、まったく普及しなかったのである。理由は三つの大きな欠点を持つことにあった。
まずは、両親よりも黒星病に弱くなってしまっていることがわかったこと。次に、そもそも「長十郎」、「二十世紀」よりも収量が劣ったこと。とどめは、一般的な剪定方法ではさらに収量が落ちてしまう栽培のしにくさであった。
幸水は、もともと
・早く育つ
・甘く触感に優れる
という強みがあったにもかかわらず
普及しませんでした。
理由は
・病気(黒星病)に弱い
・とれる量が少ない
・一般的な剪定方法ではさらにとれる量が落ちる
=栽培しにくい
といったもので、
その結果、ほとんどの県は
この品種を見捨てた状態にありました。
ただ、一つだけ幸水に賭け続けた県がありました
それが埼玉県です。
理由はキレイごとではなく…
国に見放された「幸水」が頭角を現せたのは、その才能を信じ、開花させようと支援し続けた人たちが外部にいたおかげである。その支援者は、県別出荷量第八位の埼玉県の生産者と県農業試験場であった。
国に見捨てられても
埼玉だけは見捨てなかった…などというと
ちょっといい話に聞こえますが
これは別にキレイごとではありませんでした。
埼玉県が「幸水」に賭けたのは、そうせざるを得ない事情があったためである。それは千葉県と茨城県の存在だ。埼玉県の主要産地は千葉県の主要産地よりも北に位置するため、同じ品種を生産していては千葉県より出荷時期が遅れ、勝ち目はない。また出荷時期が重なる茨城県は、都市化の影響で生産量を落とす埼玉県とは逆に生産量を伸ばしてきていた。
埼玉の産地が生き残るには、千葉、茨城よりも先に早生の新品種を量産するしかない。そこで採り上げられたのが、欠陥品種「幸水」だったというわけである。
埼玉は、千葉、茨城に地理的に負けていて
幸水に賭けざるを得なかった
という話でした。
見捨てられた品種と
がけっぷちの生産者が組んでの
逆転劇…というと、ドラマチックではありますね。
本当の意味で「幸水」の栽培方法が確立されたのは、一九六七年(昭和四十二年)であった。川里村(現鴻巣市)の生産者河野当一が、タブーとされる剪定方法からアプローチし、画期的な剪定技術を発明してくれたおかげだ。果樹は先端から枝を深く切り落としてしまうと、花芽がつきにくくなる。ところが「幸水」の場合は、逆にこうすることで花芽をたくさんつけさせることに成功したのである。
最終的に、埼玉で画期的な剪定技術が発明され
幸水は現在のトップの地位についたわけです。
普段食べているナシ一つをとっても
裏にはドラマがあるわけです。
人の想い、物語が乗ってくると
ちょっと見る目が変わってしまいますね。
普段なにげなく使っているもの、
食べているものにも
裏には物語が隠れているのかもしれません。
そういうのを調べてみるのも
面白そうな気がしています。