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『死』が持つ五つの特徴【あした死ぬ幸福の王子④】

こんにちは、らるです。

死ぬ…というと

怖い
避けたい
考えたくない…

となってしまいがちですが
実は、冷静に考えてみると
「贈り物」をしてくれる存在でもあるんです。

今日も、こちらの本から話をしていきます。


先日、人間は、自分以外を「道具として見ている」
という話をしました。

そして、自分自身も、他人にとっては道具である
…という話もしました。

周りにいる大量の他人から見れば
自分は道具ではあるけれども

本当は、自分自身は道具ではない
かけがえのない存在で
す。

飲茶. あした死ぬ幸福の王子――ストーリーで学ぶ「ハイデガー哲学」 (p.91). ダイヤモンド社. Kindle 版.

自分自身は道具ではない… 
当たり前のように感じるかもしれませんが

人間というのは
周りの大量の他者に道具扱いされていると

自分で自分のことを道具だと
みなしてしまうようになるんです。


例えば、あなたは
「あなた自身がどんな存在か説明してください」
…と言われたら、どうしますか?

「~~の仕事をしている会社員です」とか
「~~大学の学生です」とか
「~~のチームに属しています」とか

そんな風に答えるのではないでしょうか?

これらはまさに、「他者から見た道具の視点」に
影響を受けたものです


要は、今、私たちが思い浮かぶ「自分像」というのは
世間が決めたもの、
だというわけです。


別に、世間が決めた自分像でも
いいじゃないか…と
思うかもしれません。

そんな自分像に従って
日々生きているでしょう。

ですが…

「実際、想像してみてほしい。明日死ぬ、いや、一時間後に自分が死ぬと考えてみよう。その死が真にリアルであり、確実なものであるとしたら──はっきり言って、他人から『王である』と見られようが『馬である』と見られようが『知ったことか』となるのではないだろうか」
 想像してみた。当たり前だと思った。
 たとえ式典の最中であっても、他人なんか関係ないと、無視してその場から離れることだって容易にできるだろう。

飲茶. あした死ぬ幸福の王子――ストーリーで学ぶ「ハイデガー哲学」 (p.96). ダイヤモンド社. Kindle 版.

もし、『死』が迫っていると分かったら
そんな「世間の決めた自分像」のことが
どうでもよくなるのではないでしょうか?

これが、『死』の贈り物です。

『自己の道具性の破壊』
自分が、かけがえのないものだと思い出せる

ということですね。


なぜ、死にそんな効果があるかと言えば
死には5つの特徴があるからです。

ハイデガーは死という事象について分析し、それには五つの特徴があると述べている。それは──

①確実性
②無規定性
③追い越し不可性
④没交渉性
⑤固有性
(中略)
わかりやすく死の特徴を言い直してみよう。

①必ず死ぬ
②いつ死ぬかわからない
③死んだら終わり
④死ねば無関係
⑤死は代理不可能

飲茶. あした死ぬ幸福の王子――ストーリーで学ぶ「ハイデガー哲学」 (p.97). ダイヤモンド社. Kindle 版.

必ず死ぬし
死はいつ来ても、今この瞬間でもおかしくないし
死んだら終わりで、死後にはどんな関係も持てないし
自分の死は、自分以外に代わってもらうこともできない

こういう特徴があるからこそ
世間の目…道具として見られること
自分自身も、自分を道具として見てしまうことから
抜け出せるんですね。


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