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【Vtuber用モデル】半開きの表情に注目しよう #Live2Dアドカレ2019

メリークリスマス!🎄
こんばんは、rariemonnです。
Live2Dアドベントカレンダー最終日担当です!

お題について

Live2Dのお仕事は、ソーシャルゲーム用のリアルタイムモデルや動画作品用の制作やVtuber用モデルなど幅広く触れてきましたが、同じLive2Dモデル制作といえどもそれぞれで制作法や目指すべきものが違います。
その中で、今回はVtuber用モデル特有の注意点について書いてみようと考えました。

ソシャゲ用とVtuber用モデルの違いはたくさんありますが、ソシャゲ用モデルのモーションは手付けでキーを打っていくのに対し、Vtuber用モデルはカメラ認識がモーションに自動的に反映されるという所が最大の違いの一つだと思います。

そうすると何が起きるのかというと、半目や口の半開きなど、パラメータの中間が長い間表示される事がほとんどになります。
つまり、パラメータの始点と終点だけではなく、パラメータの中間での表情や動きにもより注力することが必要になります。

パラメータの遷移に気を付けるのはもちろんソシャゲ用モデルでも必要なことですが、半目が継続的に表示されるというのはVtuberモデル特有なので、より注意が必要です。

今回はそのパラメータの中間を意識した注意点について私が考えていることや実践していることを書いていこうと思います。

目の開閉パラメータの工夫

画像1

普通目の開閉パラメータを作る際は、図の左のように単純に0と1の2点のパラメータで制作することが多いと思います。
これをVtuber用モデルの場合は、0.75~0.8辺りにキーフォームを追加し、その部分に0.95~1.0の目の形状をコピペします。そうすると、1~0.8の間はほぼ開いた目の状態で、0.8~0の間で目を閉じるような動きになります。

何故このような動きにするかというと、カメラ認識をするアプリケーションの設定にもよると思いますが、人間がっつりと常に目を見開いているわけではなく、自然に目を開けている状態でも数値的に目の開閉パラメータの0.8辺りをさまよっています。
その自然に目を開けている状態で、キャラクターも目をほぼ開いた状態にするためにパラメータの0.8辺りにキーフォームを追加するというわけです。
(数値は個人差あると思います)

半目の形状チェック

画像2

先述の通り、Vtuberは半目の状態が続くという動きになりがちなので、半目でもそれなりに綺麗な顔になるよう注意が必要です。画像は先日ツイッターに投稿したうごくイラストのモデルの画像で、Vtuber用モデルではないのですが、このモデルを例に半目の形状について注意点を紹介しようと思います

画像3

ポイント①
まつ毛にはキャラクターデザインによってはトゲトゲや線が付いている場合もあり、別パーツ化している際にたまに半目の時にまつ毛の主線から離れる場合があるので、ちゃんとくっついて動いているように制作します。

ポイント②
まつ毛の主線がガタガタになったりしないように綺麗なラインになるように制作します。まつ毛部分は特に細かくポリゴンを打ち、調整しやすくします。

画像4

ポイント③
これは目のデザインによっては絶対的なルールではないと思いますが、目を閉じるときは目尻の付け根を支点にはさむように閉じるのが自然です。
図左のよくない例のようにまつ毛一本で閉じ目を作ろうとすると、目尻部分がぬめぬめ動いて違和感が出てきます。

ポイント④
目のハイライトは開閉に合わせて動くようにし、目のハイライトが消えないようにします。何故そうするかというと単純に半目の時にハイライトが無いと可愛くないからです。
目玉XYを動かしてもハイライトが消えないか確認・調整しましょう。
ただ、ディズニーのような3Dアニメを見てると、目を閉じるときにハイライトが動かないように作ってあるのを見たことがあるので、(多分そっちの方が物理的に正しい)テイストによると思います。
とりあえず私は可愛いか可愛くないかを判断基準にし、ハイライトを動くようにしています。

ポイント⑤
白目のふちのラインが目尻・下まつげのラインから外れないようにします。
特に目尻と白目のラインは外れがちで、意識して制作していないとだいたい外れています。ただ、これは細かいこだわりでこれが守られていないとまるで可愛くないという事はないと思うので、より丁寧に作りたい場合に意識すると良いと思います。

半開きの口の形状チェック

画像5

口も半開きの形状が歪みがちです。
左右対称の口の形状であれば、半開きの場合も左右対称の形状になるよう意識して変形します。

閉じ口の線は必ずしも揃える必要はない!

画像6

口の制作法はわりと人により千差万別ですが、基本的な上口と下口の肌マスクを使用した口の開閉の場合、マスクで隠れる方の口の閉じ口は必ずしも同じ形状にする必要はありません。

例えば、図の左上のように『w』のような閉じ口を上下ともに線をそろえた場合、半開きの時の口もまた左下のように『w』のような形状になります。
次に図の右上のように、隠れた下閉じ口を弧の形のように整えた場合、図右下のように半開きの時に下口が綺麗なラインになります。

この手法は『w』のような口の形状に限らず、様々な場面で使えるので、覚えておいて損はないと思います。

究極的な変形

今まで歪んだ形状の場合は、キーフォームを追加して形を整えよう!というものが多かったのですが、究極的には始点と終点のパラメータの2点の変形を整えるだけで中間の動きもバッチリ綺麗にすることもできます。

画像7

図の上の5つの点をポリゴンの点と考え、下側の図にポリゴンを移動して変形をすると考えてみます。
左図のようにポリゴンの点の移動が不規則であったり、点と点の距離の比率が部分的に変わったりすると歪みが出やすくなります。
逆に右図のように規則正しく比率を守ったポリゴンの移動をさせると歪みが起きにくくなります。

抽象的な図と説明になりましたが、ポリゴンの遷移に意識を向けて、パラメータの2点を調整すると、歪んだ形を整えることができます。
ただ、実際何度も試行錯誤しないと、2点のパラメータのみで中間の形を整えることは難しいので、パラメータ構造が場合によっては超複雑になりますが単純にキーフォームを追加する方が速いと思います。

おわりに

今回は私の今までの経験を通じて会得した、Vtuberモデル特有のことについて書こう!と息巻いていたのですが、結果的に表情を綺麗に作ろうという超基礎的な内容になりました。
ただ、自分は応用力特化よりも基礎力特化なタイプだと思っているので、ある意味自分らしい記事になったかなと思います。

12月は超忙しくなりそうと思っていて最初はLive2Dアドカレには参加登録していなかったのですが、予定よりも早く案件を倒せたので「アドカレ参加したかったなあ」と呟いていたらなんと主催のナナメさんから12月25日の枠を譲っていただきました。本当に感謝です。

そういえば、年末の冬コミにrariemonnさんのLive2Dメイキング本が出るらしいですよ!
なんとカバー株式会社公認でホロライブ・ホロスターズのLive2Dモデルの解説記事も載っているとか!?
えっ!?当日コミケに来れない人はBOOTHの通販でも買える!?

Live2Dアドカレお疲れさまでした。



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