北海道日記(21)

(前回までのあらすじ)結果オーライでした。

搭乗手続きを済ませ、大きい荷物を預けると、飛行機の出発まで2時間半ほどの余裕がありました。福岡空港をうろうろしました。
まず、4階の展望デッキに行きました。去年、奥さんと子どもは福岡空港まで見送りに来てくれて、その時も展望デッキに上がりました。展望デッキに行く3階から4階の階段の所にガチャガチャがあって、それを子どもがやりたいと言いました。奥さんも、飛行機のピンバッチがほしいと言いました。去年の記憶を頼りにガチャガチャのあった辺りに行ってみると、ゴミ箱が置いてありました。「あれ、たしかこの辺にあったはずだけれど。」「撤去されたんじゃない?」と言い、仕方なく、4階に上がると、展望デッキの手前にガチャガチャが置いてありました。妖怪ウォッチのメダルのガチャガチャでした。子どもは大喜びでガチャガチャを引きました。ピンバッチはありませんでした。奥さんは無表情でした。
展望デッキに上がろうと思ったのですが、雨がどしゃ降りだったので、やめて引き返しました。

次に、北海道の方々におみやげを買うことにしました。去年、リーディング公演で北海道を訪れた時、「乗組員」の島田さんと「あなたとのもの語り」の粟飯原さんは、ちゃんと地元のおみやげを持参していたのに、僕だけ手ぶらで、社会性の無さを発揮したからです。奥さんが、「筑紫もちがいいんじゃないか?」と提案しました。僕は筑紫もちがどんな形状でどんな味だったのか覚えてなかったのですが、「あぁ、いいんじゃない。」と相槌を打って、筑紫もちを買いました。

お昼ご飯も北海道で食べる予定だったけど、福岡空港で食べることにしました。洋食屋さんの前を通ると、奥さんが「……パスタにする?」と言いました。本人に自覚があるのかないのかわからないのですが、奥さんのこの「パスタにする?」は、洋食屋の前を通るとけっこうな頻度で言うのです。そして僕も子どももパスタはどちらかと言うと好きなので、洋食屋に入るのでした。案内された席の隣に、ビジネスマンが三人座っていて、合併がどうとか利益がどうとか、難しそうな話をしていました。その隣で僕と子どもは「あっちむいてほい」をしました。僕たちのパスタが来る頃にビジネスマンは帰って行ったのですが、三人中二人が傘を忘れて行きました。店員のお姉さんがあわてて追いかけました。パスタはおいしかったです。

ご飯を食べてもまだ1時間くらい余裕があり、することがなく、再び展望デッキへ行きました。3階から4階の階段の所のゴミ箱を見て、「あれ、たしかこの辺にあったはずだけれど。」「撤去されたんじゃない?」と言いました。展望デッキの手前にガチャガチャを、子どもが再び大喜びで引きました。
雨はあいかわらず降っていましたが、時間つぶしに展望デッキに上がりました。ベンチでぼーっとする人や、飛行機の写真を撮る人がポツポツといました。テレビ望遠鏡の「てれぼ~くん」という、真ん中にモニターがあり、左右のボタンで拡大、縮小を調節する望遠鏡がありました。子どもがやりたいと言いました。2分間100円でした。僕はちょっと考え、100円で2分間がつぶせるのなら、と思い、「てれぼ~くん」を作動させました。展望デッキのガラスは、雨とエアコンの温度差で曇っていて、ほとんど何も見えませんでした。1分も経たないうちに子どもは飽きて、デッキ内のまばらな人をてれぼ~くんで写し始めました。すると、「はっはっは、雨の日はダメだよ。」と、おじさんから声をかけられました。さっきから飛行機の写真を撮っていたおじさんでした。てれぼ~くんに飽きた子どもを見かねて、おじさんはリュックを下ろしてアルバムを取り出し、おじさんの撮影した飛行機の写真コレクションを披露してくれました。子どもが食いつきました。子どもが食いついたので、奥さんもアムバムの写真を見ながら、「へえ。」とか「そうなんですね。」と、おじさんの説明に相槌を打ちました。僕は人見知りを発揮し、2メートルほどの距離をとってニコニコしました。おじさんは子どもに、ポケモンの飛行機の写真をくれました。奥さんが、「え、いいんですか?」と言うと、おじさんは「あ、現像すればいいだけだから。」と言いました。子どもはポケモンの飛行機の写真を持ってデッキを走り始めました。子どもがいなくなったので、おじさんは奥さんに向かって説明を始めました。奥さんは様々なバリエーションの「へえ。」と「そうなんですね。」を駆使して相槌を打ちました。僕はニコニコしました。おじさんがリュックから2冊目のアルバムを取り出しました。鳥の写真でした。おじさんは奥さんに向かって鳥の説明を始めました。相槌のバリエーションは優に100を超えました。僕はニコニコしました。20分くらい話を聞き、トータルで5枚の写真をもらいました。おじさん、ありがとうございました!

まだ福岡空港から離陸していません。続きはまた書きます。

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