北海道日記(23)
(前回までのあらすじ)美女の居眠りを見ました。
札幌駅に着くと、17時50分でした。開演まであと1時間ちょっとしかありません。大急ぎでホテルに向かいます。地下道はうまく把握できていなかったので、外に出ました。1年ぶりの札幌です。感慨深さに浸るかと思いましたが、時間に追われてそれどころじゃありませんでした。子どもは雪を見てテンションが上がり、雪とじゃれ始めました。そんな余裕は全くないのですが、これが「家族で札幌を訪れる」ということなので、どうしようもありません。雪とじゃれる子どもをせかしながら、でも走るとすべってこけるから、早足でホテルに向かいました。
京王プラザホテルのロビーに着きました。家族で来ることは制作の方に伝えていたので、飛行機やホテルの手配は全て奥さんがしたのですが、なんだか去年泊まったホテルより、ロビーの雰囲気が格調高い気がします。僕は「これ、ひょっとして、いいホテルなんじゃないか?」と思いました。奥さんは知らん顔です。ポーターの女性に「チェックインですか?こちらにお願いします。」と受付に案内されました。笑顔に余裕があります。僕はたじたじになり、子どもが飲んだ空のペットボトルをころんと落としました。ポーターの女性が拾って「こちらで処分しておきますね。」と言いました。僕は「あ、いえ、自分でできますので。」と言って、ペットボトルをまた受け取りました。ポーターの女性はニコニコしました。(ペットボトルは後ほど、ホテルの部屋のごみ箱に投げ捨てました。)
奥さんがチェックインの手続きをしている時間を有効に使おうと思って、僕は歯ブラシを取り出し、ロビーにあるトイレで歯磨きをしました。口が臭いのです。格調高いロビーのトイレで歯磨きをすることに抵抗はあったのですが、開演まで時間がないので仕方がありません。歯磨きを終えてロビーに戻ると、子どもと、手続きを終えた奥さんと、荷物を台車に載せたポーターの女性が僕を待っていました。ポーターの女性はニコニコしました。僕は申し訳ない気持ちになりました。また、部屋まで荷物を運んでくれるシステムのホテルなんだということを知って、「このホテルは絶対にいいお値段がする。」という疑惑が確信に変わりました。奥さんは知らん顔でした。
ホテルの部屋に入ると子どもが「ここでニンテンドー3DSしようや。」とくつろごうとしたので「そんな時間はない!」と一喝しました。
ホテルを出て、公演会場の「かでる2.7」に向かいます。去年と同じ会場なのですが、1年ぶりに歩くのと、夜で景色がガラッと変わって見えるのと、急ぐ心のため、道がよくわかりません。碁盤目状になった道をひと区間ほど歩いた所で、「もうタクシーに乗ろう。」と提案し、路肩に停まっているタクシーに乗り、奥さんが「かるで⒉7までお願いします。」と言いました。僕の急ぐ心が「かでる!」と叫びました。すると運転手さんが「え、かでる⒉7は目と鼻の先だけど、いいのかい?」と言い、僕が「あ、目と鼻の先ですか?」と言うと、丁寧に道を教えてくれました。タクシーは利用せずに、おりました。運転手さん、ありがとうございました。
タクシーが止まっていたのは北海道庁の裏手辺りで、そこからもうひと区間ほど歩くと警察本部があり、その反対側の建物がかでる⒉7でした。去年、道庁のOさんが案内してくれたのとほぼ同じルートだったので、冷静に考えたらたどり着けたのでした。
開演の30分前くらいに、かでる2.7に着きました。バタバタと会場内に入り、受付で制作業務を行っていたIさん、Mさん、Hさんにご挨拶をしました(スタッフさんの中には、このような場で名前をさらされるのが不本意な方もいらっしゃると思うので、便宜上アルファベットで表記します)。受付には道庁のOさんもいらっしゃったのですが、去年の日記でさんざんOさんOさんと書き散らかしたので、本名が思い出せず、「おつかれさまです。」とご挨拶だけしました。失礼!
Iさんに楽屋に案内してもらい、前田さんと、今回出演される土屋さんにバタバタとご挨拶をしました。同じく出演される中藤さんと山谷さんは楽屋にはいなかったので、終演後にご挨拶しようと思いました。本番前の俳優さんを変に緊張させてしまってもあれなので、早々に退散しました。筑紫もちはIさんに渡しました。
初日は僕だけ観劇することにしていたので、奥さんと子どもは観光するために出て行きました。じゃあ最初から俺だけ会場に来ればそんなにバタバタしなくてもよかったんじゃないか、ということなのですが、奥さんはどうしても「最初のご挨拶が大事」と言って譲らなかったので、このような塩梅になりました。これもまた、「家族で札幌を訪れる」ということです。
次は観劇します。
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