北海道日記(14)
(前回までのあらすじ)展望しました。
スープカレーのお店を探して歩いていると、妻から電話がありました。北海道に来てから、こっちの生活をエンジョイし過ぎて、まったく妻に連絡をしていませんでした。やべえ、と思いました。「なんで自分の旦那の動向を、ツイッター上で把握しないといけないんだ。」というような内容のお叱りを受けました。「さーせん。さーせん。」と平謝りしました。事務的にやりとりを済ませ、早々に電話を切り、北海道のエンジョイを再開しました。
歩いてりゃカレー屋くらい見つかるだろうと高をくくって、あちこち歩いたのですが、そんなに見つかるものでもありませんでした。雪が強く、お洒落でズボンをロールアップした部分に雪がたまりました。ロールダウンしました。
寒さに耐えかねて、地下街に降りました。地下にもお店はたくさんあるのですが、ちょうどお昼時になってしまい、スーツ姿の人がお昼をとるためにたくさん出てきました。だんだん探すのがめんどうになり、結局札幌駅ビルのショッピングモールにもどってきました。
駅ビル内のレストランフロアも混み合っていました。スープカレーのお店もあったのですが、すごく並んでいたので、やめました。スープカレーは明日空港で食べようと思いました。あまり並んでいないお店を探し、そばを食べました。食べ終わり、スープカレー屋の前を通ると、もう並んでいませんでした。おいしくそばを食べたのに、なんだかがっかりしました。
まだ開演まで時間があったので、どこか観光しようとかとも考えましたが、歩くのに飽きて、駅ビルの休憩スペースで本を読んで時間をつぶしました。駅ビルの休憩スペースで昼寝している人もいたので、本を読んでもさしつかえないだろうと思い、1時間くらいいました。北海道に来ても、やることは北九州での休日とたいして変わりませんでした。
そろそろ時間かなと思い、スマホを確認したら、電池が20%を切っていました。午前中使い過ぎました。一度ホテルに戻り、充電器をカバンに入れ、会場に向かいました。一度行ったので、なんとか一人で行けるはずです。道が碁盤目状になっているので、昨日通った道とは微妙に変えながら歩きました。雪は降り続けています。オフィスから出てきたビジネスマンが、「うひゃあ」といったような顔をしました。地元の人でも、うひゃあと思うほど降っているのだなと思いました。道が全体的に白く、歩道では積もっていない部分がほとんど確認できませんでした。「今日でもう、終わってしまうのだなあ」と、寂しさを感じながら歩きました。僕はよく、ものごとを始める前にそれが終わった後のことを想像して寂しい気持ちになります。終わりの始まりってこういう時に使うのかなと思いました。歩いていると喫茶店があり、スープカレーを扱っているようでした。がっかりしました。
なんとか会場につきました。島田さんはもう来ていました。テレビ塔と時計台に行ったのだそうです。僕が展望台から眺めていたテレビ塔の中に、島田さんはいたのだなあと思いました。テレビ塔のマスコットキャラ、テレビ父さんの人形を見せてもらいました。やべえ、ちょっと欲しい、と思いましたが、もう行く時間はありません。負けじと僕も、JRタワーの記念コインで対抗しましたが、さわり過ぎて指紋がべたべたについていて、あまりうらやましくなる感じじゃなかったと思います。
MさんとライターのIさんとカメラマンさんが楽屋に来て、「広報誌に掲載する用に、写真を撮らせてください。」と言われ、ロビーの外光の入る所に移動しました。今日はタケオキクチの青いジャケットは着ていなかったので、着てくればよかったと後悔しました。カメラマンさんが指示をくれ、カメラを前に斜めに立ち、顔だけカメラに向けました。ぎこちない笑顔です。Mさんが「藤原さんは、飛ぶ劇場では役者さんなんですよね。」と言いました。僕はぎこちない笑顔のまま「まあ、そうですね。」と言いました。「じゃあ、写真は慣れてますね。」と言われたので食い気味で「そんなことありません。」と返しました。カメラマンさんから「あごを引いてください。」と言われました。Iさんから「北海道は初めてですか?」と聞かれたので、ぎこちない笑顔のまま「新婚旅行が北海道でした。」と答えました。IさんもMさんも驚いていました。地元の人にとっては、なんで新婚旅行でわざわざ北海道に来るのか、理解できないのだそうです。「でも、こちらの方が九州や沖縄に旅行に来るのと、同じじゃないですかね?」と言うと、「あぁ」と、お二人とも納得されていました。「あごを引いてください。」と言われました。
広報誌に、あごを引いた僕の写真が載る予定です。
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