北海道日記(22)
(前回までのあらすじ)写真を5枚もらいました。
おじさんのおかげで随分時間がつぶせたので、飛行機の搭乗口に向かいました。搭乗ゲートのチェックを受けるため、僕はポケットからカギやスマホを取り出しました。その時、名刺を持ってくるのを忘れたことに気付きました。今さらどうしようもないのであきらめ、ゲートをくぐるついでに上に着ていたダウンのジャンバーも脱ぎました。すると奥さんが、「あれ、ジャケットは?」と言いました。その時の僕は、青のカーディガンにベージュのズボンという格好で、ジャケットは着ていませんでした。「え、着てないけど。」と言うと、奥さんは「……じゃあ、ジャケット、家に置いてきたわ。」と言いました。土曜日の公演終了後にアフタートークに出演することになっていて、奥さんが「去年と同じ格好とか、許さん。」というので、わざわざ、お正月にビームスのジャケットを購入していたのです。僕はてっきり、奥さんがキャリーバッグに詰めているものとばかり思っていました。奥さんは、僕が着ていくものとばかり思っていたようです。なのでビームスのジャケットは、この数日間、うちのハンガーラックで眠っていました。アフタートークには、青のカーディガンで出演することになりました。ビームスのジャケットに自意識を持って行かれずに済んだので、正直ほっとしました。
飛行機に乗ると、子どものテンションが上がりました。初めての飛行機だったのです。座席に着き、シートベルトを締めると、「飛行機、気に入った。」と言いました。まだ出発していません。離陸の際に多少揺れたのですが、怖がってもいませんでした。よかったです。ただ、新千歳空港まで約2時間半かかるので、その間、飽きずにおとなしくしてくれるかが心配でした。
2時間半のフライト中、藤原家は2時間寝ました。心配して損しました。着陸準備で高度が下がると、子どもは耳抜きができず、痛がりました。「つばを飲み込むといいよ。」とか「水を飲みなさい。」とアドバイスしましたが、うまくいかないようです。僕、奥さん、子どもという並びだったので、奥さん越しに子どもに話しかけていたら、奥さんから「口がくさいよ。」と怒られました。フリスクを5粒食わされました。そして公演前にハミガキをすることを約束させられました。鼻水が出ていたので、奥さんが子どもに鼻をかませると、耳抜きにも成功しました。そういう抜き方もあるんだな、と思いました。
機内のフリーペーパーに、まちがい探しのページがありました。女子が三人、鍋を囲んでいる絵のまちがい探しでした。女子会かな?と思いました。ほんわかした絵柄なのに、まちがい探しの難易度は異常に高くて、最終的に奥さんのフリーペーパーも借りて、2冊重ねて、残像拳の原理で探しました。機内で暇つぶしに解くレベルじゃありませんでした。
新千歳空港に着くと、17時前でした。開演が19時なので、ここから札幌まで電車に乗り、ホテルにチェックインすることを考えると、ギリでした。子どもが「お腹がすいたからここで何かを食べよう。」と言いました。却下しました。子どもの機嫌が悪くなりました。
去年来た時もそうだったのですが、新千歳空港から札幌までの電車は、ギュウギュウのすし詰め状態でした。子どもはキャリーバッグの上に座らせたので、楽そうでした。奥さんは反対側の扉付近まで押されていったので、姿が見えなくなりました。僕はツイッターで、「名刺とジャケットを忘れたなう」とつぶやきました。そしたらキョロちゃん(※)から「名刺もジャケットも忘れて、逆に何持って行ったの?」と返信が来ました。「ニンテンドー3DS。」と返信しました。
札幌に着くまでずっとすし詰め状態で、17時を過ぎると一気に日が沈み、景色も楽しめなくなったのですが、近くの座席で美女が大きく口をあけて寝ていて、奥さんに見られていないことをいいことに、美女の居眠りをガン見していたらあっと言う間に札幌に着きました。美女、ありがとうございました!
ようやく札幌に着きました。
※キョロちゃん…僕がツイッターでやりとりする、数少ない友達の一人。
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