肩書き迷子が綴る、自分マーケティング日記

「やすはらさんってつまり【マーケター】なの?」  

PTAのランチ会でそう聞かれたとき、私はちょっと困ったような顔で笑ってたと思う。

マーケター。確かにSNS運用や広告の仕事をしているから、そう呼ばれてもおかしくはない。でも、その響きにはどうも馴染めない。  

横文字が嫌いなわけじゃない。けれど、「広告マーケ」とか「WEBマーケ」とか略されると、どこか軽やかすぎて浮ついた印象を受ける。パリピっぽいというか、華やかすぎるのだ。  

大学一年の時の私なら、多分、いや、むしろ進んで名乗ってたかも。
でもミドフォーの自分にはなんだかソワソワする。

でも年齢は関係ないのか、
私より年上の人も年下の人も、
マーケターという肩書きの人は溢れている。

その華やかさに比べて、私はどうだろう。朝活か徹夜のどちらかしかない毎日。家からほとんど出ず、画面の中のデータと格闘する地味な日々。泥臭い仕事の連続だ。もし「マーケ」を名乗るなら、「ヨイトマーケ」だろうと思った。夜も朝も働き続ける、私らしい肩書きだ。冗談だけど、ちょっと本気でもある。  

ふと思い出すのは、美輪明宏さんの『ヨイトマケの唄』だった。泥だらけになって家族を支える母親の姿。あの歌を聴くたびに胸が熱くなる。あの母親には、誇りと愛が詰まっていた。  

今の私は泥にはまみれない。でも、画面越しの仕事にまみれている。ひたすらキーボードを叩き、データを読み込み、次の提案を作る。肩は凝るし、目も痛い。それでも、その先に家族の未来があると思うと、頑張れる。  

キラキラしてるママたちも、実はみんなヨイトマーケなんじゃないかと思う。

いや、むしろヨイトマーマ?なんか、パスタ屋さんみたいな名前だけど、しっくりくる気がする。

夫も、そんな私を支えてくれる存在だ。家事を手伝ってくれたり、娘を寝かしつけてくれたり。「お互い、家族のためにがんばろう」と言ってくれる。彼自身も仕事が忙しいのに、こうして私を応援してくれることが、どれだけ力になるか。  

「ママ、いつ寝てるの?」  
娘がふいにそう聞いてきたことがある。その言葉には、心配と優しさが入り混じっていた。  

ヨイトマーケ。それは肩書きではなく、生き方かもと思う。家族を守るため、時には自分を犠牲にしてでも働き続ける姿勢。美輪さんの歌の母親と、今の自分を重ねてみると、どこか共通点があるような気がした。泥ではなくデータにまみれているけれど、その努力の方向はきっと同じだ。  

マーケターと呼ばれることに違和感を覚える自分がいる。でも、もし「ヨイトマーケ」という言葉が許されるなら、それは単なる肩書きではなく、私の生き方そのものだ。地味で泥臭いけれど、それでも誰かの役に立つ。その気持ちを胸に、今日も朝からキーボードを叩いている。

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