赤の空と青の空
今日の夕日すごくきれい
青空がすごいきれいに見えるよ
そう言ってあなたは帰りの車から
電話をくれた
窓の外を見ると
確かに赤ともオレンジとも言えぬ
そんな夕日と濃い青の空とが
夕方の大空の中で共演してるかのように
広がっていた
どうしてあなたがそう言ってくれたのか
私にはわかる
きっと気がついていたんでしょ
私がいつもの私じゃないってことに
だけど本当は
これが私の本当だった
いつもはあなたに気を遣って
楽しい会話をしようとか
元気な自分を演じていたり
気を緩めることをしないで
私はあなたのそばにいつもいる
怒らせてはいけないとか
気を悪くさせてはいけないとか
そんなことはあたりまえのように
ここにあって
だから正直一人になると
ホッとしてしまう自分が
いつからかいたことに
自分でも気がついていなかった
私はあなたが起きてくると
必ずおはようと言う
あなたはいろんなおはようを
返してくれる
だけどだいたいあなたのおはようは
不機嫌
本当に不機嫌なわけじゃなくて
ただ朝イチのあいさつなんて
きっとそんなものなのだ
そして私は毎回のそんな不機嫌な
おはように傷ついてしまう
それでもおはようと言うのは
私が言わなければ
あなたは朝の挨拶なんてしないって
知ってるから
おはようを言わない
そんな悲しい時間に私は耐えられないから
傷ついても
私はあなたにおはようを言う
きっと私は
あなたに
あなただけに
私を理解してほしい気持ちを
諦めらなかった
だからあなたにだけは
見捨てられることが
怖かったのかもしれない
唯一の
私のわがままを言える
私の本音を言える人
そんな人を失うのが怖かった
だけど見繕ったままでしか
いられなかったのかもね
だけどそろそろね
私も変わらなきゃって思ってる
私は私を生きるってやつ
ちゃんとね、自分も大切にすること
ずっとあなたのために家族のためにって
生きてきた
それは私にとって幸せなことだったし
あなたのためは私のためであったから
ただね
自己犠牲感覚では
なんにもならないから
そんなの誰も望んでいないし
いままではまだそれでも
なんとかなったのかもしれないけど
これからはそれじゃもう
同じことの繰り返しにしかすぎない
なんの成長もないまま
ただ空を見上げて
空虚に笑うことができない
そんなのは嫌なんだよ
私のためであり
みんなのためでもある
私が私を生きることする
私は私で生きていこうと思う
見繕った私なんかじゃなくて
あなたのご機嫌とりでもなくてね
知らないままに
そうなっていた事実
悲しいのは
淋しいのは
はじめからそうだった
あなたはたくさんの愛も優しさも
現在進行形で今だって
私にくれる
ただ、
私がほしいのは
あなた都合の愛や優しさじゃあなくて
悲しい時や
苦しい時に
あなたがいてほしかった
だけどそれはただの傲慢だってことも
わかってる
私だってあなたに
何もできてなかったんだから
お互いにね
支え合うってことが
難しい性質なんだろうね
ひとりとひとり
いつだって重なることはない
きっとそんな二人だから
いままでやってこれたのかもしれないね
こんな哀しさや淋しさは
きっとね仕方ない
現実と真実は違う
あなたは現実の中に生きてて
私は真実の中に生きてる
あなたの大切なものはわかってる
その順番もわかってる
私と同じじゃないってことも
確かにそうだって思う
現実は大事だよ
生きていくために必要だよ
だけどそれは基準であるだけ
心はそこにはないでしょ
あなたはお金があれば
そこはまかなえるっていうけど
確かにそうかもしれないけど
それだけじゃないって言うのは
考えが甘いのかな…
それでも
私は真実の中に生きていたい
苦しかったこと
悲しかったこと
それを成長の糧にしたこと
生きてきたこと
死んでしまいたかった日々
楽しかったこと
嬉しかったこと
生まれてきたことに
今までいちども感謝したことはない
むしろ私のこの存在が
辛さでしかなくて
生きていることがしんどかった
それでも
私には大切な家族がここにある
それだけは守っていきたい
だから
私はこのままじゃ終わらない
いつかきっと死ぬまでに
生きててよかった
私として生まれてきたことに
感謝して
そして終わらせたい
私のために家族のために
あなたとはきっと
重なり合うことはないのかもしれない
わかりあうことは不可能なのかもしれない
それでも
ここにあるわかりたいと思う気持ちと
あなたのことを大切だと言う気持ちを
だいじにしたい
あなたはあなたを生きる
私は私を生きる
きっとあなたが教えてくれた
あの夕日みたいに
赤の空と青の空が広がる
あの夕日みたいに
きっとねそんなふうに
私たちはそれでいい