あの時間

いつでも会えるからって
そんな感覚で

iPhoneの中に
データ記憶は残してない

繋がりがあると思えば
きっとまた
そこに逃げてしまいそうになるから

優しい空気
それは優しさなんかじゃなかった
それは救いとも依存とも逃避とも
言えるものだったのかもしれない

手を繋ぎ合わせても
ひとつにはならない

あなたはあなたの世界の中で
私は私の世界の中でしか
生きていけないから

愛おしい瞳で
そっと触れた髪の毛
微睡むあなたの腕の中は
きっと必要な時間だった

そんな時間は
永遠なんかじゃないってことは
きっと
あの瞬間にもわかってたこと

元気に笑って苦しんで
あなたの世界で生きていてくれたら
それでいい

同じこの世界に
あなたの存在があるというだけで
心が喜ぶから

何も知らないままでもいい

木漏れ日を見つけてはしゃいだ
暑い夏の日

あの日はまだ
こんなに深い場所にまで来るなんて
思っていなかったよね

いくら聴いてもBGMにはならない
あの曲をリピートさせては
心の痛みに向き合った

そんな必要なかったのかもしれない

抜け出したあの時間
もう私はそこにはいない

きっとね
雨宿りみたいな
それくらいのことにしておけば
忘れてしまえば

今日も歩いていくことができる

新しい時間を


弾けて散って砕けてなくなった
優しさもあたたかさも
なにもなくなっても

この中にある
確かな痛みは

あの時間がだいじだったってことを
教えてくれる

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