秘密2
彼は菊池淳、36歳の独身で、
建築の仕事をしていた。
仕事が忙しく、婚期を逃してしまったと言っていたけど、
彼ほどの優良物件が残っているなんて奇跡だと私は思った。
それから、私たちはとんとん拍子で付き合うことになった。
34歳の私と36歳の彼。
お互いの頭の中に「結婚」の2文字はもちろんあった。
しかし、私は結婚に前向きになれなかった・・・・
「安藤さん!この書類今日までって言ったよね!
きちんとやってよ!
独身だと責任感がないな~
僕なら人に言われる前にぱっぱっ!とやるよ!」
(じゃ、課長がやればいいじゃないですか!
独身だと責任感がない?
意味わかりません、それってハラスメントですよね!)
という気持ちを飲み込み。
「はい、すみません。次は気をつけます。」
と私は謝った。
私は人と話すことが苦手だ。
自分の感情を表に出すことも、
人に自分の気持ちを話すこともすべて苦手だ!
心の中にある感情が言葉に出来ないのだ!
幼い時は愛想の無い子供だ、
可愛げがない子だ!と大人には好かれなかった。
学生の時も友達は少なく、
存在感の薄い生徒だった。
社会人になっても私は「話し」が苦手だった。
心の中ではたくさんの思いがあるのに、
それを言葉にすることが出来なかった。
こんな私が結婚出来るのか?
結婚はしたい、孤独な老後は嫌だ、
でも、他人と暮らすことが出来るかな?
淳はこんな私で満足なのかな?
私は悩んでいた。
つづく
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