鳥かごの鍵 31
私は主人と離婚することにした。
主人の浮気相手は駅の近くにある内科の受付の女の子だった。
私は慰謝料をたくさん貰えることになった。
主人は浮気していることを隠して離婚しようと考えていたようだ、
私に浮気のことがバレて主人の計画は狂ってしまった。
離婚は主人がすべて悪い訳ではない、
私も主人もお互いを思いやる気持ちが足りなかった。
私はいつの間にか、
旦那なら、父親なら、男ならと彼を束縛していた。
そんな窮屈な生活から逃れたかった主人の気持ちが今の私ならわかる。
旦那なら、奥さん優先、
父親なら、子供優先、
男なら働くのが当たり前で、
家を守り、家族サービスをする。
私は主人に多くを望み過ぎていた。
主人は主人で、
奥さんなら、母親なら、女ならと私に期待し過ぎていた。
お互い自分の物差しで相手を計っていたということだ。
私は自分だけが我慢していると、
悲劇のヒロインのようになっていたところもあった。
長く一緒に暮らしているのだから、
言葉にしなくても自分の気持ちをわかってくれるだろうと、
勝手に思い込んでいた部分もある。
主人が他の人を好きになったのは、
私にも原因があったのかもしれない。
夢を見る前の私なら、
意地になって離婚はしない!と言っていただろう、
そして夢の中のように最後は主人を刺してしまうかもしれない、
それを避ける為に、お互い新しい人生を歩むことにした。
短い人生、楽しいことに時間を使いたい。
意地を張って離婚しないで、
彼と愛人を無理やり別れさせても、
彼の心は私から離れたままで、
またいつか浮気をする。
それならここですっきり別れたほうがお互いに良い。
主人の浮気相手が病院の受付?
あれは夢だったのか?
それとも現実?
よくわからない、
離婚、引っ越しと忙しい毎日で、
ゆっくり考えている時間は私には無かった。
止まっていた時計が動き出したように、
離婚、引っ越しとすべてがスムーズに進んで行った。
つづく
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