報告(世界と私14)
私は帰宅して合田さんの言っていたことを気にしながら、
ご飯を作り始めた。
確かに、南さんは少し変わっているけど、
芸術家なんてみんな変わっているでしょ?
私はミートローフをオーブンに入れて、
サラダを作り、アヒージョの準備をした。
祐一は6時ぴったりに帰って来た。
「お帰り!」
「ただいま、いい匂いがする!」
「うん、そうでしょ、さっ手を洗って来て、
クリスマスディナーを食べよう!」
私はテーブルのセッティングをして、
冷やしておいた、、
スパークリングワインを出した。
「はじめてのクリスマスに乾杯!」
「仕事どうだった?」
「ねえ、その前に話しがあるの!」
「何?」
「今日、市役所に行って婚姻届け出しました!」
「えっ!今さら?もうとっくに出したと思ってた!」
「うん、なんでもない日より、
記憶に残る日に出したいって思って!」
入籍を迷っていたことはもちろん内緒。
「婚姻届け出してないこと教えて欲しかったよ!」
「ごめん、なんか話しづらくて、
そーそー、今日ギャラリーオープンしたんだけど、
思った以上にお客さんが来てビックリした。」
私はどうにか話を誤魔化した。
「えーあんな裏路地でお客さんが来るなんて、
南さんって有名な人なんだね。」
「うん、綺麗だし、センスが良いからな~」
私たちは二人だけのクリスマスを静かに過ごした。
つづく
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