2022年12月23日「ジョゼと虎と魚たち」 ドリパス復活上映 舞台挨拶メモ(登壇者:タムラコータロー監督)

2022年12月23日 秋葉原UDXシアター「ジョゼと虎と魚たち」復活上映におけるタムラコータロー監督舞台挨拶のトーク内容を、手書きしたメモから起こしました。
ネタバレあり、聞き間違いやニュアンス違いなど多々あるかと思いますがご容赦下さい。

概要

日時:2022/12/23(金) 19:00〜
場所:秋葉原UDXシアター
登壇:タムラコータロー監督(以下、タ)
司会::松竹 飯塚寿雄さん(以下、司)

はじめに

タ:1年4ヶ月ぶりに秋葉原UDXシアター での登壇。(前回:2021/8/29)
 見放題配信でいつでもどこでも観てもらえる状況になったが、劇場での鑑賞を想定した画作りや音響調整をしたので、こうして劇場で上映してもらえて観て頂けるのは嬉しい。
司:今回入場者特典のクリスマスカードが付いたが。
タ:ジョゼで入場者特典がついたのは初めて。当時やりたかったことが実現できて嬉しい。

配信について

司:AmazonPrimeVideoのレビューが1000件以上、どんな気持ちか。
タ:全部は見れないけど有り難い。印象に残ったレビューは「こんな映画が撮りたかった」というもの。観た人に影響を与える作品が創りたかったので。
タ:どこかの配信で、ジョゼ虎の配信のサムネがなぜか教授のカットになっている(笑)。 オジサンが出てくる話と勘違いされているのでは…?
ちなみにサムネの変更依頼はできないらしい。

アニメ映画化のきっかけ

タ:企画は、6年前、2016年頃。ボンズの鈴木(麻里)プロデューサー、KADOKAWAの笠原(周造)プロデューサーとの3人で。
 原作の短編小説は、タイトルの強さと、恒夫&ジョゼの掛け合い、ドライブシーンなどが印象に残った。ラストはあっさりとした終わり方で、この先を見たくなった。
 実写映画(妻夫木聡さんx池脇千鶴さん主演)は、観ていなかった。実写も原作小説とはラストが異なる。実写は少し暗めなラストなので、アニメは明るく希望のあるラストにしたかった。
 ジョゼの一人称、原作は「アタイ」で実写は「ウチ」だがアニメは原作通り「アタイ」にした。ここは原作から変えない方がいいと思った。

作画について

司:アニメ的に、車椅子は作画のカロリーが高かったのでは?
タ:高い。車椅子はレールに沿った直線的な動きだが、それに乗る人間の上体は自由に動く。まず3Dで車椅子+人間の動きのガイドを起こして、それを元に手描きの2D作画をしてもらった。アニメーターさんと、取材させていただいた方のおかげで実現した。

大阪について

タ:大阪にはシナハン(舞台となる場所を実際に訪問して地方色などを調査し、脚本に盛り込んでいくロケーション・ハンティングのこと)に行った。シナハンに行った時期と、映画の公開の時期で一部の風景が異なるため、公開前にも微調整のため追加ロケハンに行ってもらった。
 須磨の海岸通りは、シナハン時は遊歩道だけだったのに、追加ロケハンで街灯が増えていて、急遽描き足してもらった。他には、梅田イス(UMEDAオブジェ、恒夫が観覧車で具合悪くして寝ていた所)も後から追加した。スタッフに感謝。
司:大阪芸大出身のボンズ南社長から、大阪を出すにあたってのリクエスト等はあったか?
タ:特になかった(笑)。

ジョゼの絵本について

タ:絵本「にんぎょとかがやきのつばさ」のストーリーは脚本の桑村(さや香)さんに考えてもらった。Blu-ray/DVDの限定版にも付いてくるので是非買って絵本を見てください。
タ:裏話的な話になるが、シナリオからコンテに描き写す段階で抜けた内容がある。絵本にも一部抜けた内容・言葉がある。ここが分かった人は相当コアなファン。

結末について

司:絵本では人魚に戻って王子とは別れて帰ってしまうビターな結末だが、映画本編をハッピーエンドにしたのは最初から決めていた?
タ:桜の下で再会するラストまで、全部最初から決めていた。絵本を描いた時点のジョゼは恒夫とは別の人生を歩むつもりだったが、絵本の結末をひっくり返すラストにしたかった。

エンドロールについて

タ:黒バックの案もあったが、曲(蒼のワルツ)が良すぎたので絵を入れることにした。
 恒夫とジョゼの二人が結ばれるラストは決まっていたけど、坂の下でキスして終わりでは「ジョゼを探していた他の仲間達は?」と消化不良になるため、エンドロールでジョゼ達と引き合わせることにした。
タ:山村家を壊すシーンは川元(利浩)さんの作画。血界戦線のキャラデザの方に重機を描いてもらった(笑)。

キャスト・音楽について

タ:中川くん、清原さん、見取り図さん、EvanCallさん、Eveくん…みんなビッグになりましたね(笑)。今ならオファーできなかったかも。
 清原さんは少し余裕がない感じがあったけれど、ジョゼの気持ちを一緒に考えて演じてくれた。
 中川くんはアフレコ現場の空気を作ってくれた。
 EvanCallさんは穏やかな方だけど終盤、海外収録がギリギリになって、ピリピリしてた(笑)。「明日収録なのに今からリテイク間に合うのか」とビクビクしながらお願いした。でも、試写では体を痛めていたのに東京まで来てくれて「良かった、ディレクションの意味が分かった」といってくれた。実は日本語ペラペラな人。
 Eveくんは今年武道館コンサートに招待してくれた。蒼のワルツをオーケストラ演奏で聴けて感動した。心海も!

その他

司:思い入れのあるシーンは?
タ:やはり、エンドロール。蒼のワルツは制作中に何百回も聴いた。須磨の浜辺のシーンを再度入れてもらった。スタッフに感謝。

最後に

タ:公開から2年経ってもこうして観てもらえることが嬉しいです。ありがとうございました。

【おまけ】

ジョゼと虎と魚たち 過去の舞台挨拶
2020/11/07 東京国際映画祭 TOHOシネマズ六本木ヒルズ 
 登壇者:中川大志、タムラコータロー監督
『ジョゼと虎と魚たち』 中川大志、タムラコータロー舞台挨拶|”Josee, the Tiger and the Fish” Taishi Nakagawa, Kotaro Tamura

2020/12/4 大阪芸術大学 公開前特別試写会・トークショー
 登壇者:ボンズ南雅彦社長(大阪芸大卒業生)

2020/12/26 公開記念舞台挨拶 丸の内ピカデリー
  登壇者:中川大志、盛山晋太郎(見取り図)、リリー(見取り図)、タムラコータロー監督 

2021/8/29 ドリパス復活上映 秋葉原UDXシアター 監督トーク付き
 登壇者:タムラコータロー監督

2021/10/14 Blu-ray/DVD発売記念 新宿ピカデリー スタッフトーク付きイベント上映
 登壇者: タムラコータロー監督、伊藤智彦監督(特別ゲスト)、桑村さや香さん(脚本)

2022/2/26 シネマチュプキ・タバタ 舞台挨拶付き上映
 登壇者:タムラコータロー監督、松田奈那子さん

2022/3/12 シネマチュプキ・タバタ  舞台挨拶付き上映
 登壇者:タムラコータロー監督、松田奈那子さん

2022/12/23 ドリパス復活上映 秋葉原UDXシアター 監督トーク付き
 登壇者:タムラコータロー監督


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