2024年6月29日 新文芸坐×アニメスタイル 「劇場版 少女☆歌劇 レヴュースタァライト」 古川知宏監督トークショーメモ
はじめに
2024年6月29日 新文芸坐「劇場版 少女☆歌劇 レヴュースタァライト」古川知宏監督トークショー(聞き手:小黒祐一郎さん(アニメスタイル))の内容を、手書きしたメモから起こしました。
本編のネタバレありです。また文脈が変、ニュアンス違いなど多々あるかと思いますが、何卒ご容赦下さい。
<概要>
2024年6月29日 【新文芸坐×アニメスタイル vol. 177】キラめく舞台に生まれて変わる!『劇場版 少女☆歌劇 レヴュースタァライト』ライティング上映!!
登壇:古川知宏監督(以下:”古”)
聞き手:小黒祐一郎さん(アニメスタイル)(以下、”小”)
ライティング上映について
小:まずはライティング上映を初めてご覧になった感想を。
古:天堂真矢が舞台からせり上がってくるシーンの(炎が吹き出す)演出で「元、取れたな!!」と思った。
ライティングの演出の方に伝えたのは、「もっとやっていいよ!」と。
小:えー、でもお客さんにの中には気が弱い人もいるよ?
古:気が弱い人はライティング上映とかには来ないでしょ…(笑)。
「もっとやっていいよ」というのは、作品のテーマがそうだから。
観客の目を潰し、鼓膜を破るという。
ライティングは画面よりも輝度が高いので、もっと強く光らせて、お客さんは目にダメージを受けて帰ってほしい。
本編について
小:改めて、作品を見ての感想も。
古:劇場で作品を見たのは、3年前の公開当時以来。「色々直してぇ!」と思ってしまう。作品の中盤では、このへん予算とスケジュールとか大変だったなーとかのことを思ってしまった。でも終盤は「俺がアニメに求めるものが入ってるねぇ!」と思えた。
小:監督がアニメに求めるものとは?
古:自分が生きている実世界と、フィルムの中の世界が一瞬繋がったような気がして、でもまた突き放されるような感覚。
小:それですか!
古:それです。小出君(副監督)がいい仕事してるんで、(作品の終盤部分は)小出君に負けられねー!と思って作ってた。今日観て、自分で作った映画で元気になれた。こんなにも”要素”に落とし込めるんだなと。制作時、小出君と話していたのは、「レヴューに一番いらないのはIN/OUT」。カットが切り替わって場所や衣装、ポーズが変わっていてもいいんだと。
古:あと思ったのが、登場人物たちに対して「コイツ何言ってんだ?」と(笑)。
香子が寮で「しょうもな」って言って、普通は「え…?」としばらく固まったりする所、まひるちゃんが間髪入れず「”しょうもない”って、新国立のこと?」と喧嘩を吹っ掛ける。「お話を先に進めます!」感が強くて、「樋口達人(脚本)ごめんー!」ってなった。お話を色々丁寧に書いてもらっていたのに、尺の都合で切り詰めていったので。
小:もしかして、本来の脚本では色々筋が通ってたの?
古:実はメチャメチャ通ってます。ただこれくらい切り詰めて良かったとも。「最近のアニメ、しゃべりすぎだよね。」問題はあるよね。
古:このフィルムは当時の自分にしか作れない。3年後のいま劇場版を作ったら別モノになると思う。
ラストの白バックにガタンゴトンも、あと2秒ほしかった!
小:TV版と劇場版でモチベーションの違いはあったか。
古:TV版は、初めてづくしで、モチベは高かった。きちんと予算内・期間内に納品することを目標にしていた。あとは他のアニメとの差別化や、観客の視聴体験のコントロールについて考えていた。
劇場版は、観客にお金を払ってもらい、箱に閉じ込めて、体験させるという点で、TV版と異なるアプローチが必要だった。
TV版は21分30秒の映像を毎週観てもらうために、キャラに寄り添うようにしていたが、劇場版のためにそれをリセットはしたくなかった。TV版の続きのつもりでやる、というつもりで始めた。が、作っていくうちに、これは映像体験に振り切るしかねぇ!と思った。
劇場版、観客に対するケアがない(説明が少ない)感じが、まるで中高生が撮ったようなフィルムになっている。自分はアニメや映画を作るのは上手くないと思っていて、自分より上手い演出家の方はたくさんいる。でも、自分のような作り方をする人はいない、この感じがいいのかなと。
TV版では華恋を掘り下げられなかったので、劇場版で掘り下げられてよかった。
プリキュアとか、1年間放映されるようなものもやってみたい。思う存分キャラを掘り下げられると思う。
小:この作品世界では、舞台少女たちはリアルではバトルしてないんだよね?我に返って自分たちはなんで戦ってるんだろうとか思ったりしないんだよね?
古:しないです。レヴューは何かの代替としてやっていて、感情を殺陣や舞台装置で表現している。
ただ、スタァライトではキャストがキャラを兼ねていて、舞台をやっていたりする。これも作品がリアル(現実)に食い込むことだと思っていて、そういう意味ではリアルでバトルしているといえるかもしれない。
ただ今日話していて、アニメの2話でもう少しキリンに「(ツダケンのモノマネで)レヴューは、イマジナリーじゃない」とか、説明させたらよかったかも、と思った。説明が少ないせいで「意味わからない」と作品にノレなかった人達を取りこぼしてしまったのかも、と。
古:今日のお客さん、男性が多くて驚いた。男性が観れる作品じゃないと思ってたけど、デコトラが出たり東京タワーが飛んだりするから観れちゃうか!
スタァライトを好きな人って、BOT感あるよね(笑)。イオンシネマとか新文芸坐とかで上映されたら毎回観に行くし、何年同じ作品の話してるの!とか…
最近の古川監督の話
古:まだ表に出せないが、今も絶賛作業しています。
デヴィッド・リンチの「ストレイト・ストーリー」みたいなゆっくりした作品もやりたい。
原作モノもやりたい。原作モノやらないと階段を1段登れないと思っているが、劇場版スタァライトをやってからオファーが全く来なくなった。恋愛モノの少女漫画とかやりたいです!
あと生田輝さんに言ったことあるんだけど、俺、クレしん(の監督)に向いてるでしょ!原(恵一)監督にはなれないけど…
最後に
古:変な企画色々進めてます。人の作品も手伝ってます。色々手掛けているので、発表されたら「古川こんなのもやってたんだ!」と思ってください。
新文芸坐さんには次回作までスタァライトで繋いでもらえれば(笑)。
あと、「さよならララ」観てください!
以上
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