東京都で家を買うなら知っておくべき用途地域について
過去1000件以上不動産取引に携わってきて、様々なパターンの取引を経験してきました。その中で得た経験や教訓をnoteで共有していき、不動産を探している人にとって最適な一軒を見つけるための情報を提供しお手伝いできればと考えてます。
また同時にこの業界で働いている営業マンにもこのnoteを読んでもらって、スキルアップしてもらって、少しでもこの業界が良い方向に変わるきっかけになれば良いなと思います。
用途地域
今回のテーマは「用途地域」です。今回のnoteを最後まで読んでもらえると、スーモなどのポータルサイトからの初期情報だけである程度地域の雰囲気を掴むことができるので、わざわざ物件を見に行かなくてもグーグルマップ見るだけでどんな物件でどんな地域なのかがわかり、スムーズに家探しができるようになると思います。
ぜひ最後まで読んでいだけたらと思います。
そもそも用途地域ってなに?
さて不動産探しをしていくと、スーモやアットホームなど色々な不動産サイトを見ていくことになりますが、その中で「用途地域」という文字をよく目にすると思います。
これは「都市計画法」という法律に定められているもので、東京23区内ではほとんどすべての地域で定められています。
一言で言うと、それぞれの地域環境に合うように整えたエリア分けのことを言います。
街のイメージを掴める
例えば駅前であれば駅前にはなるべく店舗や会社など人が集まるので、店舗やビルを建てやすくなってます。
次に住宅街であれば住宅街にも場所や地域によって、2階建がメインのエリアもあれば、3階建てを建てやすいエリアを作ったりします。
また国道沿い大通り沿いは色々な建物が建っているけど、一本入ると閑静な住宅街が広がっていて、お店もあまりない。
この上記のようなイメージは用途地域がエリアごとに分けられていることで作られています。
用途地域を知ることで、現在の環境の雰囲気を大まかにイメージすることができることと、将来どこまで変わる可能性があるのか?ということを想定しておくことができます。
ただあくまで参考程度ということは抑えておいてください。
用途地域の区分
3つの区分
用途地域によって、建てられる建物の用途が定められるのと、一般的には建ぺい率容積率・高度地区など建築の制限と同時に定められるケースが多いです。
住居系
商業系
工業系
と大きく3つに分かれており、全部で13種類あります。
特に都内で不動産探しをしていると目につくのは以下に4つとなるため、この4つを押さえておけばとりあえずOKです
住居系:第1種低層住居専用地域
第1種低層住居専用地域⇒「一低」(いってい)などと呼ばれる
世田谷、杉並、目黒、練馬などに多く、いわゆる閑静な住宅地の代表。
基本的には2階建がメインのエリアで高さの緩和措置のある北道路やゆとりのある土地サイズでないと3階建ては建てにくいエリア。
また一般的に、コンビニやスーパーも建てられず、高校は建てられるけど大学はNGであったり、老人ホームはOKだけど、デイサービスなどの社会福祉施設はNGと人が集まるような施設は建てることができないという非常に厳しい規制の地域です。
住居系:第1種中高層住居専用地域
第1種中高住居専用地域⇒「一中高」(いっちゅうこう)などと呼ばれる
都内23区の一般的な住宅地はこの一中高が多く、中野区、板橋区、北区、目黒、世田谷、杉並、大田(東急エリア)に多い印象です。
いわゆる狭小物件とかウナギの寝床などと呼ばれる建売がたくさん供給されるエリア。
3階建てが基本的に建ち並ぶエリアだが、高さ規制が厳しく方位によって、3階天井部分が屋根裏部屋のように削れてしまいます。
建物の用途については、500㎡未満の店舗までは可能なため、小さめのスーパーやコンビニ程度は建てられます。また低層地域で建てられなかった大学や、病院なども建築可能です。
商業系:近隣商業地域
近隣商業地域⇒「近商」(きんしょう)と呼ばれます。いわゆる商店街のイメージです。
商業系用途地域は「商業地域」と「近隣商業地域」があります。
駅前や繁華街は「商業地域」は規制がかなり緩く、人が住むことを想定していない地域となり、あまり住宅地としては適さないのですが、「近隣商業地域」は住宅地の中にある、商店街に指定されることが多く、お店と住宅が混在することが多いです。
そのため、建てられる建物の用途の規制も商業地域より規制されていることはもちろん、特に高さ規制が厳しいケースが多く、第1種中高層住居専用地域と同様に、3階天井部分が削れてしまい建てにくくなります。
シャッター商店街のようなところも多く、一見したところ住宅地のようですが、実は「近隣商業地域」ということも多々あります。
そのため「近隣商業」という字面的にも、日当りも悪そうだし環境も悪そうな印象を持たれるケースが多いですが、㎡規制のある行政区や、建蔽率の緩和等の都内特有の規制から、近隣商業地域は希少性が大幅に増すため、(※この辺りはまたいずれお伝えします)資産価値の目減りも少なく、即完物件も多いです。
もちろん環境が変わりやすいというリスクはあるため、購入時の周辺調査は十分に行った方が良いですが。
工業系:準工業地域
準工業地域⇒「準工」(じゅんこう)と呼ばれ、いわゆる町工場もしくは元々町工場だったところです。
住宅街の中にある工業地域という場所なので、住むのに適さない工場は建築が出来ません。
また「元々」そういう地域でしたが、代替わりなどで工場を廃業してしまい、住宅に移り変わっているケースも多いので、現在は普通に住宅街というケースも多々あります。
用途としては、町工場の地域ということで、住んでいる人、働いている人が日常的に使えるスーパー等も建てられるため、近隣商業地域と規制としては似ています。
高さ規制は比較的緩いことが多いため、3階は問題なく建築が可能ですが、日当りを考慮しておかないと日当りゼロ!なんていうことも起こりかねませんので注意が必要です。
小さい土地でも上に目一杯建てられるので、コスパ良く建築が可能なエリアとなります。
まとめ
上記4種類の用途地域が都内で不動産を購入する場合、押さえておいた方が良い用途地域となります。
一種住居地域や準住居地域は、一種中高層住居専用地域よりさらに規制が緩くなっているぐらいの感覚を持っておくだけで良いと思います。
実際は用途地域と併せて定められる、建蔽率、容積率、高度地区、など具体的な建物の大きさと高さに関する規制によって良し悪しや環境がガラッと変わってきます。
そのため、もう一度言いますが、用途地域を知ることで、現在の環境の雰囲気を大まかにイメージすることができることと、将来的にどこまで変わる可能性があるのか?ということを想定しておくことができます。
街の雰囲気の全体感を把握することができれば、わざわざ実際に現地に行って、雰囲気を感じる前に、ストリートビューで見るだけで大まかなイメージを掴むことができると思います。
ぜひご参考にしてください!!!