#民法 8.23勉強記録用
本日のテーマ「不法行為」について。共同不法行為の論点は勿論。国立マンションをはじめとする判例が意外と出てくるので抑えたい。
一般的不法行為とは
ー不法行為とは契約に寄らず債権債務を発生させるもの。対義語は「特殊な不法行為」。
一般不法行為の要件
ー加害者に責任能力がある事(12~13歳程度の能力で何らかの法的責任が発生することが分かっているという能力)、加害者に故意または過失がある事、加害行為が違法であること、損害が発生したこと、加害行為と損害の間に因果関係がある事
判例;交通事故に取り後遺症が残り、労働能力の一部喪失が見られた。しかし、従事する職業柄、将来の収入には影響を与えないことが分かった場合、財産上の損害が認められるか
ー労働能力の一部喪失を理由とした財産上の損害は認められない
判例;国立マンション訴訟、景観利益について(高層マンションが建ったせいで、景観が損なわれたから不法行為だ!として訴えた)
ー景観の恵沢を享受する利益は法律上の保護に値するものである
ーしかし、特別な事情がない限り不法行為の成立は否定される
判例;訴訟因果関係の立証の程度
ー「自然科学的証明」(かなり精密で厳しい証明)でなくてもよい。「高度の蓋然性」を証明することが必要で、「通常人が疑いを差し挟まない程度に真実性の核心を持ちうるものであること」でよい
損害賠償の種類
ー財産的損害、精神的損害(慰謝料)
損害賠償の方法
ー原則は金銭賠償だが、謝罪広告を命ずることも許される
損害賠償の範囲
ー加害行為と相当の因果関係に立つ損害
損害賠償の過失相殺制度について
ー過失を考慮するか否かは裁判官の裁量にゆだねられるが、裁判官が全額免除することは出来ない
損害賠償の権利行使の期間
ー被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知ったときから5年(生命・身体を害する不法行為)、3年(それ以外)。不法行為の時から20年
判例;子供の死亡により、親が養育費を免れた場合、幼児の財産上の損害賠償額を算定するにあたり養育費を控除すべきか
ー控除すべきではない。(被害者は養育費関係なく損害賠償をしてもらえる)
判例;夫の交通事故即死事例
ー受傷の瞬間に損害賠償請求権が発生すると考えるので、この権利は被害者死亡によって相続人に相続される。よって妻は夫の逸失利益について損害賠償が出来る
過失相殺能力とは
ー事理弁識能力があれば足りる。責任能力までは問わない
判例;疾患があった場合に損害賠償の際に過失相殺の対象としてよいか
ー被害者の疾患を斟酌することが出来る
*ここからは「特殊な不法行為」について
監督責任が損害賠償を負わなくてもよい(免責される)事由
ー監督義務者が業務を怠らなかったとき、又は、業務を怠らなくてもその損害が生ずべきであった時
責任能力のある未成年者と監督義務違反
ー不法行為を行った者が責任能力のある未成年であっても監督義務者に義務違反があれば、損害賠償責任を負う。
使用者責任の要件
ー使用者と被用者の間に使用関係がある事、被用者が使用者の業務執行(事業の執行にあたるかは客観的に行為の外形を標準に判断する)につき第三者に損害を加えた事、被用者の行為が一般的不法行為の要件を満たしている事(加害者の責任能力、加害者の故意・有過失、加害行為の違法性、損害の発生、因果関係)
使用者責任を負うのは
ー使用者(会社、事業主)・代理監督者(代表取締役、工場長、現場監督)
注文者責任
ー注文者(大工さんに家を作ってほしいとお願いする側)は責任を負いにくい傾向にある。請負人が仕事中に第三者に損害を与えてしまっても、注文者の注文や指図に過失がない限り賠償責任を負わない。
工作物責任における責任者の推移
ー占有者(注意義務違反があれば責任を負う)→所有者(無過失責任)
判例;他人が築造した建物(瑕疵あり)を過失なく買い受けたこの建物の所有者は工作物責任を取らなければならないか
ー現に建物を所有するという理由だけで工作物責任を負わなければならない
判例;電車の踏切の瑕疵
ー保安整備を各施設は瑕疵があるとされ、工作物責任の帰責事由となる。
共同不法行為
ー共同行為者全員が連帯して損害賠償責任を負う。各債務は連帯債務(性質上債務が可分であり、債務に独立性を有する性質を持つ債務)となる。
共同不法行為の成立要件①
ー数人の加害行為が独立して不法行為の要件を満たしている事、各人の行為が社会的に見て1個の不法行為と認められる事(客観的関連共同)
共同不法行為の成立要件②(加害者不明)
ー数人の加害行為が「因果関係」以外の不法行為の要件を満たしている事、加害行為の前提行為について共同関係がある事、共同行為者のいずれかの行為について損害が発生したこと。
被用者と第三者による共同不法行為と求償関係
ー使用者が賠償を行ったときは、第三者の過失割合に従って求償できる
ー第三者が賠償を行ったときは、被用者の負担部分について使用者に求償できる
判例;運転行為(交通事故)と医療行為(医療事故)が融合して被害者が死亡に至った場合
ー共同不法行為となり、連帯責任を負うべき
複数の使用者間における求償
ー被用者が2人、別々の使用者に雇われていた場合は、複数の使用者間での求償が可能。
正当防衛(正当な理由で「人」に損害を与えてしまう)
ーこれにあたると、損害賠償責任を負わない。自己又は第三者の権利や法律上保護される利益を防衛する為、やむを得ず加害した場合を指す。(仕方なく、どうしようもなく損害を発生させてしまった)
緊急避難(正当な理由で「他人の者」に損害を与えてしまう)
ーこれにあたると、損害賠償責任を負わない。他人の物から生じた急迫の危難から自己又は第三者の権利や法律上保護される利益を守る為、他人の物を損傷させてしまった場合。
名誉棄損と原状回復
ーここでいう「名誉」とは社会的に受ける客観的評価が下がる事を意味する。その為、名誉感情(主観的なもの)は損害賠償の対象には含まない。