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世界的蟹工船スタジオ(スキマバイト)

以前行った単発アルバイトのお話。

世界的な遊興施設の裏方、
アトラクションのすぐ裏の部屋でお客様の使用後の部品を拭き上げるという作業。

モクモク作業が好きで、これも人生の思い出づくりのつもりで遊興施設の裏側を見たかった。

集合は作業の50分前。
裏から入る手続きを行い早速アトラクションに応じた衣装を貸し出され、着替える。

案内された作業部屋ではほぼ大学生ほどの若者たちがサークルのようなノリで慣れた手つきで仕事をしていた。中年女は私ぐらいしかいなかった。
うわぁ、この内輪ノリしんどいやつだわ…と思った。

私語禁止らしいが常連の若者達はそんな事お構いなしに新参者には冷たく自分たちだけの世界で仕事を進めていた。
やたらと粗雑にモノを投げつける不機嫌そうな若い女もいた。

ここはある程度の時間でポジションを入れ替えて拭き上げる場所が変わるシステム。
そのタイミングで水分補給やトイレにいきたい人は自己申告する。

しかし山のように拭き上げるものが迫ってきて必死だった私はなかなか言い出せなかった。

事のおかしさに気づいたのは午後6時半過ぎ。咳が止まらなくなって水分の許可を得たが咳が止まらない。吐き気もする。

「大丈夫ですか?」と社員さんが声をかけてきたタイミングで
「わたしお昼休憩いただいてないんですが何時から行けばいいんです?」

と尋ねた所、社員の伝達ミスにより私の休憩は忘れられていた。

日もとうに暮れてから社員に付き添われクルー食堂などの案内をしてもらったが時すでに遅し。
今日のクルー日替りランチは油淋鶏だったそうな。
それでみんな作業中油淋鶏の話をしていたのだ。

集合時間から含めると8時間近く立ちっぱなしでトイレも水分補給もしなかったのだ。
もう食欲などあるわけがない。

社員は平謝りで私も「いえいえ、初めてで勝手が分からなかったもので申し訳ないですぅ」と大人の対応で済ませた。

用便も水分も許可制とは刑務所のようであった。

その後帰り際退館手続きのため、
別の社員と新人数名でクルーの建物まで歩いたのだが、
私1人だけ「外でゲスト対応とかは興味ありませんか?もし次来るんだったら…」と聞いてもらえなかった。若い人には全員聞いていた。

場違いな人間が1日(約9時間)よく耐え抜いた。

施設を出て逃げるように解散した後、
ムシャクシャしてきたのでコンビニで酎ハイと唐揚げ棒を買って海沿いの方まで歩いてむしゃむしゃ食べた。きっとランチの油淋鶏の方が美味しかったであろう。しらん。

あまりの場違いさ、休憩忘れられたことに後から段々腹が立ったのと
すごく精神的に疲れたのでこの柵を越えたら海に飲まれて死ねるんやろか…などとうっすら考えた。



“なんとかレベル”というアプリでも掲載されているらしい案件なので、陽キャの若者以外は是非行かないように気をつけてほしい。

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